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見習冒険者編【見習の番人】参上!!
6話
しおりを挟む最近はレベルを譲渡しては新たなスキル:ウェポン使いと生産の能力向上に務めた。
やはりレベルが低いとバカスカスキルレベルが上がっていくがある一定のレベルになると遂に上がらなくなった。
最近は教官の指示に従わない悪ガキ連中の心を折る役目を俺がしていた。
これも必要な措置らしく、自分と同じ年代の子に心を折られると無謀なことをしなくなるらしい。
「よう、番人! 最近活きのいい奴らは来たかい?」
この人は若手の多いクランのクランマスターのサンバルさんだ。
前にレベルを譲渡した縁でよく食堂で会うと会話している。
この間、講習を1度だけ受けて逃げ出した子達の再教育をしている。
ギルドと違いクランは冒険者自身が選んで入る場所なので容易に抜けることができない。
雇用契約を結ぶので生活を保証する代わりに育成も視野に入れてるからキッチリしないといけないらしい
この人は顔は極悪だけれど、めちゃくちゃ良い人なのだ。
「えっと最近は顔が怖くなりそうな子達は入って来てないですね!」
「クリシュナお前……俺の選考基準が強面の顔だと思ってないか?」
衝撃の事実であった。サンバルさんのクランは皆、厳つく強面の人ばかりなので集めて居るのだと思ってた。
俺は頷くと……少し落ち込んだ表情のサンバルさんは
「いやぁ。そろそろ女の子とか来て欲しいんだけどな?
魔物に襲われてた所を助けても何故か俺達の顔を見ると泣き叫びながら逃げられるんだよ。
笑顔で話しかけようと思ったんだけどさ?」
怖いもの見たさで頼んで笑顔になって貰った。
「うわっ、作り笑い過ぎて逆に怖い。今から拉致ってやるぞと背後に台詞が見えますよ?」
そう言うと食堂の周りの人達も大爆笑を始めた。
この街の冒険者はクラン、ギルド関係なく仲良いからね。
それに……俺達のテーブルにてんこ盛りの食事が置かれる。
「へい!おまちぃ! 今日はいい食材がサンバルから入ったから楽しめよてめぇら!」
もっと面倒見の良い強面が居るからだ。
あれで髭を生やしたら大盗賊団の首領と言われても納得出来る。
「そういや今更ですけれど番人ってなんです?」
サンバルさんはニヤリと極悪顔を歪ませ
「お前、Fランク冒険者にもうなれるだけの戦闘技能があるのにならないで見習やってるから
見習から上に上がる奴はお前と教官を乗り越えた奴だけだろう?」
俺はまさにその通りなのでもぐもぐと食べつつ頷く。
「だから見習からFランク冒険者への登竜門の番人って意味で番人だ。
所で本当にお前……いつになったらFランク昇格するんだ?」
俺は少し考えてサンバルや他の冒険者の装備を見る。
「う~ん。今や武器防具作れるから自分で作った武器防具が揃ったらFランクになりますよ。
まだもう少しだけ現役冒険者の魔法を見ておきたいんですよ!
そろそろミーカが王都から戻ってきて教官予定らしいので!
普通に教えて貰うより格安ですからね!」
そう、ミーカの様なCランク冒険者に魔法を教わろうなんて考えたら2、3日でも金貨を払わなきゃいけないけど
ギルドの教官してくれるならタダだからね?
「クリシュナ……お前意外と商売の才能もあるのかもな?
金の損得勘定出来るなんてな。俺達冒険者は渡したら渡した分使いやがって次の日には金欠だぁって騒ぐからな」
周りのテーブルのあちらこちらから『グフッ』と噎せる音が聞こえた。
「だって良い武器欲しいし、作るにしても素材を取りに行かなきゃいけないからね。
それを考えると原材料は自分で用意しないといけないからね。
多分辺境なら『誰でも』できるよ!」
『クォバ』と変な呻き声が聞こえ、サンバルもゲラゲラ笑っていた。
「俺もクランの会計の嫁さんから毎日頭引っぱたかれてるよ!
昔は稼いで武器とポーション代、宿、飯代位にしか気を配らなかったが
トップになると服装やら依頼をくれる人達にも良い印象を与えようとなるからな!
こういう時は強面が邪魔するよ」
「でも商人達には逆に強みになるんじゃない? 盗賊とか来ないじゃん!」
サンバル達のクランは商品輸送の護衛と言えばと言われるほど有名だ。
盗賊達が自分達よりも強面な集団が馬車を護ってるので尻込みしたり
他の盗賊団と間違えて縄張り争いの抗争にならない様にあっちから何故か配慮するのだ。
1度だけ大盗賊団の襲撃があってサンバルさんが大きな斧で地面を抉ったら相手がビビり
首領の首を一瞬にしてスッパリ切り落としたら全員平伏し
『着いていきやす親分』って言われて『俺は冒険者だ馬鹿者!』と説教したのは有名らしい。
街の人にはドンとか呼ばれて未だにからかわれているらしいよ。
するとデヴィッドか俺に1枚の紙を渡してくる。
俺は依頼票を見てゲンナリする。
「えぇ~また~? あそこのおじいちゃん人使いが荒いからなぁ~。おっ!報酬が上がってる!」
デヴィッドはニヤリと笑った。
「そりゃそうだろ? お前さんがランクまで仕分けさせられてるって文句言ってたからな。
爺さんに見習がランク分けは無理に決まってるだろ?
って伝えたら渋々OKしたよ。おかしいよな? ギルド直営の鍛冶師なのにこっちがお願いする前に気付いて欲しいもんだ」
ご飯を食べ終わるとデヴィッドがお茶を持ってきてくれた。今日のお茶はカップの下に皿が着いていた。
これも秘密の合図、頼んでいた『レベル讓渡』の相手が都合ついたからよろしくって奴だ。
デヴィッドも細やかな気配りが出来る人だと思う。
少し冷ました後に飲み干し、サンバルさんに挨拶して個室に向かう。
10分程待つとやって来たのはデヴィッドとミーカだった。
「あれ? ミーカもう帰ってきてたの?」
「えっ!? なんでクリシュナがここに?」
2人揃って驚き質問をし合う。
デヴィッドは笑いながら説明をする。
「それは秘密の契約でレベルを上げる……いや渡すことが出来るのがクリシュナだからだ。
それと絶対に秘密にしろよ? そろそろこの仕事も終わるだろうからな」
その言葉に首を俺とミーカは傾げる。
「クリシュナ、お前そろそろスキルレベルが上がらなくなってきてるだろ?
低レベルの吸収良くても限界が来てるし最近は教官……主に武器担当から苦情が上がってきてるぞ?
お前に身体レベルが勝ってるから何とか勝ててるがそろそろ技量で並ばれてヒヤヒヤしてるってな!」
あぁ、それは申し訳ないし気付いては居た。
最近の武器の戦闘訓練は接戦で負けている。
勝負所で相手のスピードを捉えきれずに負けてるのだ。
つまり身体能力の差で負けてる。負けず嫌いの教官だと最初から身体能力ゴリ押しで模擬戦をさっさと終わらせる人もいる。
「う~ん。魔法が終われば武器制作に入りたいんで武器訓練は出なくても良いですよ?」
デヴィッドは首を横に振った。
「後数日待ってくれ。厄介な奴がギルド登録したもんだから心をへし折って欲しい。
まぁ明日になれば分かるさ。さてミーカに頼むぞ!」
「はい!『レベル譲渡』!俺がレベル10だったので確認しました。1になってるのでミーカは9上がってるはずだよ?」
ミーカは水晶に手を当てると驚いていた。
「むむむっ、これは不味い力です。絶対ぜ~ったいにバレてはいけませんよ?
貴族や教会にバレたら奴隷一直線です!」
デヴィッドは不機嫌そうに声を発した。
「ハンッ! 教会には既にバレてる! 奴ら孤児院にクリシュナを探しに行ったらしいぞ?
お前の父親は咄嗟にギルドに預けたじゃなくて孤児院に預けたって言ったらしい。
しかもこの街じゃなくて隣街のな!」
うへぇ~、あの神官さん何かおかしかったもんね。
そういや疑問に思ってたことを聞いてみよう。
「そういや固有スキルの判定の儀式で魔法? 祝福を受けた時に水晶を触るじゃないですか?
あれめっちゃ神官が見てきて記録取られたんですけど普通なんですか?
あの町では普通だったみたいですけれど?」
「「普通じゃないっ!」」
2人とも頭を抱えた。
「いつからだ?」
デヴィッドの質問に俺は少し考える。
兄達の時も神官に見られたって言ってて何か両親に良いスキルを得られて羨ましいですって言ってたって聞いたから
「5つ年上の兄も見られてるので最低5年前からですかね?
そういや、王都の学園に推薦権持ってるからって何人か王都に行きましたよ?」
ミーカは絶望した表情を浮かべる。
「名前分かる? その子たちの年齢も」
俺はわかる限りの年齢と名前と容姿を伝えると
「居ないわ……私と同い年の人が3人居たけれど学園にはその子たちは居なかった」
想像以上に不味い状態でミーカが絶対に秘密を守ると話した後デヴィッドとミーカは慌てて出ていった。
妹が見られる前で良かったなぁなんて軽く俺は考えていた。
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