21 / 67
第一部 王立宮廷大学を目指そう!
20. 努力している者をバカにしてはいけない
しおりを挟む
カテリーナは、休むことのない特訓を約1ヵ月半の間、毎日続けていた。
その結果、剣の切り返しなども含め、攻撃に関する基本の型のほとんどができるようになっていた。
「上手く剣を扱えるようになってきたね」
「はい!(まあ、これだけ強制回復されて、詰め込み訓練を続けてていればですね……)」
兄、アレクシオスは、カテリーナの腕をさわり、筋肉のつき方を確認していた。
「うん。最低限剣を振れる筋力がついてきたね。しかしこれは、あくまで型で点数を取れるようになるための訓練だから、筋力はこの程度で大丈夫だよ」
「え、本当ですか!? お兄さま、ありがとうございます!(やったぁ! これで恐ろしい訓練が終わりを迎えるわ!)」
「これ以上、筋肉をつけてお母さまみたいになっても困るし……いや、まあ、これくらいで」
――え、お母さま? 私にはあまり記憶がないけど、お母さまって、そんなに筋力があったかしら?
カテリーナの記憶の中では、母アナスタシアとの思い出は、優しいものしか残っていなかった。
「じゃあ、次の段階に移るよ」
「はいっ!」
「次は防御の型だね。剣での受け流しだけでなく、今度は盾も使うよ。特に盾を使った防御の試験のポイントは、皆と同じ動きがきちんとできるかどうかなんだ。もし崩されたときは、どのような動きをするかだけど・・・
――ははははは、これで終わるわけ、ないですよねぇ……
心の中でガックリときていたカテリーナだったが、その様子を羨ましそうに、ずっと隠れて見ている者がいた。
それは義弟のキリロスだった。
「お兄さまは、何であんな才能も何も無い奴に肩入れするんだ!」
キリロスの瞳の奥には、カテリーナに対する嫉妬と憎悪の感情が渦巻いていた。
「そんな無駄なことをするくらいなら、僕にももう少し、稽古をつけてくれてもいいのに……」
キリロスはまだ11歳だったが、身体強化系の魔法が優れ、特に剣士としての才能が周囲に認められ、将来を期待されている人間だった。
自分の方が優れていると、常に思っていたからこそ、カテリーナを見下していたのかも知れない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カテリーナは、日が沈むまでは剣の訓練を行い、その後は義母の教育があればそれを行い、それ以外の時間は、筆記試験の勉強に充てていた。
そのため、宮廷大学の試験勉強としては、毎日14時間から16時間行っていた。
義妹のゼノビアは、教えている兄アレクシオスにも少し呆れており、「無駄な努力」とカテリーナをバカにし、ほぼ無視をしている状態だった。
逆にキリロスは、カテリーナの無謀な挑戦のために、兄の時間まで奪われていることへの鬱憤が貯まりつつあった。
そしてある日、キリロスは我慢の限界を超えてしまった。
アレクシオスとカテリーナが訓練している所に乗り込み、暴言を吐いたのだ。
「兄上! なんでこんな無駄なことを続けるのですか! 義姉上がどんなに努力をしても、年下の僕にすら絶対に勝てないですよ!」
すると、兄、アレクシオスの顔が変わった。
「キリロス! 努力している者を、決してバカにしてはいけない!」
――普段優しい兄が、自分に対して怒るなんて……
キリロスは、義姉のカテリーナにより、兄が誑かされていると思い、怒りの矛先をカテリーナに向けた。
「お義姉さまは、いくら努力したって無駄なんだ! 早く、そんなこと止めてしまえっ!」
カテリーナが、口を開きかけたとき、それを制止してアレクシオスが声を出した。
「もう一度言う。努力している者を決してバカにしてはいけない。カテリーナが努力を続ければ、お前では絶対に勝てなくなるぞ!」
「ははは、正気ですか兄上! 義姉上がいくら努力したところで、年下の僕にすら勝てませんよ」
「キリロス、言ったな。取り消して謝るなら今のうちだ。騎士の言葉は、取り消せなくなるのだぞ」
「何度でも言いましょう。義姉上は、いくら努力したって無駄なんですよ。何回やったって、僕には絶対に勝てない!」
カテリーナは自分が言われているにも関わらず、兄弟同士の激しい言い争いを心配し、あたふたしていた。
「……そこまで断言するならいいだろう。すべての訓練が終わった後、カテリーナと対戦してみるといい。騎士を目指すなら、言葉ではなく、剣をもって自分の正しさを示すんだ」
「望むところですっ!」
――ど、どうしましょう……。私が一言も発していないうちに、大変なことに……。どうしてこうなるの!?
