【完結】王太子妃候補の悪役令嬢は、どうしても野獣辺境伯を手に入れたい

たまこ

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番外編:ジェニーの密会。11

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「え、えっと、ジャンさん?」


 ジャンの言葉の意味が分からず、ジェニーは戸惑った。



「今回のことで、よく分かった。俺は、君が他の男と会っていても上司としてしか心配できない。今回は、君の兄上だったから良かったようなものの、他の不埒な真似をする輩が君の周りに居ても止めようがない。」




 ジャンの言葉に(い、今、不埒な真似されてますけど!)とジェニーは心の中で叫んだ。



「上司と部下では嫌なんだ……君の恋人にしてくれないだろうか。」




「ジャ、ジャンさん、それって……。」





「ああ。君の事が好きなんだ、誰よりも。」



 真剣なジャンの瞳に見据えられ、ジェニーは全身を熱くさせた。恋愛に不慣れなジェニーには次の言葉が見つからず、視線をキョロキョロさせながら、暫く無言の時間が続いた。






「……ジェニー?今、思っていることを教えてほしい。」



「今、思っていること……ですか?」



「ああ。」



「い、今、不埒な真似されてます、と考えていました。」


 ぴくり、と重ねられた手が動き、ジャンの眉が下がった様子が見え、ジェニーは(しまった!)と素直に気持ちを言葉にしたことを後悔した。




「……嫌だった?」


 ジェニーが嫌なことはしない、と言われ、ジェニーは自分の気持ちをはたと考えてみる。


(隣に座られて、手を重ねられて、すごく驚いた……)



 困惑した。




 恥ずかしかった。




 ドキドキした。





 だけど、





「……いやでは、ないです。」




 ジェニーの答えを聞いたジャンはパァッと顔を輝かせた。そして、重ねられた手がぎゅっと握られる。


「ひゃあ!」



「これは?いや?」



「い、いやじゃないです……。」



 ジャンはまた満足そうに笑うと、ジェニーの肩に手を乗せ、自分の方へ引き寄せた。



「ジャ、ジャンさん、もう……。」


 お互いの身体がぴたりと密着し、顔の距離も呼吸が分かるほど近い。ジェニーはギブアップの意を伝えようとする。だが。




「これは?いや?」



「う、うう……。」



 嫌ではない、それがとんでもなく恥ずかしい。ジェニーの表情からそれを読み取ったジャンは攻めの手を緩めなかった。
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