周りにαが多すぎる

小雪 秋桜

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第一章

第一話

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診断結果が出た後、家族以外で真っ先に話したのが幼馴染みである彼、黒河 湊だった。
僕がΩだと言うことを話すと
「そうだったのか。これから、大変になるかもしれないけど、何でも言えよ。俺はαだけど……俺が出来る範囲だったら、何でもするからな。」
十歳にしてこの包容力、惚れそうになってしまったのはしょうがない。
それからも、幼馴染みとして絶大な信頼関係を築き親友になれたと自負している。

それから月日はたち中学三年生の秋、僕は人生初の発情期を体験した。
湊と下校をしている途中だった。
歩いていると、急に目眩がしてきてふらついた。
からだの奥から何かがこみ上げて来るような気がし、思わず自分のからだを抱き締めた。
すると、僕を見ていた湊が僕を心配して近寄ってきてくれたが、想像以上にからだが言うことを聞かない状況に、思わず立っていられなくなり座り込んでしまった。
「お、おいっ。大丈夫か守…っつ。おい…まさかっ、発情期か……」
抑制剤をとってもらおうと言葉を発しているのに、口からは意味不明な言葉しか出てこなかった。
「う…うんっ…それっ……よりもっっ…よっっくぅせぇざっっぃつっ。」
そう言っていると、意図が分かったのか抑制剤をとって錠剤を渡してくれた。
しかし、どうしても力が入らずに飲めずに四苦八苦していると、湊が薬をとって水を口に含むと僕に口付けた。
「っぅうん。……はっぁっうぁあ」
口に錠剤が入ってきてそれをどうにか飲み干したが、舌が少しだけ入ってきた。
「あ。すまねぇ。ついな……」
湊が謝罪してきたが、助けてもらったからそして感謝を伝えると、いつもと違う笑みを浮かべて言ってきた。
「責任はとる。だから、さっさと既成事実を作ろうぜ。」
僕は遠慮すると言った後に、ダッシュで家に帰った。
これが初めての発情期であり、僕と湊の関係性の変わる日でもあったと思う。
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