ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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4.迷宮都市ルグランジ(再び)

4-18.勇者の一軒家にて

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「お前、俺の目を見ろ」
「嫌です」
「やっぱり魅了にかかってないのか!」

 そう言うと強引に俺の顎を引き、目と目を合わせようとする。
 俺は相手の顔を押し退け、相手の顔の向きを変える。

 俺に触れるな。俺に触るな、俺を見るな!
 触った手が汚れた様な気がした。
 真っ黒に、汚らわしくなった気がする。
 早く洗わなくてはならないという脅迫染みた悪寒が走る。

 それでも俺の腕を振り払い、正面に顔を向けようとするから俺は目を閉じた。
 すると、勇者の奴、強引にも唇を奪い、そのまま舌を入れて来た。
 大きな舌が俺の口の中で暴れ、息が出来なくなる。
 暴れようにも近すぎてうまく抵抗できなかったが、気合を入れて歯をかみ合わせた。

 口の中に血の味が広がる。
 勇者の奴の舌が少し切れた様だ。
 床にぺっと血を吐き出して睨み付けた。

 だが、それは勇者の思うつぼだった。
 うっかり、目線を合わせてしまった俺は、勇者の魅了にかかってしまったのだ──
 そして薄れゆく意識の中、俺は何かを掴んだ──


 ──、眠い。

『起きろ』

 ──、眠い、もう2時間、せめて1時間でいいから寝かせてくれ。

『起きろ』

 ──、眠いんだって。

『起きろと言ってる!我と繋がりし者!』

 ──、我?繋がりし者?お前は誰だ。

『我こそはファーヴニル、竜を統べる者にしてお主の母であるぞ』

 ──、だが俺は人間だ。竜の母なんてものは持った覚えがない。

『ならば、どうしてこの声に応えれる?少なくともお主の血は我の子孫である事を示しているぞ』

 ──、ああ、そういう事か。それには心当たりがある。だとして俺に何の用だ。

『せっかちだな、母子の対話だというに』

 ──、ならば姿を見せろよ。

『こちらから赴く事は叶わぬ、お主が南エスカンビア山脈に来い、そこで会おう──』

 対面と言っときながら会えないってどういう事なんだよ。
 しかも南エスカンビア山脈に来いって事か?
 ははーん、さてはかなりのコミュ障だな。
 しかし、ファーヴニルときたか。
 ありゃ、伝説級の竜だぞ…。

 そして意識がはっきりしてきた。
 勇者の奴は?俺はどうなってる?

 俺は自身の体から解き放たれ、俺は宙に浮いている様な状況だった。
 だが、俺の体は俺ではない何かの意思を感じる。
 まるで自由意思を失った洗脳人形の様に、というかそのものだ。

『おい!勇者、俺から離れろ!』

 どれだけ耳元で叫んでも声は届かず、押し退けようとしてもすり抜ける。

 俺の本体は、勇者を膝枕していた。
 しかも頭をなでなでしてやがる。

『体にもどったら、全身洗浄しないとヤバイな』

 そして、その勇者突然、上向きになったと思えば、まるで赤ん坊のポーズを取った。

『何だ……何をする気なんだ?』

 さらに、勇者は叫んだ。

「ばぶーばぶー、ママー!ママー!」

 俺の本体はどこからか取り出した哺乳瓶勇者の口に突っ込む。
 勇者はそれを満足気にもぐもぐしていた。

『やべえ……本気で気持ち悪いぞ、コイツ』

「ママー、ミルク欲しいの~」

 その言葉に俺の体は従い、服を脱ぎ始める。
 背中のチャックを降ろすと胸元が露わになった。

『……何をする気なんだ?脱いでもミルクは出ねーぞ?』

 だが、勇者は片手で胸を触りもう片方に口を付けて吸い出した。
 それはまさに人としてダメな感じの行為だ。
 これまでの女にもそうしてきたのかと思えば、殺意を抱いてしまった。
 本体は感じているのか、赤らめた顔で言葉を発するのを我慢している様だった。

 だが、そこに胸元のペンダントが勇者の顔に触れた。
 勇者はそれを邪魔だと思ったのか、引きちぎる。
 その時だ、ペンダントが光り輝くと同時に、俺は本体に吸い寄せられた。

「やっと戻れた……」
「戻った……だと!?」
「ああ、好きにしてくれた様だなっ!」

 その言葉を言い切ると同時に、俺の肘が勇者の顔面を捕らえる。
 顔面が凹んだ勇者は鼻血を出しながら地べたに這いつくばった。

 *

「勇者様は、そんな性癖の為に、私を求めたのですか?」
「そうだよ、悪いか」
「噂になっていますよ?勇者様についてる女性の生傷が耐えないって、あれはどうしてですか」
「時々我に返る時に、逃げ出すんだよ。それを捕まえてるうちに……」
「はぁー……じゃあイヤラシイ事はしてないんですね?」
「そ、そうだ、俺はそんなつもりはない」
「さっきミルク欲しいの~って言ってたのは?」
「それは……そのままだ」
「ハッキリ言ってください、隠しても何にもなりませんよ」
「だから、胸から直接……」
「出もしないのに?」
「それがいいんだよ」
「やっぱり、陛下の元に連れ出しましょう」
「それだけは勘弁してくれ!」

 尚、南エスカンビア山脈への出頭命令は無視した。面倒なんだよ。
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