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しおりを挟む「私たち、女性同士ですよ。殿下、心が狭いですわ」
「ふん」
「ブリジット、こんな風にしつこく殿下について回ったから変な噂が広がったんだよね?」
ファウストは微笑みながらそう言った。微笑んでいるが目の奥は笑っていない。ブリジットは途端に申し訳なさそうに眉を寄せた。
「ええ……そのせいでアメリア様に大変なご迷惑をおかけしたと聞きましたの。本当に申し訳ありません」
ブリジットは深々と頭を下げた。高位令嬢であればまずしない行為にアメリアは目を丸くし慌てて返事をした。
「ブリジット様、どうか頭をお上げになってください。私、怒ってなどおりませんから」
「アメリア様……!なんて慈悲深いお方なんでしょう……!」
「ブリジット」
興奮気味に大声を上げるブリジットを窘めるようにファウストは彼女の名を呼んだ。
「こほん……すみません。とにかく私の浅はかな行動でご迷惑をお掛けして、ファウストから沢山叱られましたの」
「まぁ」
「当たり前だろう。僕と言う婚約者がいるっていうのに、他の男性と噂になっているんだから」
「う」
ファウストは甘ったるくブリジットを見つめていた。ブリジットは居心地悪そうに視線を彷徨わせている。二人の仲睦まじい様子にアメリアは思わず微笑み、そしてレイナルドの方を見た。
「……何だ?」
「お二人が仲睦まじくて羨ましいです」
「なっ……!」
そのやりとりにブリジットは「アメリア様、小悪魔的な一面もありますのね……」と感慨深そうに言った。
「殿下……なかなか苦労しますね」
「……ああ」
ファウストの労りにレイナルドが頷くのをアメリアは不思議そうに見ていた。
「それで……アメリア様。ご迷惑をお掛けした身でお伝えするのは心苦しいのですがお願いがありますの」
「何でしょうか?」
「……また会っていただけますか?!その、二人っきりだと粗相してしまう心配があるのでファウストも交えて」
「今日も粗相ばかりだったけれどね」
「う」
ファウストに揶揄われ気まずそうにしているブリジットは可愛らしかった。アメリアはにっこりと笑い「私で良ければ喜んで」と答える。身悶えしているブリジットを横目に、レイナルドは「その時は俺も同席する」と口を挟んだ。
「ですが、お忙しいレイ様のお時間をいただくのは……」
「別にそのくらいの時間は取れる」
「レイナルド殿下、ファウストも同席してもらいますからアメリア様にはご迷惑掛けませんわよ?」
「……他の男がいる場所に一人で行かせたりしない」
「レイ様……!」
レイナルドの言葉があまりにも嬉しくてアメリアは彼の手をぎゅっと握った。ブリジットとファウストからの揶揄いの視線を感じ、レイナルドは不機嫌そうに眉間に皺を寄せたがその手を離すことは無かった。
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