たとえこれが、恋じゃなくても

ryon*

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熱③

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 たぶんそろそろ本当に限界なのだろうと感じ、唇をすぼめるようにして激しく上下に頭を揺らす。
 すると聡哉は、震える声で訴えた。

「晴、ホントもう離して。
 いい子だから……」

 だけど子供扱いされた気がして、それにまたムカついた。
 だからその言葉には従わず、夢中で奉仕を続けた。

 彼の体が僕の下、びくんとまた震えた。
 そしてそのまま攻め続けると、聡哉は僕の口内に、白濁した精を吐き出した。

 たぶんここは、ゴクンと飲み干すのが正解だったのだろう。
 だけど初めて口にしたそれは、正直飲めるようなもんじゃなくて。
 慌てて洗面所に向かい、吐き出してコップに水を注ぎ、ガラガラとうがいをした。

 するとリビングから聞こえてきた、ブハッと噴き出す声。
 そのままゲラゲラと、爆笑する聡哉。
 手首を拘束されていなかったらきっと、いつもみたいに腹を抱えて笑っていたに違いない。

「笑うな、馬鹿!
 こっちは色々と、初めての事だらけなんだぞ!」

 真っ赤であろう顔のまま部屋に戻り、叫んだ。

「うん、分かってる。
 ありがと、晴。でもそろそろこれ、ほどいてくんない?
 ……俺もお前を、抱き締めたい」

 さっきまでの爆笑が嘘みたいな、穏やかで優しい笑顔。
 それに毒気を抜かれ、言われるがままタオルをほどき、彼の両手を解放した。
 
「まさか晴が、あんな事までしてくれるとは思わなかった。
 嬉しい、ホントありがとな」

 ベッドの、上。
 両手を広げて、受け入れ態勢を取る聡哉。

 ちょっと恥ずかしかったけれど彼の胸に飛び込むと、大きな手のひらが僕の頭をそっと撫でた。
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