ダブル・スタンダード〜亀を助けたら、若返りの魔法を手に入れました〜

ryon*

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再会

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 あまりがっついていると思われたくなかったから、一週間ほど時間を空けてから再びあのバーをおとずれた。
 だけど柳瀬君の姿はなかったから空振りかと思い、諦めかけたタイミングで別の男に声をかけられた。

「ひとり? よかったら俺と一緒に飲まない?」

 以前なら、間違いなく受けていたであろうお誘い。
 だけど今日僕は、柳瀬君に会いに来たのだ。
 だからのらりくらりと、男の積極的なアピールをかわした。

 でもそろそろ面倒になってきたから帰ろうかと考え始めたタイミングで、バーの扉が開く音がした。
 わずかな期待を込めて振り返るとそこには、常連客らしき男の子と話す柳瀬君の姿。
 だけど彼を見つけた嬉しさから思わずガタンと席を立ち、笑顔のまま側に駆け寄った。

「こんばんは。よかった、今夜は会えないかと思った」

 素直に頭に浮かんだ言葉を口にしたら、なんだよ、ひじりの連れだったのかと忌々しそうに文句を口にしながらナンパ男はそそくさと立ち去った。

「こんばんは。ごめん、邪魔しちゃった?」

 申し訳なさそうに聞かれたけれど、邪魔なはずがない。
 小さくふるふると左右に首を振り、笑顔で答えた。

「ううん。だって僕は、お兄さんに会いに来たから」

 困ったようにほほ笑む、柳瀬君。
 そこで、ようやく思い至った。もしかしたら、彼の方に先約があったのかもしれないと。

 というのもその時彼と話していた男の子が、明らかに不愉快そうに僕のことを睨み付けたからだ。
 
 人工的に染められた、明るい茶色の髪。
 僕よりもさらに小柄で、華奢な体付き。顔だって、まるでテレビに出てくるアイドルグループのメンバーみたいにキレイで、整っている。

 もしこの子と先に約束していたのであれば今日のところはおとなしく引き下げろうかと思ったのだけれど、柳瀬君は優しく笑って言ってくれた。

「そっか、それは光栄だな」

 彼にまとわりつくようにして強引に腕を絡めていた男の子を引き離し、僕が座っていた席の隣に腰を下ろす柳瀬君。
 だから僕も、元いた椅子へと座り直した。

 それから少しの間お酒と会話を楽しみ、僕らは連れ立って店をあとにした。

「これから、どうしよっか?」

 探るように聞かれ、本当はめちゃくちゃドキドキしながらも平静を装い質問に質問を返した。

「お兄さんは、どうしたい?」

 その表情の変化を少しも見逃すことがないよう、彼の顔をのぞき込む。
 すると彼はクスリと笑って、闇夜に紛れてこっそり手を握った。

「俺はこの間みたいに、君と気持ちいいことがしたい」

 あまりにも、直球なお誘い。だけど僕も同じ気持ちだったから、指に指を絡めて答えた。

「僕も同じ」

「……なら、ホテル行く?」

 彼の問いにコクンと小さくうなずき、誘われるがままラブホテルへと向かった。

***

「あれから、誰かに抱かれた?」

 予想外の質問に、少しだけ戸惑った。
 柳瀬君のことで頭がいっぱいだったから、この一週間誰にも僕は抱かれていない。
 だけど遊び相手を求めているのであれば、ここは抱かれたと答える方がいいのだろうか?

 最近は本当に体だけの関係ばかりを築いてきたものだから、彼が求める正解が分からない。
 だからニッと笑って、わざと挑発するような言葉を口にした。

「さぁ? お兄さんは、どっちだと思う?」

「うーん……。答えてくれないなら、後で体に聞くことにするよ」

 フッと小さく笑い、それから彼は僕の唇に軽く口付けを落とした。
 それから彼は僕を一度だけ抱き締めて、ほほ笑んだまま聞いた。

「先にシャワー浴びてくる?」

「うん、そうだね」

「なら、一緒に浴びようか? 俺が洗ってやるよ」

 言うが早いか僕の体をまるでお姫様みたいに横抱きにして、彼は浴室へと向かった。

「軽いな。ちゃんと、食べてる?」

「食べてるよ。……もしかして、痩せ過ぎてて抱き心地が悪かった?」

 少し心配になり、彼の瞳をじっとのぞき込む。
 すると彼は困ったように笑い、左右に小さく首を振った。

「まさか! めちゃくちゃ良かったから、また誘ったに決まってる」

 体を降ろされると時間を惜しむように衣服を脱がされ、浴室に入ると彼は僕を椅子へと座らせた。
 そして宣言していた通りボディーソープを手に取り、洗い始めた。
 だけどその手つきは、やはりとでもいうべきかとても卑猥で。その手が僕の胸に差し掛かったところでその先端を強く摘まれ、引っ張るようにしてこねられた。

 なのにそんなやや乱暴な攻めにも僕の体は敏感に反応し、すぐにハァハァと息が乱れた。

 なのにそのタイミングで手を離されたものだから、恨みがましい気持ちで振り返ると、彼はクスリと意地悪く笑った。

「ここもしっかり、キレイにしておかないとな?」

 再び前に手をやられ、今度はすでにすっかり勃ち上がった僕の分身を手のひらで優しく包み込んだ。

「んっ……、ぁ……」

 自然と漏れ出た、喘ぎ声。泡を使ってリズミカルに上下にしごかれると、あっという間に僕は達しかけた。

「まだ、イくなよ? もう少し反応を、楽しませて」

 ニヤリと楽しそうに、彼の口角が上がった。

「そんな、無理…ぃ……!」

 ガクガクと、震え出した体。なのに彼は僕を後ろから抱きしめたまま、クスクスと耳元で笑いながら言った。

「こら、ダメだって。ったく、堪え性のない体だな?」

 そのまま先端を親指で押さえ付け、完全に動きを止められてしまった。
 泣きそうになりながら、ふるふると小さく震える僕。
 それを見て柳瀬君は、呆れたようにまた笑った。

「しゃーねぇなぁ。なら後、10秒だけ我慢しよっか?」
 
 再び動き始めた、彼の手。必死に我慢してはいるものの、快楽が上へ、上へと上がってくるような感覚を止めることが出来ない。

「いーち、にー、さーん……」

 わざとゆっくり数えながら、激しく上下に動かされる手。

「はい、じゅーう」

 ようやくイけると思った、その瞬間。またしても先っぽを強く親指で押さえつけられ、動きを止められた。

「嘘……、なんで……?」

 ポロポロと、頬を涙が伝っていく。
 それを柳瀬君は指先で優しく拭いながら、意地悪く告げた。

「アハハ、イかせてもらえると思った?」

「もう、ヤダ……。意地悪ばっかり、しないで……」

 彼の方を振り返り、甘えるようにぎゅっと抱き着くと、まるで幼子にするみたいによしよしと頭を撫でられた。

「分かったよ、イかせてあげる」

 激しくしごかれながら、彼の手のひらの中であっさり達した。
 ぐったりと、弛緩する体。そんな僕を支えながら、彼は甘く囁いた。

「じゃあ続きは、ベッドでしよっか?」

 僕がコクンとうなずくと、柳瀬君は満足そうに笑った。
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