カテリーナは訓練の終了後、義弟キリロスとの対戦が決まった。
その結果、剣の切り返しなども含め、攻撃に関する基本の型のほとんどができるようになっていた。
「上手く剣を扱えるようになってきたね」
「はい!(まあ、これだけ強制回復されて、詰め込み訓練を続けてていればですね……)」
兄、アレクシオスは、カテリーナの腕をさわり、筋肉のつき方を確認していた。
「うん。最低限剣を振れる筋力がついてきたね。しかしこれは、あくまで型で点数を取れるようになるための訓練だから、筋力はこの程度で大丈夫だよ」
「え、本当ですか!? お兄さま、ありがとうございます!(やったぁ! これで恐ろしい訓練が終わりを迎えるわ!)」
「これ以上、筋肉をつけてお母さまみたいになっても困るし……いや、まあ、これくらいで」
――え、お母さま? 私にはあまり記憶がないけど、お母さまって、そんなに筋力があったかしら?
カテリーナの記憶の中では、母アナスタシアとの思い出は、優しいものしか残っていなかった。
「じゃあ、次の段階に移るよ」
「はいっ!」
「次は防御の型だね。剣での受け流しだけでなく、今度は盾も使うよ。特に盾を使った防御の試験のポイントは、皆と同じ動きがきちんとできるかどうかなんだ。もし崩されたときは、どのような動きをするかだけど・・・
――ははははは、これで終わるわけ、ないですよねぇ……
心の中でガックリときていたカテリーナだったが、その様子を羨ましそうに、ずっと隠れて見ている者がいた。
それは義弟のキリロスだった。
「お兄さまは、何であんな才能も何も無い奴に肩入れするんだ!」
キリロスの瞳の奥には、カテリーナに対する嫉妬と憎悪の感情が渦巻いていた。
「そんな無駄なことをするくらいなら、僕にももう少し、稽古をつけてくれてもいいのに……」
キリロスはまだ11歳だったが、身体強化系の魔法が優れ、特に剣士としての才能が周囲に認められ、将来を期待されている人間だった。
自分の方が優れていると、常に思っていたからこそ、カテリーナを見下していたのかも知れない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カテリーナは、日が沈むまでは剣の訓練を行い、その後は義母の教育があればそれを行い、それ以外の時間は、筆記試験の勉強に充てていた。
そのため、宮廷大学の試験勉強としては、毎日14時間から16時間行っていた。
義妹のゼノビアは、教えている兄アレクシオスにも少し呆れており、「無駄な努力」とカテリーナをバカにし、ほぼ無視をしている状態だった。
逆にキリロスは、カテリーナの無謀な挑戦のために、兄の時間まで奪われていることへの鬱憤が貯まりつつあった。
そしてある日、キリロスは我慢の限界を超えてしまった。
アレクシオスとカテリーナが訓練している所に乗り込み、暴言を吐いたのだ。
「兄上! なんでこんな無駄なことを続けるのですか! 義姉上がどんなに努力をしても、年下の僕にすら絶対に勝てないですよ!」
すると、兄、アレクシオスの顔が変わった。
「キリロス! 努力している者を、決してバカにしてはいけない!」
――普段優しい兄が、自分に対して怒るなんて……
キリロスは、義姉のカテリーナにより、兄が誑かされていると思い、怒りの矛先をカテリーナに向けた。
「お義姉さまは、いくら努力したって無駄なんだ! 早く、そんなこと止めてしまえっ!」
カテリーナが、口を開きかけたとき、それを制止してアレクシオスが声を出した。
「もう一度言う。努力している者を決してバカにしてはいけない。カテリーナが努力を続ければ、お前では絶対に勝てなくなるぞ!」
「ははは、正気ですか兄上! 義姉上がいくら努力したところで、年下の僕にすら勝てませんよ」
「キリロス、言ったな。取り消して謝るなら今のうちだ。騎士の言葉は、取り消せなくなるのだぞ」
「何度でも言いましょう。義姉上は、いくら努力したって無駄なんですよ。何回やったって、僕には絶対に勝てない!」
カテリーナは自分が言われているにも関わらず、兄弟同士の激しい言い争いを心配し、あたふたしていた。
「……そこまで断言するならいいだろう。すべての訓練が終わった後、カテリーナと対戦してみるといい。騎士を目指すなら、言葉ではなく、剣をもって自分の正しさを示すんだ」
「望むところですっ!」
――ど、どうしましょう……。私が一言も発していないうちに、大変なことに……。どうしてこうなるの!?
カテリーナは訓練の終了後、義弟キリロスとの対戦が決まった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ
よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。
剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。
しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。
それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。
「期待外れだ」
「国の恥晒しめ」
掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。 だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。
『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』
彼だけが気づいた真実。
それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。
これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。
【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる