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4.迷宮都市ルグランジ(再び)
4-21.
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その日、王国中のあちこちで建国祭が行われていた。
そのタイミングに合わせて保養所としての体裁が完成し、娘とその友達を迷宮都市ルグランジに呼び寄せた。
「カートレット公爵令嬢様!招待いただきありがとうございます!!」
とてつもなく元気に挨拶してきたのはエリー。
フランチェスカが一番仲が良いと言っていた子だ。
少し大人びて落ち着いた子だと聞いていたが、俺の目の前に居るのは目をキラキラさせて、小動物、というより犬が尻尾を振っている様な感じにしか見受けられない。
「今日は建国祭だ、存分に楽しんで言ってくださいね」
そう言って、イラストが描かれたチケットを手渡す。
「一人20枚で足りますか?これ、お金の代わりになるから好きなお店で使ってくださいね」
お店では普通の硬貨も使えるのだが、現金を渡すのもどうかと思って、金券なる物を作ってみた。
使えるのも俺が関与したお店ばかりなのは、あまり遠くに行って欲しくないからだ。
「はい!家宝にします!」
「いえいえ、使ってね?」
そして、その隣にはバツの悪そうな顔をした人物が居た。
「えーと・・・どうしてここに?ウィリアム様」
「たまたま・・・?」
「フランチェスカさんと友達だったのですね」
「あ、ああ、身分の事は伏せてくれないか・・」
「ふーん・・・いいですよ」
自分の正体を隠す事で、ミステリアスさを醸し出すという子供に有りがちなアピールをしてるのだな。
そういう時期が誰にでもある。分かるぞ、凄く分かる。
そんな学院の子供たちを20名、リーナ食堂周辺に解き放った。
その半分くらいが俺と一緒に見て回りたいと言って、付いて来るのだが想定通りだ。
この周辺には屋台を沢山募り、ちょっとした祭り会場と化している。
このあたりのアイデアは妻から貰った物だった。
村では実現できなかった事をこちらで実現してみた訳だ。
それもこれも、娘の為、存分に楽しんでもらわねばな。
だが、こう言うのは子供たちだけで回る物。
俺は喜ぶ姿を見てるだけで、いいんだ、本来は。
「カロリーナ様っ、一緒に周りませんか?」
「え、フランチェスカさん、友達は・・・」
「カロリーナ様と一緒がいいです、エリーも一緒に周りたいよね」
「はい!」
「し、仕方ありません、ではどこから周りますか」
「あの景品がいっぱいある所に!」
選ばれたのは射的でした。
小さな弓で、的を射抜く典型的なゲーム。
一般的なショートボウよりも小さい弓では本気で撃てない。
だが、俺は準備段階で練習に練習を重ねていた。
俺に射貫けない的はないぜ。
***
景品を抱きしめながら、色々な物を食べていると、少しずつ周りが暗くなってきた。
それに伴い灯されたのは、提灯という祭りに必須と言われた特別な照明。
その柔らかい光は少し肌寒いこの季節に温もりを提供していた。
「あら、フランチェスカさん、ほっぺにチョコが付いていますよ」
俺も景品を抱きかかえ、手がふさがっている。
ハンカチを出すべきだが、ここは仕方がないと、娘のほっぺをペロリと舐めた。
チョコと言う事はチョコバナナのが付いたのだろう。
王都にもまだない食べ物ばかりで子供たちも喜んでいた。
「あ、あ、ありがとう、ございます・・・」
フランチェスカは真っ赤になりながら動揺している。
頬についてた事が余程恥ずかしかったのだろう。
俺は『どういたしまして』とにこやかに答えた。
「あ、あの、わたくしのほっぺに何か付いてないでしょうか」
「ああ、ソフトクリームが付いていますね、もう、みんな子供なんだから」
エリーのもペロリと舐めた。
この子も顔を真っ赤に染めてしまった。
かと思えば恥ずかしさのあまりに倒れてしまった。
しかしソフトクリームが口の周りに付くのではなく、ほっぺに付くのはどういう食い方をしたのやら。
その事を不思議に思いながら、彼女を宿泊所に連れて行った。
大型の宿泊所は三階建ての全45部屋。
その全てを二人部屋とし、一部を天蓋付きのベッドまであるスイートルームとした。
何の為にスイートルームを用意したかと言えば、勿論、娘に贅沢をさせる為だ。
尚、一人部屋は以前からある小型の宿泊所で用意した、値段も差をつけている。
そして倒れたエリーもフランチェスカと同室になるのだから、スイートルームに運んだ。
