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幼なじみ
プロとして
しおりを挟む約束の3日が経った。
桜ちゃん、、、、
未鼓さんに事務所に所属するとはどういう事か詳しく聞いた。
話の内容は桜ちゃんから遠くなるんだと思わされる事ばかりだった。
桜ちゃんの商品のモデルもするけれど、タレントとして活動していくのが中心になると言われた。
僕は桜ちゃんの会社の商品をより売れるために使われているのだと思っていた。
桜ちゃんはもう僕じゃなくても良いって事だよね、、、
確かに桜ちゃんの会社はどんどん大きくなっているし、桜ちゃんの仕事量を考えたら決断は正しい。んーん、いつだって桜ちゃんの決断は正しい。
分かってる、そんな事
でも、分かっていても、、、、
寂しい
とても
でも、桜ちゃんの商品のモデルを辞める事も考えられない
桜ちゃんと接点がなくなってしまう
きっと家も追い出される
僕は、、、、、
社長室に入る。
「ん。待っていた。」
「桜ちゃん、僕決めたよ。」
「そうか。どうしたい?」
「事務所に、所属する。でも、ここでひとつだけの我儘聞いてもらう。カメラマンさんもメイクさんも皆今までと同じ人がいい。」
「ん?それは、、、。なんでだ?カメラマンもメイクも代理店が探してくれる。今までより腕も上がるだろう。プロばかりだ。」
「違う。僕は桜ちゃんの商品の売上を上げる為のモデルだよ。僕の事を一番良く撮ってくれるのは今まで一緒にやってきてくれた人達だけだよ。」
これだけは譲れなかった。
毎朝早朝と夕方限定でも嫌な顔せず僕だけを撮り続けてきてくれた人達。
皆が僕の事を撮ってくれたから僕は頑張れた。
事務所に所属しても、桜ちゃんがチェックしてくれなくなっても、桜ちゃんの好みのコンセプトとスタンスを守れるのは同じメンバーだけ。
桜ちゃんの事を分かってるのは僕を含めて今までの人達だけ。
それは絶対揺るがない。
「なるほど、私は良いだろう。あとは、カメラマンやメイク、衣装の人達に聞いてみよう。」
ありがとう、僕は泣きたい気持ちを堪えた。
離れちゃう
桜ちゃんと仕事出来なくなる
「寂しい、、、、、。でも、僕は、プロだから。」
「ありがとう。感謝する。」
未鼓さんが桜ちゃんの横からご立派な決断ですと微笑んだ。
これからは桜ちゃんの商品を僕や桃峰さん以外も宣伝する事になる。
競争率も上がる。
それでも、絶対に僕が1番の宣伝効果があるモデルだと認められたい。
タレントにでもなんでもなって、知名度上げて、宣伝効果に繋げる。
それが、今の桜ちゃんから求められている事だから。
僕は契約書にサインをした。
事務所に所属してからテレビ出演が急増した。
同時にたまに来る桜ちゃんの商品のモデルもこなした。
桜ちゃんと会えるのは1日の中でもたった数分。
僕の管理も必要なくなった桜ちゃんは部屋に籠りきりになった。
食事制限も睡眠時間の制限もなくなり、学校へ必ず行かなければいけない規則もなくなってから学校と仕事が半々になった。
毎朝車で桜ちゃんに会うことも、放課後のお迎えも、夕食を一緒に摂ることもなくなった。
朝4時に起きる事がなくなったし22時からの体のメンテナンスもなくなった。
全て事務所の人に勧められたものを自己管理の中で行っていくことになった。
最初は凄く怖かった。何をどうしていいかわからなかったから。
それでも、周りの人達は丁寧に教えてくれた。
事務所に入って良かったと思えた事は無い。いつだって桜ちゃんに会えない寂しさで泣きそうになる。
でも、嫌ではない。皆良くしてくれた。
でも、多分それも桜ちゃんがそうするようにしてくれたんだと思う。
僕には未鼓さんではなくて、新しくマネージャーさんが付いた。
家にいる間は未鼓さんが色々してくれる事で、他の仕事はマネージャーさんと連携をとった。
マネージャーさんはあの化粧品会社の社長が19歳だったなんて、と未だに言っていた。
マネージャーさんも凄く優しい人だった。
女の人だからなんとなく緊張したけれど、女の人だからこそ気遣いが多くて、恵まれてるとおもった。
「どれくらい稼いでるんですかねぇ。」
マネージャーさんはふとそんな事を言っていた。
「桜ちゃんが?それはわからない。でも、僕のお給料はだいたい毎月200万から500万だよ。手元に来るのは20万くらいだけどね。違約金って言うのがあって、それが5億だから僕の預金が5億になるまでは20万の固定給って契約だったんだよね。」
「え?え?5億!?」
「うん。怖いよね。契約違反した人はいた事ないから実際取られるかわからないけど。でも、ちゃんと毎月口座には給料振り込まれていたよ。20万までしか引き出せないけど。」
「す、、、、凄いですね。」
それから僕は少しだけどうやってモデル活動していたのか話した。
マネージャーさんは何から何まで驚いていた。
「15歳からそれをやられていたんですよね?凄い管理能力ですね。そこら辺の社長さんより凄い。相当頭がいいんでしょうね。」
マネージャーさんの言葉に何度も頷いた。
桜ちゃんはね、天才なんだよと言うとホントにそうですねと言ってくれた。
桜ちゃんの凄さをわかってくれる人がいて嬉しい
「芸能活動は嫌じゃないですか?」
「好きじゃないけど、桜ちゃんがやった方が良いと思った事なら僕はやるだけだよ。僕が人気になって桜ちゃんの商品にいい影響が出るなら僕は頑張るしかない。」
「凄く信頼されてるんですね。」
「勿論。僕には桜ちゃんしかいないから。」
マネージャーさんにも両親がいない話をした。
「私も全力で支えます。頑張りましょう!」
うんっ!
僕はマネージャーさんとハイタッチをした。
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