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ひとつ屋根の下③
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「あ、そうだ。
アンタ、飯ってもう食った?
もしまだなら、今から簡単なパスタでも作ろうかと思うんだけど。......食う?」
自炊なんてまるでしなさそうな雰囲気なのに、彼はそう私に声をかけてくれた。
自分で購入したマンションとはいえ、私は今晩泊めて貰う身だ。
......なのに食事の用意をさせた上、本当にご馳走になってしまって良いのだろうか?
「えっと......さすがにそれは、申し訳ないので」
言葉にした瞬間、空腹感を思い出したのか、私のお腹の虫がグゥと鳴いた。
そう言えば爆睡してしまった事もあり、夕飯をとりそびれていたんだった!
慌ててお腹を押さえ、聞こえていない事を期待しながらそろりと顔を上げると彼は一瞬ポカンと口を開け、それからまたブハッと吹き出して、そのままゲラゲラと爆笑した。
「あー、可笑しい!良いよ、別に。
一人分作るのも、二人分作るのも、手間は変わんないし」
笑い過ぎて目の端から溢れ出た涙を拭いながら、彼は言った。
第一印象は最悪だったけれど、やっぱり根はいい人なのかもしれない。
だってそうじゃなかったら、見ず知らずの私のために、こんな風に言ってはくれないと思うから。
「ありがとうございます。
......頂きます」
かなり恥ずかしかったけれど、結局お言葉に甘える事にした。
すると彼はクスリと笑い、どういたしましてとだけ答えた。
そして彼は、リビングを出た。
何もせずにただ待っているのも申し訳無かったから、彼に続き私もキッチンへと向かった。
吊り棚から深めのパスタパンを取り出し、水を汲むと、彼はそれを火に掛けた。
その棚には私が買った、鋳鉄に3重のホーロー加工を施したカラフルな鍋等が入っていたはずだったが、あれらは何処に行ってしまったのだろう?
「あの......私の荷物がどうなったかなんて、知りませんよね?」
「あー......っと、ごめん!
先に、言っとくべきだったな。
私物はたぶんだけど、あそこに押し込まれてるんじゃないかな?
そこは使えないって俺、最初に言われたから」
そう言って彼は四畳半ほどの、以前は物置として使っていた部屋を指差した。
「あ、そうだ。
アンタ、飯ってもう食った?
もしまだなら、今から簡単なパスタでも作ろうかと思うんだけど。......食う?」
自炊なんてまるでしなさそうな雰囲気なのに、彼はそう私に声をかけてくれた。
自分で購入したマンションとはいえ、私は今晩泊めて貰う身だ。
......なのに食事の用意をさせた上、本当にご馳走になってしまって良いのだろうか?
「えっと......さすがにそれは、申し訳ないので」
言葉にした瞬間、空腹感を思い出したのか、私のお腹の虫がグゥと鳴いた。
そう言えば爆睡してしまった事もあり、夕飯をとりそびれていたんだった!
慌ててお腹を押さえ、聞こえていない事を期待しながらそろりと顔を上げると彼は一瞬ポカンと口を開け、それからまたブハッと吹き出して、そのままゲラゲラと爆笑した。
「あー、可笑しい!良いよ、別に。
一人分作るのも、二人分作るのも、手間は変わんないし」
笑い過ぎて目の端から溢れ出た涙を拭いながら、彼は言った。
第一印象は最悪だったけれど、やっぱり根はいい人なのかもしれない。
だってそうじゃなかったら、見ず知らずの私のために、こんな風に言ってはくれないと思うから。
「ありがとうございます。
......頂きます」
かなり恥ずかしかったけれど、結局お言葉に甘える事にした。
すると彼はクスリと笑い、どういたしましてとだけ答えた。
そして彼は、リビングを出た。
何もせずにただ待っているのも申し訳無かったから、彼に続き私もキッチンへと向かった。
吊り棚から深めのパスタパンを取り出し、水を汲むと、彼はそれを火に掛けた。
その棚には私が買った、鋳鉄に3重のホーロー加工を施したカラフルな鍋等が入っていたはずだったが、あれらは何処に行ってしまったのだろう?
「あの......私の荷物がどうなったかなんて、知りませんよね?」
「あー......っと、ごめん!
先に、言っとくべきだったな。
私物はたぶんだけど、あそこに押し込まれてるんじゃないかな?
そこは使えないって俺、最初に言われたから」
そう言って彼は四畳半ほどの、以前は物置として使っていた部屋を指差した。
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