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しおりを挟むまた数日が経ち、アーネストが帰国する日となった。見送りのため、レイナルドも公爵家にわざわざ来てくれた。レイナルドとアメリアは屋敷のエントランスで彼を待っていると程無くしてアーネストがやって来た。
「やぁ、待たせてしまってすまないね」
「準備はもう大丈夫ですの?」
「ああ、最終確認をしていただけだから」
使用人たちが最後の荷物を馬車へ運び込む姿が見えた。別れの時間だと思うと、あんなにも意地悪された相手でもつい寂しくなってしまう。アメリアの悲し気な表情を見て、アーネストは苦笑いを浮かべた。
「アメリアは本当にお人好しだなぁ。意地悪な私との別れも寂しがってくれて」
「……っ、アーネストお兄様!私、まだ怒っていますのよ!」
「……うん、ずっと怒っていてよ」
何とも酷い返事にアメリアは言い返そうとしたが、アーネストの瞳を見てその気持ちが萎んでしまった。アーネストはとても悲しそうに笑っていたからだ。
「レイナルド殿下、あなたもお人好しが過ぎる。失礼な私にもっと怒って良かった……いやそうして欲しかった。アメリアを守れる男だと確認したかった」
アーネストの苦し気な呟きを聞いて、レイナルドは口を開いた。
「だが……あなたはアメリアの大切な従兄殿だ」
「……っ」
「アメリアが大事に思っている人間に多少のことで怒ることは無い」
レイナルドの言葉にアーネストは暫く呆然とした後でくつくつと笑い出した。
「はぁ~……そうか。君たちは似た者同士なんだねぇ」
レイナルドとアメリアが顔を見合わせていると、アーネストは真剣な眼差しで謝罪した。
「レイナルド殿下、アメリア。数々の非礼を詫びさせて欲しい。申し訳なかった」
「アーネストお兄様……」
「だが、レイナルド殿下。もし今後、アメリアが大切にされていない話が隣国に届けばすぐに迎えに行くことを忘れないで欲しい」
「……そんなことにはさせない、絶対にだ」
レイナルドの強い瞳を見て、アーネストは満足そうに頷き馬車へと乗り込んだ。
「……寂しいのか」
涙をぽろりと流すアメリアへ心配そうにレイナルドは尋ねた。アメリアはふるふると頭を振り微笑んだ。
「レイ様の言葉が嬉しくて」
レイナルドはアメリアの手を取った。幼い頃のように、少し気を抜けば外れてしまう手の取り方はいつの間にかしなくなっていた。二人は馬車が見えなくなるまでいつまでも見送っていた。
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