【完結】あなたから、言われるくらいなら。

たまこ

文字の大きさ
1 / 13

しおりを挟む

 あぁ、まただ。

 学園の中庭で、美男美女の逢瀬が目に入り、私は小さく息をついた。


「アマンダ、いいの?」


 友人のリンが心配そうに訊ねた。


「うん、いいの。もう慣れたから。」


 私は笑顔を作り、頭を振った。本当は良い筈が無い。あの逢瀬を楽しんでいる美男は私の婚約者ジェレミーなのだから。また、二人が視界に入り、私の胸は引き裂けるような痛みを覚えた。



◇◇◇◇



 私とジェレミーは、お互い侯爵家の子どもで、爵位も同じで、親同士も交流があることから幼いうちから婚約を結ばれた。その頃は、恋、なんてものは知らず、ただただ大事な遊び相手だったが、成長するに連れて、私はジェレミーへの想いを募らせた。


 感情表現の乏しいジェレミーが時折見せる笑顔が、私は大好きだった。ジェレミーも私のことを不器用ながらも大事にしてくれているように思えていた……あの彼女が現れるまでは。


 ジェレミーと逢瀬を重ねるクララは、平民出身でその秀才さからとある男爵家に養子として引き取られたらしい。三か月前私たちの通う学園に編入してきた。ピンクブロンドの髪が目を引く可愛らしい人だ。


 その可愛らしさから、多くの令息を虜にしているようで、女子生徒からの評判はすこぶる悪い。そして、私の婚約者のジェレミーも例外ではなく虜になっているようだ。


 ジェレミーは私に対する態度は、以前と変わらない。だが、クララとの逢瀬もよく見掛けるし、クララとの約束を優先されることも一度や二度ではない。


 私の心がぼろ雑巾のようになっていたある日、ジェレミーとの定例のお茶会に呼ばれた。



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに嫌われている

なか
恋愛
子爵令嬢だった私に反対を押し切って 結婚しようと言ってくれた日も 一緒に過ごした日も私は忘れない 辛かった日々も………きっと……… あなたと過ごした2年間の四季をめぐりながら エド、会いに行くね 待っていて

初恋の相手と結ばれて幸せですか?

豆狸
恋愛
その日、学園に現れた転校生は私の婚約者の幼馴染で──初恋の相手でした。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

愛されていたのだと知りました。それは、あなたの愛をなくした時の事でした。

桗梛葉 (たなは)
恋愛
リリナシスと王太子ヴィルトスが婚約をしたのは、2人がまだ幼い頃だった。 それから、ずっと2人は一緒に過ごしていた。 一緒に駆け回って、悪戯をして、叱られる事もあったのに。 いつの間にか、そんな2人の関係は、ひどく冷たくなっていた。 変わってしまったのは、いつだろう。 分からないままリリナシスは、想いを反転させる禁忌薬に手を出してしまう。 ****************************************** こちらは、全19話(修正したら予定より6話伸びました🙏) 7/22~7/25の4日間は、1日2話の投稿予定です。以降は、1日1話になります。

婚約破棄を、あなたのために

月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの? こちらは恋愛ファンタジーです。 貴族の設定など気になる方は、お避けください。

君に愛は囁けない

しーしび
恋愛
姉が亡くなり、かつて姉の婚約者だったジルベールと婚約したセシル。 彼は社交界で引く手数多の美しい青年で、令嬢たちはこぞって彼に夢中。 愛らしいと噂の公爵令嬢だって彼への好意を隠そうとはしない。 けれど、彼はセシルに愛を囁く事はない。 セシルも彼に愛を囁けない。 だから、セシルは決めた。 ***** ※ゆるゆる設定 ※誤字脱字を何故か見つけられない病なので、ご容赦ください。努力はします。 ※日本語の勘違いもよくあります。方言もよく分かっていない田舎っぺです。

【完結】婚約破棄したのに殿下が何かと絡んでくる

冬月光輝
恋愛
「お前とは婚約破棄したけど友達でいたい」 第三王子のカールと五歳の頃から婚約していた公爵令嬢のシーラ。 しかし、カールは妖艶で美しいと評判の子爵家の次女マリーナに夢中になり強引に婚約破棄して、彼女を新たな婚約者にした。 カールとシーラは幼いときより交流があるので気心の知れた関係でカールは彼女に何でも相談していた。 カールは婚約破棄した後も当然のようにシーラを相談があると毎日のように訪ねる。

なんでそんなに婚約者が嫌いなのかと問われた殿下が、婚約者である私にわざわざ理由を聞きに来たんですけど。

下菊みこと
恋愛
侍従くんの一言でさくっと全部解決に向かうお話。 ご都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...