大きなベッドに寝かせ、念のために熱は無いか額を合わせて確認を取る。
少々熱いと思いつつも大丈夫だろうと思っていれば、彼女の目が一瞬開いた。
かと思えば、すぐさま気を失った。
きっと無理に起きようとしたのだろう。
気合で起きれるとは中々な根性を持っている。
彼女を置いて皆の者の所へ行こうとした時、フランチェスカが部屋に入って来た。
「凄い部屋、こんな部屋に泊まれるなんて夢みたい」
「そう、それはよかった。頑張って建てた甲斐があります」
フランチェスカはエリーを見て「エリー、お姫様みたい」と言った。
俺は「フランチェスカもお姫様みたいになれますよ」と返す。
「今日は本当にありがとうございます」
「いえ、勉強を頑張ったご褒美ですよ。それで、エリーはこのままにして戻ります?」
「目が覚めた時に一人じゃ寂しいと思います、えーと、一緒にのベッドに入っちゃおうかな・・・・と」
「それは楽しそうですね、3人でも十分なサイズのベッドですしエリーさんを挟んじゃいましょう」
そうして3人で仲良く川の字になっていると、フランチェスカは家族の思い出を語り出した。
こうして3人で寝ている事が懐かしいと。
今は両親共に居ない筈なのに、何故か寂しく感じないのは俺のお陰だと言う。
正直に話したいと思う衝動に駆られる反面、一緒に居れる訳ではない事がその衝動を抑えた。
もし、この先、誰とも結婚せずに済む様になるのであれば、その時、改めて告白しよう。
そう、心に決め、俺達は、いつの間にか夢の世界に誘われてしまった。
*
(エリー視点)
「あれ・・・もう朝・・・なんてことを・・・折角のカロリーナ様との時間を・・・!
あれ?横に二人も寝ている。寝ているのはフランチェスカさん、と、もう一人は・・・カロリーナ様!?
カロリーナ様の寝顔!はぁ・・・はぁ・・・寝顔っ!どういう状況!?
二人にはさまれて寝てたの?か・・・神様!この幸せ、何と感謝を申せばいいのでしょう!」
「ん・・・起きたのか、エリーさん、体は大丈夫か」
「あ・・・エリー、おはよ。元気になった?」
「はいっ、元気です」
「じゃあ行こうか」
「はい」
「どこへ?行くのですか?」
「みんなで、温泉に入りにですよ?朝風呂は気持ちがいいですよ」
「(ぷちーんっ)」
「あ、倒れた」
「大丈夫ですか!?」
このあと三人で銭湯に入ったら、のぼせてしまった、もう死んでも良いかも・・・。
そのタイミングに合わせて保養所としての体裁が完成し、娘とその友達を迷宮都市ルグランジに呼び寄せた。
「カートレット公爵令嬢様!招待いただきありがとうございます!!」
とてつもなく元気に挨拶してきたのはエリー。
フランチェスカが一番仲が良いと言っていた子だ。
少し大人びて落ち着いた子だと聞いていたが、俺の目の前に居るのは目をキラキラさせて、小動物、というより犬が尻尾を振っている様な感じにしか見受けられない。
「今日は建国祭だ、存分に楽しんで言ってくださいね」
そう言って、イラストが描かれたチケットを手渡す。
「一人20枚で足りますか?これ、お金の代わりになるから好きなお店で使ってくださいね」
お店では普通の硬貨も使えるのだが、現金を渡すのもどうかと思って、金券なる物を作ってみた。
使えるのも俺が関与したお店ばかりなのは、あまり遠くに行って欲しくないからだ。
「はい!家宝にします!」
「いえいえ、使ってね?」
そして、その隣にはバツの悪そうな顔をした人物が居た。
「えーと・・・どうしてここに?ウィリアム様」
「たまたま・・・?」
「フランチェスカさんと友達だったのですね」
「あ、ああ、身分の事は伏せてくれないか・・」
「ふーん・・・いいですよ」
自分の正体を隠す事で、ミステリアスさを醸し出すという子供に有りがちなアピールをしてるのだな。
そういう時期が誰にでもある。分かるぞ、凄く分かる。
そんな学院の子供たちを20名、リーナ食堂周辺に解き放った。
その半分くらいが俺と一緒に見て回りたいと言って、付いて来るのだが想定通りだ。
この周辺には屋台を沢山募り、ちょっとした祭り会場と化している。
このあたりのアイデアは妻から貰った物だった。
村では実現できなかった事をこちらで実現してみた訳だ。
それもこれも、娘の為、存分に楽しんでもらわねばな。
だが、こう言うのは子供たちだけで回る物。
俺は喜ぶ姿を見てるだけで、いいんだ、本来は。
「カロリーナ様っ、一緒に周りませんか?」
「え、フランチェスカさん、友達は・・・」
