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銀蝶

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新居に慣れよう

お散歩しよう!

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購入したパンの紙袋をいったん、お家のキッチンに置いて、再び外に出た。

まだ日が高いうちに、近所を歩いて覚えたかったのだ。

「日用品のお店があっちでー、この通りは朝市があるのかー、ふむふむ。お花屋さんも発見」

私のお家は湖側近くの、表通りから二本奥の道沿いにある。

一度湖の方に戻ってまっすぐ道なりに歩き、興味深そうな建物や看板、街灯やベンチなどを眺めた。

時間的には三時過ぎくらいかな?

表通りには馬車が通る太い道があり、石畳で綺麗に舗装されている。

車道と歩道がきちんと分けられ、町はどこも清潔で綺麗だ。

途中で、公園らしき広場を発見。

カイツに寄っていいか確かめてから、踏み込む。

周囲を緑の植木に囲まれた、かなり広い空間だ。真ん中に噴水があり、家族連れやカップルが数組くつろいでいる。

芝生みたいに草が生え、低い植木で区切りもあり、寝転んだりも出来そう。

「ちょっと休憩してこー」

「いいぞ」

日陰になっている、誰もいない木のそばに腰を下ろして、なごやかな風景を眺める。

カイツは私のそばで寝そべり、だらんとする。

町の広さの割に、住民は少なめなような?

空いていて、静かでいいんだけど……住宅地というよりは……アレだ、避暑地みたいな雰囲気。

「その認識で合っている。湖畔の町は王都からほどほどに距離があり、街道からもわざと遠く、静かに暮らせる場所として作られた」

「ほぇー、じゃあ、その王国?は平和なのね」

「うむ。町には図書館もある。ヒマな時に勉強でもするといい」

「……はぁい」

嫌そうに返事をすると、ぺしんと足首を叩かれた。

気持ちいいだけで、頬がゆるむ。

「まったく、キミの呑気さは……む」

サクサクと、草を踏む音が近づいてきて、誰かが横に立った。

「……ちゃ!」

「ん?」

ちっちゃな女の子が、転びそうになって私の肩につかまった。

慌てて腕を出して支えると、ばっちりと目が合う。

「……ちゃ?」

「おお?」

かっ、可愛い!  3歳くらいかな、淡い茶髪に淡い赤い瞳の、めっちゃ可愛い女の子。

「こんにちは?  お母さんかお父さんは?」

「……ちゃ!」

はぐれちゃったのかな?

周りを見回して、それらしき大人がいないか探してみる。と。

「ルーっ!  どこ行った!」

すぐに探してる声がして、やっぱり背後の植木を飛び越えて、ひとりの少年が現れた。

「ルーっ!  いた!  ……あ?」

十代後半くらいの、女の子とよく似た雰囲気の少年は、こっちに気づいて駆け寄ってきた。

おお、くせっ毛の金茶の髪と鮮やかな真っ赤な瞳の、将来有望そうなイケメン君だ。

兄妹かな?

少年は、目が合うと何故かピタッと動きを止め、穴の空くほど私を見た。

な、なんだろう?

「この子のお兄さん?  ちゃんと手をつないでないと、迷子になるよー」

「え……あ……っ、ルーっ!」

「ちゃ!」

女の子はヨタヨタと兄らしき少年に抱きつく。

妹?さんを受け止めたのに、まだこっちを見たままの少年に困惑する。

なんだろう。私の顔が変なのかな。私でさえ見慣れなくて微妙な気分になるものね。

あ、違うか、見慣れない人間だから、警戒されてるのかも?

挨拶しとこう!  誤解を解くためにも!

「はじめまして!  ミルシィ・アーケルドっていいます。今日引っ越してきたの、よろしくね?  すっごく可愛い妹さんねー、まるで妖精のお姫様みたい!  あっ、じゃあお兄さんは、妖精の王子様かな?  ……なーんて、まさかねー」

「え……な……!  ……!?」

「ちゃ?」

女の子は可愛いく首を傾げ、少年は焦った顔になった。

ん?

ぺしんと足首を叩かれ、カイツがすっくと身を起こす。

「ミルシィ、行くぞ」

「え?  はぁい。待ってカイツさん、じゃあまたねー」

「ちゃ!」

呆然と突っ立ってる兄妹を放置して、公園を後にする。

さてさて、暗くなる前に早めにお家に帰りましょうか。

お夕飯は、何を作ろうかなー?


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