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しおりを挟む「もう眠った?」
「はい、今日は沢山遊びましたからね」
颯が運んできた絵本を読み終える前に颯は寝入った。小さな寝息が可愛らしく、思わず頬が緩む。
「……俺と同じ部屋で落ち着かないかもしれないけど」
「ふふ、大丈夫ですよ」
本当は旺也が別室で眠るつもりだった。ところが颯は三人並んで眠りたいと訴えた。旺也がそれを宥める前に葉名が「じゃあ、そうしよっか」と答えてしまったのだ。
「ちょっと早いけど寝ようか」
「そうですね。今日は朝から忙しかったですし」
お疲れさまでした、と笑う彼女へ首を振った。幼稚園見学に付き添ってくれただけでなく、颯が頑張れるようにあれこれ準備してくれたのは葉名だ。
「こちらこそありがとう」
「いえいえ。一日楽しかったですよ」
おやすみなさい、と言い合って電気を消す。身体は疲れ切っているが葉名と同じ部屋にいてさっさと眠れるほど、旺也は豪胆ではなかった。
布団に入ってかなり時間が経った。寝返りを打って葉名の方を見ると、目がぱっちりと開いたままの彼女に気付く。
「……やっぱり眠れない?」
「ちょっと緊張してるみたいです」
「颯に付き合わせてしまってごめん」
「いやいや、楽しいですよ。子どもの頃、誰かのお家にお泊りしたら妙に眠れない時ありませんでした?そんな気分です」
小声でにこにことそう話すと、葉名は少し窺うように言葉を続けた。
「旺也さん、少し付き合ってもらえます?」
「うん?」
「私、子どもの頃寝る前にしりとりするのが好きで、ちょっと相手してもらえませんか?」
「しりとりか、懐かしいな」
いいよ、と旺也が頷くと彼女は綻ぶように笑った。
「じゃぁ何でもありだと簡単すぎるので、生き物の名前限定で」
「ああ」
「いきますよ、ねこ」
「コアラ」
「ラクダ」
「ダチョウ」
「うし」
「しか」
「カモメ」
「メジロ」
「……」
「……葉名さん?」
すぅすぅと寝息を立てている彼女を見て旺也は目を丸くした。こんな一瞬で寝てしまった葉名を見てつい笑ってしまう。
「狡いなぁ」
そう呟くとまだまだ来そうにない睡魔を待ち続けた。
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