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しおりを挟む一週間ほど休業していた写真館も、元通り再開することとなった。撮影の予約は、量を調整して少しずつ受けている状況だが、少しぎこちないながらも動いている佐藤さんの姿を見れば、元の日常が戻ってきたのだとホッとする。
佐藤さんの日用品の買い物はまだ私が代わりに行っている。佐藤さんは恐縮しきりだったが「私が腰をやられた時は助けて下さいね。」と伝えれば、嬉しそうに頬を綻ばせて頷いた。
受けている予約が少ないこともあり、写真館はいつも以上にゆっくりした雰囲気が漂っている。これまでは通常業務しか触れていなかったが、少しずつ販売しているカメラやレンズ、フィルムのことを教わる。
逆に私からもこの三か月働いてきて考えていたこと、全国展開している写真館にあるようなスマホやPCデータの写真印刷サービスを提案する。大手企業との差別化は必要だけど、ここは地元の人たちが多く利用している場所だ。スマホやPCの操作を苦手としているおじいちゃんおばあちゃんを助けられるサービスがあった方が良いんじゃないかと前々から思っていた。
また、保育士の得意分野、壁面飾り……という程ではないけれど、店内の掲示物もお店の雰囲気は壊さない範囲で、だけどより良いものをいくつか考えたいとお願いした。それなら私の特技を生かせるという打算も入っている。
「梨奈ちゃん……。この写真館は梨奈ちゃんが居なければお終いだよ。」
「大げさなこと言わないで下さいよ。さ、一緒に考えましょう。」
私はそう一蹴したけれど、本当はやっぱり嬉しくてにやけそうになる顔を隠すのに必死だった。佐藤さんは私を喜ばせる天才だなんて浮かれた頭で考えていた。
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