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Act.4 押しかけペットとグルシエス家中
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次の日、俺とクリストファー様はリアンにおねだりされて、物言うペットたちの様子を見に行っていた。
洗濯に使う井戸では、うーさんが洗濯メイドさんたちとお喋りに興じている。
話の中身はちんぷんかんぷんだったが、化粧だの食べ物だのという単語が聞こえた気がする。
あのプライド激高妖精のうーさんが、人間の食べ物や化粧の話を大人しく聞くとはなぁ。
本邸近くの庭では、しーちゃんが的当て遊びに参加していた。
どうやら幼い頃から遊びの形で鍛錬をしていることに、いたく感動したと言って、今日は自分から的出しを手伝うと申し出たんだそうだ。
……その的、ひゅんひゅん飛び回ってるんだけどな。
カトリーヌ様が全然当てられなくて、もの凄く悔しそうになさってるんだけどな……。
その後、別邸の前庭花壇に行くと、のーちゃんが別邸の庭師さんと熱心に話し込んでいる姿があった。
薬草温室の畑の話を聞いて、別邸の花壇も見てほしくて声をかけたんだそうだ。
土にいい栄養とかなんとか、色々話し合っている。
俺は園芸に関しては門外漢だから、何がなにやら。
最後に、本邸の厨房を覗きに行く。
昨日リアンと一緒にいーさんを謝らせに言ったときに打診はしていたので、入り口から覗いている分には大丈夫だろう。
コンロに立っている料理人の人が、おもむろに何かを掴んで、そっと魔道具コンロの端に置いた。
それは不満そうに目を細めている、いーさんだった。
料理人の人に「コンロ全部使うんだから邪魔するな」と言われている。
それなら仕方ないと言わんばかりに、置かれたその場に寝そべって目を閉じた。
「……リアン、どう?」
クリストファー様が、一連の様子を見ていたリアンに訊いてみる。
リアンは俺たちを見上げて笑顔を浮かべた。
「あれなら、じゃましてないとおもう!」
「そっか。じゃあ、しばらくあのお仕置きはいらないね」
「あい!」
一応、料理人やメイドさんたちの邪魔にならないように、こそこそ話していたつもりだったんだが、近くの人には聞こえていたらしい。
厨房メイドさんが何人か微笑ましそうにしている。
さて、様子も確認できたことだし退散するか。
「リアン、俺たちが邪魔しちゃいけないからそろそろ行こうか」
「あい、ぱぱぁ」
リアンは俺に返事すると、両手で俺たち二人の手を片方ずつ握ってきた。
そのまま、連れだってサロンの方に行く。リアンが読んでみたいと言っていた絵本を何冊か用意してもらっていたんだ。
夕食まではその絵本の朗読会かな。うちのリアンは人里生活一ヶ月でもう字が読めるんだぞ、凄いだろう。
クリストファー様も、リアンが初めて絵本を自力で読んだときは凄くリアンを褒めていたくらいだ。
そんな俺たちの後ろ姿を入り口付近にいた人たちがみんな、微笑ましげな顔で見送っていたなんて全然知らなかったのだった。
洗濯に使う井戸では、うーさんが洗濯メイドさんたちとお喋りに興じている。
話の中身はちんぷんかんぷんだったが、化粧だの食べ物だのという単語が聞こえた気がする。
あのプライド激高妖精のうーさんが、人間の食べ物や化粧の話を大人しく聞くとはなぁ。
本邸近くの庭では、しーちゃんが的当て遊びに参加していた。
どうやら幼い頃から遊びの形で鍛錬をしていることに、いたく感動したと言って、今日は自分から的出しを手伝うと申し出たんだそうだ。
……その的、ひゅんひゅん飛び回ってるんだけどな。
カトリーヌ様が全然当てられなくて、もの凄く悔しそうになさってるんだけどな……。
その後、別邸の前庭花壇に行くと、のーちゃんが別邸の庭師さんと熱心に話し込んでいる姿があった。
薬草温室の畑の話を聞いて、別邸の花壇も見てほしくて声をかけたんだそうだ。
土にいい栄養とかなんとか、色々話し合っている。
俺は園芸に関しては門外漢だから、何がなにやら。
最後に、本邸の厨房を覗きに行く。
昨日リアンと一緒にいーさんを謝らせに言ったときに打診はしていたので、入り口から覗いている分には大丈夫だろう。
コンロに立っている料理人の人が、おもむろに何かを掴んで、そっと魔道具コンロの端に置いた。
それは不満そうに目を細めている、いーさんだった。
料理人の人に「コンロ全部使うんだから邪魔するな」と言われている。
それなら仕方ないと言わんばかりに、置かれたその場に寝そべって目を閉じた。
「……リアン、どう?」
クリストファー様が、一連の様子を見ていたリアンに訊いてみる。
リアンは俺たちを見上げて笑顔を浮かべた。
「あれなら、じゃましてないとおもう!」
「そっか。じゃあ、しばらくあのお仕置きはいらないね」
「あい!」
一応、料理人やメイドさんたちの邪魔にならないように、こそこそ話していたつもりだったんだが、近くの人には聞こえていたらしい。
厨房メイドさんが何人か微笑ましそうにしている。
さて、様子も確認できたことだし退散するか。
「リアン、俺たちが邪魔しちゃいけないからそろそろ行こうか」
「あい、ぱぱぁ」
リアンは俺に返事すると、両手で俺たち二人の手を片方ずつ握ってきた。
そのまま、連れだってサロンの方に行く。リアンが読んでみたいと言っていた絵本を何冊か用意してもらっていたんだ。
夕食まではその絵本の朗読会かな。うちのリアンは人里生活一ヶ月でもう字が読めるんだぞ、凄いだろう。
クリストファー様も、リアンが初めて絵本を自力で読んだときは凄くリアンを褒めていたくらいだ。
そんな俺たちの後ろ姿を入り口付近にいた人たちがみんな、微笑ましげな顔で見送っていたなんて全然知らなかったのだった。
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