ダブル・スタンダード〜亀を助けたら、若返りの魔法を手に入れました〜

ryon*

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二度目の夜

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 ベッドの上。僕の体を組み敷き、彼は再びキスをした。
 でもそれから何やら考えるような素振りを見せたかと思うと、柳瀬君はじっと僕の瞳を見つめたまま聞いた。

「なぁ。……君の名前、聞いてもいい?」

 予想外の問いに、どう答えたらいいか迷う僕。
 すると彼は、少しあわてた様子で続けた。

「嫌ならいいんだ。無理に聞き出そうとかは、思ってないから」

 意地悪な、夜の顔。なのにそこに僕のよく知る柳瀬君の素顔を垣間見たような気がして、少しだけ嬉しかった。

 でも、どうしよう? いくら見た目の年齢が異なるとはいえ、さすがに田中 海斗だと名乗るわけにはいかないし。

 そこで僕は、偽名を使うことにした。
 とはいえまだちょっとだけ動揺していたせいで、咄嗟に浮かんだその名前は本当に酷いものだった。

「……太郎だよ」

「太郎……?」

 困惑顔の彼に向かい、再度同じ名前を口にした。

「そうだよ、太郎」

 浦島太郎から借りたこの名前は、間違いなく僕には似合わないものだろう。
 それでも今さら別の名前を口にするのもおかしな気がするから、そのまま突き進むことにした。

「偽名にしても、もうちょっとなんかあるだろ」

 呆れたようにそう言うと、彼は腹を抱えて爆笑した。
 それにムカつきながらも、仏頂面で僕も聞いた。

「お兄さんの名前も、教えてもらっても?」

ひじりだよ」

「聖……」

 ずっと苗字でしか呼んだことがなかったけれど、改めてその名を口にすると、なんとなくくすぐったい気分になった。
 そのためにへらと笑って彼の頬に手を添えて、そっと唇にキスをした。

 刹那的な、肉体だけの関係。なのに彼の名前を呼ぶ権利を与えられたことで、新たな欲が生まれた。

 ……例え偽りの姿であっても、彼の特別になりたい。

 徐々に激しさを増していく口付け。
 その時あの日出会った亀の、やたらと冷静な声がどこか遠くで聞こえた。そんな気がした。

『依存性がちょっと高いから、ある程度満足したところで使用を停止することをおすすめしますがね』

 だけどそれを誤魔化すみたいに柳瀬君の体に縋り付き、夢中で求めた。

 自らの意思で、すでに大きく勃ち上がった彼のモノに手を伸ばし、ゆっくり上下にしごく。
 すると彼は艶っぽくニッと笑い、僕の頭を優しく撫でてくれた。

 それに気を良くした僕は両手でそれを包み込み、激しくしごいた。

「上手だな、太郎。……いい子」

 柳瀬君は、セフレの扱いがうまいと思う。やっぱりこういうのに慣れているということなのだろうなと思うと、ちょっとだけ悲しくなった。

 そういえば、今日バーで会ったあのキレイな男の子。……彼とも今僕らがしているのと同じようなことをしたのだろうか?

 一瞬そんなことを考えたけれど、だからそれがいったいなんだというのか?
 僕は柳瀬君にとって、ただのセフレのひとりで。……恋人でも、なんでもないのに。

 その時彼の指先が、僕のお尻の穴に触れた。

「大丈夫だよ、聖。ちゃんと自分で、準備してきたから!」

 あまりにも恥ずかしくて、逃れようと体を離した。
 なのに再び強く抱き寄せられて、そのまま人差し指を挿入された。

「ほんとだ、しっかり準備済みみたいだな。……そんなに俺に、抱かれたかったの?」

 ククッと耳元で笑いながら囁かれ、カッと全身が熱くなる。
 それと同時に物欲しそうに彼の指を締め付けてしまったものだから、きっと柳瀬君にも僕がどれくらい求めていたか、伝わってしまったに違いない。

 本当は恥ずかしくてたまらなかったけれど素直に小さくコクンとうなずくと、彼はフッと小さく笑った。

「指、増やすよ」

 僕の中に、2本目の指が侵入してきた。そしてその指を、僕の中で彼はゆっくり、思い知らせるように開いた。

「ハハ、2本目も余裕みたいだな?」

 グチュグチュと音を立て、僕の中を暴れる彼の指。以前抱かれた時に弱点はすべてバレてしまっているから、的確に何度もそこを攻めたり、逆に焦らすみたいにポイントを外したりされることで、僕は心身ともに追い込まれていった。

「聖ぃ……、もうダメ……! 限界だから、挿れてよ。お願い……!」

 必死に訴えると、僕の中からゆっくり指を引き抜いた。

「別に、いいけど。……でも太郎が欲しがったんだから、今日は嫌だのダメだの言っても聞いてやらないからな」

 それから彼は僕を四つん這いにさせ、まるで獣みたいな体勢のままいきなり奥まで貫いた。

 
「あっ……、んんっ!」

 枕を抱き締めて、声を必死に圧し殺す。
 だけどそれが不満だったのか柳瀬君は僕から枕を奪い、僕の手の届かない位置にポイと放り投げた。

「俺さ、太郎の声好きなんだよね。だから、もっと聞かせろよ」

 今度は入口近くを何度も擦り上げられ、そのたびにカリが少し引っかかり、僕の弱点を的確にえぐる。
 そのたびに僕は、情けないくらい鳴かされ続けた。

「ほんと太郎は、ここ弱いよな? 雑魚過ぎだろ」

 パンパンと激しい音を立て、腰を受け付けられる。
 だけど心も体もすでにドロドロに蕩けきった僕は、ただ喘ぎ声を上げることしか出来なかった。

「締め付け、ヤバ……。太郎も、気持ちい?」

 コクコクと何度もうなずきながら、大好きな柳瀬君が与えてくれる快楽に溺れた。
 
 首筋に唇を押し当て、吸い上げられる。おそらくキスマークを付けられたのだと分かったけれど、そこならスーツを着たらきっと見えない場所なはず。
 そう思ったから、されるがままにしておいた。

 イき過ぎたせいで、もう何度達したかすら分からない。
 その境目すら分からないまま、ただ彼の名を呼び続けた。

「聖! 聖ぃ……!」

 腰をしっかり掴まれ、逃げることすら出来ないまま、快感を送り込まれ続ける。
 僕はもう喘ぐことすら出来なくて、フゥフゥと息を乱しながらまるで獣みたいなうめき声だけあげた。

「ハハ、かーわい♡ そろそろ俺も限界だし、一発目出すぞ?」

 腰を強く引かれ、ひときわ激しく突かれたかと思うとらそのまま一番奥をえぐられ、白濁した熱い体液を彼が僕の中に吐き出したのを感じた。 
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