「カロリーナ様と一緒がいいです、エリーも一緒に周りたいよね」
「はい!」
「し、仕方ありません、ではどこから周りますか」
「あの景品がいっぱいある所に!」
選ばれたのは射的でした。
小さな弓で、的を射抜く典型的なゲーム。
一般的なショートボウよりも小さい弓では本気で撃てない。
だが、俺は準備段階で練習に練習を重ねていた。
俺に射貫けない的はないぜ。
***
景品を抱きしめながら、色々な物を食べていると、少しずつ周りが暗くなってきた。
それに伴い灯されたのは、提灯という祭りに必須と言われた特別な照明。
その柔らかい光は少し肌寒いこの季節に温もりを提供していた。
「あら、フランチェスカさん、ほっぺにチョコが付いていますよ」
俺も景品を抱きかかえ、手がふさがっている。
ハンカチを出すべきだが、ここは仕方がないと、娘のほっぺをペロリと舐めた。
チョコと言う事はチョコバナナのが付いたのだろう。
王都にもまだない食べ物ばかりで子供たちも喜んでいた。
「あ、あ、ありがとう、ございます・・・」
フランチェスカは真っ赤になりながら動揺している。
頬についてた事が余程恥ずかしかったのだろう。
俺は『どういたしまして』とにこやかに答えた。
「あ、あの、わたくしのほっぺに何か付いてないでしょうか」
「ああ、ソフトクリームが付いていますね、もう、みんな子供なんだから」
エリーのもペロリと舐めた。
この子も顔を真っ赤に染めてしまった。
かと思えば恥ずかしさのあまりに倒れてしまった。
しかしソフトクリームが口の周りに付くのではなく、ほっぺに付くのはどういう食い方をしたのやら。
その事を不思議に思いながら、彼女を宿泊所に連れて行った。
大型の宿泊所は三階建ての全45部屋。
その全てを二人部屋とし、一部を天蓋付きのベッドまであるスイートルームとした。
何の為にスイートルームを用意したかと言えば、勿論、娘に贅沢をさせる為だ。
尚、一人部屋は以前からある小型の宿泊所で用意した、値段も差をつけている。
そして倒れたエリーもフランチェスカと同室になるのだから、スイートルームに運んだ。
大きなベッドに寝かせ、念のために熱は無いか額を合わせて確認を取る。
少々熱いと思いつつも大丈夫だろうと思っていれば、彼女の目が一瞬開いた。
かと思えば、すぐさま気を失った。
きっと無理に起きようとしたのだろう。
気合で起きれるとは中々な根性を持っている。
彼女を置いて皆の者の所へ行こうとした時、フランチェスカが部屋に入って来た。
「凄い部屋、こんな部屋に泊まれるなんて夢みたい」
「そう、それはよかった。頑張って建てた甲斐があります」
フランチェスカはエリーを見て「エリー、お姫様みたい」と言った。
俺は「フランチェスカもお姫様みたいになれますよ」と返す。
「今日は本当にありがとうございます」
「いえ、勉強を頑張ったご褒美ですよ。それで、エリーはこのままにして戻ります?」
「目が覚めた時に一人じゃ寂しいと思います、えーと、一緒にのベッドに入っちゃおうかな・・・・と」
「それは楽しそうですね、3人でも十分なサイズのベッドですしエリーさんを挟んじゃいましょう」
そうして3人で仲良く川の字になっていると、フランチェスカは家族の思い出を語り出した。
こうして3人で寝ている事が懐かしいと。
今は両親共に居ない筈なのに、何故か寂しく感じないのは俺のお陰だと言う。
正直に話したいと思う衝動に駆られる反面、一緒に居れる訳ではない事がその衝動を抑えた。
もし、この先、誰とも結婚せずに済む様になるのであれば、その時、改めて告白しよう。
そう、心に決め、俺達は、いつの間にか夢の世界に誘われてしまった。
*
(エリー視点)
「あれ・・・もう朝・・・なんてことを・・・折角のカロリーナ様との時間を・・・!
あれ?横に二人も寝ている。寝ているのはフランチェスカさん、と、もう一人は・・・カロリーナ様!?
カロリーナ様の寝顔!はぁ・・・はぁ・・・寝顔っ!どういう状況!?
二人にはさまれて寝てたの?か・・・神様!この幸せ、何と感謝を申せばいいのでしょう!」
「ん・・・起きたのか、エリーさん、体は大丈夫か」
「あ・・・エリー、おはよ。元気になった?」
「はいっ、元気です」
「じゃあ行こうか」
「はい」
「どこへ?行くのですか?」
「みんなで、温泉に入りにですよ?朝風呂は気持ちがいいですよ」
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