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公爵様との出会い
しおりを挟むアルベイン様との出会いは数年前の闘技大会だった、私はお父様に連れられて初めて真剣での熱き戦いに鼓動が激しくなって興奮した。
そのときアルベイン様が登場するやいなや会場は今までの声援がなんだったのかという程に、男も女も熱気に包まれて地響きでも起きるほどの割れんばかりの歓声に包まれたのだ。
アルベイン様の戦いは目にも止まらぬ動きで相手を圧倒していて、銀色に輝く長い髪が舞う度に私は地上に舞い降りた天使様だと本気で思った。
当時のアルベイン様はまだ王宮騎士団務めではなかったから、私はお父様にオネダリして闘技大会に何度か出向いて彼だけを応援し続けた。
ある日、お父様から私が応援していたアルベイン様が王宮騎士団団長の養子になったと聞いた時は驚いたと同時に嬉しくも思った。
闘技大会は素晴らしいものではあったけれど、彼なら王国の剣として腕を振るう方が似合うと思っていたからだ。
私はあれからずっと、アルベイン様に心を捧げて生きてきた、遠くから見るだけで充分でお近づきになりたいとか、そういった感情はなかったのに……なぜ、こんなことになってしまったのか。
私は自慢ではないが20年間生きてて男性から誘われたり、縁談の話がきたりがなかった、パーティーでもいつも壁の花になってることが多いくらいだ。
ダンスすら誘われない伯爵令嬢、私にはきっと他の人にはあるのにないものそれがあるのだと気づいた。
それはきっと異性を魅了するための魅力である、それが私には圧倒的に不足してるからこそ異性から声をかけられない人生を送ってるんだと思う。
友達からは私は可愛いとかよく言われるけど、慰めてくれてるんだってわかってる。
じゃなければ壁の花なんてありえない、仮にも伯爵令嬢だ、男爵子息からも相手されないことがもう私の魅力のなさなのは明らかだろう。
そんな私が公爵様となんてことになった日には、誰も納得するわけが無い。
そうだ、ここはしっかりと自分の意思を伝えて断らなければと意を決して口を開きかけた時、アルベイン様が優しい微笑みを浮かべたまま口を開いた。
「ルーナ、急ぎすぎたかな?君の父君に会いたいと言うのは……、私としては今すぐにでも君と結婚をしたい、昨夜ここに…」
私のお腹をアルベイン様は撫でて────沢山私の子種を注いだ、初めてのこと故、避妊に気が回らなかったのだ、すまない。
私はその言葉を聞いて驚いた、アルベイン様が初めてだったこともだが、中に出された、避妊もされずにというほうにだ。
だって、そんなことをしたら妊娠してしまうかもしれない。
血の気が引くのを感じた、誰の子かも分からない子供を身篭ったなんて言えば勘当される。
かといって正直にアルベイン様の子を身篭ったと言えば、喜ばれるのは喜ばれるだろうけど、私はそれが嫌なのだ。
アルベイン様との一夜は、記憶になくても昨日のそれだけでいい。
私が声も出せずに呆然としてるとアルベイン様は笑顔を絶やさぬまま、言葉を続けた。
「ルーナ、君も初めてのようだったし、お互いに初めて同士でもあるのだから責任を取るのは普通のことだろう?まさか…、私から逃げようなどと思っていないよね?」
有無を言わせない圧を感じて、緊張と恐怖からか心臓が騒ぎ出す。
アルベイン様を怖いだなんて思う日が来るなんて思わなかった。
私がなにも言えないでいると、ふっと表情が和らいでアルベイン様は砂糖を煮つめたような甘い声音で囁いた。
「ルーナ、私と結婚してくれるね?」
その声の魔力に私は逆らうことが出来ず、思わず「ひゃいっ」と頬を赤らめて答えてすぐにハッと気づく。
しっかりしなさい、私!
と心の中で喝を入れて、頭を横に振った。
「ア、アルベイン様、私とアルベイン様ではその、釣り合いがとれません!アルベイン様にはもっと……」
「ああ、そうか、すまない、そこまで頭が回らなかったよ、私も一応女性からはそれなりの評価を受けるが、ルーナに比べたら私なんてまだまだだ」
なんだかとんでもない誤解をしてる気がする!と私は慌てて口を開く。
「ち、違います!私がアルベイン様に釣り合わないのです、アルベイン様はとても素敵な方ですわ、私なんかよりもっと美人な方が……」
「嗚呼、ルーナなぜ君はそんなにも愛らしいというのに謙遜するんだい?」
「けっ、謙遜してるわけでは……」
「金色に輝く美しい髪、空を思わせる澄んだ青色の瞳、うっすら桃色のぷるぷるの唇、どれをとっても完璧で君は美しく可愛い、私では君には釣り合っていない、それでも愚かにも君に恋をした私と結婚をしてくれないか?ルーナを知ってしまった以上、私は君を忘れるなんてできそうにない」
紡がれた言葉の数々に今までま異性にそんなことを言われたことがない私は、プシューっと湯気がたつのでは?というくらいに顔を真っ赤に染めて、はくはくと口を開けたり閉じたりするしかできなかった。
言葉にならないとはこのことである。
アルベイン様はもしかして、視力が悪い可能性について思いついた、確かに私はアルベイン様の言うような髪色と目の色をしてるかもしれない。
が、だからといって可愛いとはかぎらない、本当に私が可愛いなら今まで1度も口説かれないなんてありえるだろうか?
アルベイン様、醜女が好きという可能性もあるのかしら?
いつもアルベイン様を取り囲んでいる方々は美しい方達ばかりだったし。
「あの、アルベイン様、失礼ですが昔から異性の趣味が変わってると言われたことがあるのではありませんか?」
「そんなこと言われたことなどないな、むしろ、その逆で理想が高すぎると言われたよ、そんなんだから恋人ができないんだと」
アルベイン様にそんなことを言ったのは誰かはわからないけど、その方もきっと普通じゃないのね。
私はどうやってアルベイン様を説得しようかと悩んでいた。
「ルーナ、私の初めてを奪っておいて逃げるつもりかい?先程から私との結婚を避けたがってるような気がするが……」
「ま、まさかそんなことは……」
「ルーナに逃げられたら、私は伯爵令嬢にやり捨てされたとして噂がたつかもしれないね」
脅しだ、これはれっきとした。
私が逃げたら噂を流すということだろう。
そんな事されては私は身の程をわきまえずにアルベイン様をやり捨てしたとして、友達すら離れていくかもしれない。
終わった、これは完全に終わった……。
「やり捨てなんてまさか……そんなことしません!」
「ああ、よかった、ルーナが身篭る可能性も考えて早く父君に挨拶するべきだと思うんだけど、ルーナはどう思う?」
私に聞いてるようでこれは聞いてないのと同じだ。
断れば私は二度と結婚なんてできない、親に勘当され友達からも見捨てられる未来しか見えないのだから。
断れない時点でいつお父様と会っても私にはなんの意味もないのだ、推しに幻滅したらどうしよう、願うなら昨日に戻りたい。
お酒を飲みすぎて酔うなって怒りたい、そんなの無理なのわかってるけど。
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