忌み子が神様のお嫁さんになるまで。【完結】

REN

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神様と暮らして1年

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神様と暮らして季節が何回か変わった、あれから1年だ。

1年経過して僕はそろそろ食べ頃なんじゃ?と自分でも思いはじめた。

来た頃よりあきらかに肥えて肉がついてきたし、だから神様に食べないのか?と聞いても食べないの一点張りだ。

神様が何を考えてるのかわからない、1年も経過すると神様と僕は一緒に寝てるし、神様が僕にべったりしてる時もある。

少しは僕との別れを惜しんでくれてるのかな?とか、ちょっとだけ期待してみたり。
忌み子として育てられ、名前すらなかった僕を大事にしてくれる神様は不思議で仕方ないけど、僕は早く食べられたい気持ちでいっぱいだった。

これ以上ないくらいの幸せをもらったから、この1年で十分満足してるんだ。
だから、これ以上は欲張っちゃうから…、そんな僕の気持ちを知らない神様は今日も僕の料理中にちょっかいをかけてくる。

つまみ食いなんて当たり前のように行われるから、多めに作ることにしてるし、最近ではお風呂も一緒に入るから、なんでこんなことしてるんだろ?とふとした瞬間に我に返ることだってある。

一緒に寝るのもお風呂入るのもさすがにおかしいと思う、思うのにとめることはできない。
それが別に嫌じゃないからだ、神様と一緒にいるのは居心地がよすぎるくらいだしとぼんやりと考えながら、お味噌汁を作ってると神様が僕を後ろから抱きしめてきた。

「なんか考えてんのか?」

「い、いえ」

「ふーん、まっ、別にいいけど、そうだ、朝餉食べ終わったら、お前がいた村行こうぜ」

「え?」

「お前がいた村だよ村」

神様がなにかを企んでるような表情で僕にそう言った。
なんで今更あの村に?と思うけど、神様の考えてることなんてわからないし、ただ、無邪気な笑顔なのに鼓動が自然と跳ね上がるのは恐怖だろうか。

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