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5.モルバーン学園(一年生編)
5-70.カードウェリア子爵邸より(オルドリッジ視点)
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捕らえられながらも怒りに震える執事が低い声で呟いた。
「───唸れブライニクル!」
危険を察知した俺達は各々で後方に飛んだ。
三方向から取り囲んでいたせいで、エリーのだけが逃げ場所が足りなかった。
咄嗟に長椅子を持ち上げ所有権を認識した。
その直後、執事とエリーの間に長椅子が盾の様に割り込んだ。
そして、その長椅子が凍り付き一瞬で崩壊する。
「それは氷結系の魔剣か」
執事が袖から出したのか手にはごく小さな短剣を握っていた、それからは悍ましい程の力を感じる。
周りに氷結空間を形成し、凍らしたものを瞬時に破壊する。
面倒な物を持ち出したものだと思うと同時にそれは起きた。
身動きがとれないハズの執事はまるで脱皮するかのように、上着をシャツごと脱ぎ捨て窓ガラスを突き破って逃走したのだ。
「逃げられたのだわ」
「思った通りだったのね」
「思った通りとはなんだ?」
「気づかないなんて鈍感すぎるのだわ」
「あの執事、年寄りに見えて若い女だったのね」
「へー・・・・はぁ!?」
「それを服を引き裂いて・・・なんて変態なのだわ」
「いやね・・・女の天敵なのね。カロリーナ様にもお知らせしないといけないのね」
「それは待ってくれ、知らなかったのだから仕方がないだろう?言わば不可抗力なんだ、それにそんな事を言っている場合ではない」
カロリーナならば大丈夫と分かってはいるが、何か胸騒ぎがした。
本命はここの主である以上、カロリーナの方に向かうのが正で、逃げた執事の事は諦めて走り出した。
カロリーナが向かった方向に走っていると暗い部屋の中で抱き合う二人を見つける。
肉片すら残らず、まるで溶けて血だまりだけとなった現場には入るのを躊躇してしまう。
部屋には意識を辛うじて保っている大聖女を毅然とした立ち振る舞いで抱きしめ連れ出そうとするカロリーナ。
どこか複雑な心境を見せる彼女に俺達は固唾を飲んだ。
「二人共大丈夫か、子爵は死んだという事か?」
「俺達は大丈夫だ、子爵は俺が殺した。やむを得ず、だ」
「そうか、早く戻って血を洗い落とす方が良いだろう」
俺の知る限り、カロリーナは人体を溶かすような技能は持ち合わせていない。
これを大聖女がしたというのも考えにくい。
この部屋で何が起こったのか、一番可能性のあるのは魔族の扱う毒の系統だ。
そう考えると魔族が関わっていたと考えるべきなのだが、この屋敷にその痕跡があるかどうか。
リリーとエリーにその捜索と反逆の証拠を調査を命じ、俺達は急ぎこの場を後にした。
馬車で移動の途中、押し黙る二人に声をかけた。
「二人が無事手でよかった」
「すまないな、子爵を殺してしまって」
「気にする事は無い、どうせ死ぬ運命だったのだ。それが少し早まっただけだよ」
押し黙る大聖女はカロリーナの腕にしがみつき、まるで仲の良い姉妹のように見える。
実際の所、この二人は2歳の差のはずなのに、同じ年に見える。
片や貴族も公爵家の令嬢、片や平民の聖女。
身分差も乗り越えた仲の良さというのは微笑ましいと思う以上に、何か特別な絆を感じる。
考えても見れば、この国の王子と懇意になっている二人だ。
接点がないはずがない。
だが、そう考えると、元婚約者とこれから婚約をしそうな人物というのは仲良くできるものなのだろうか?
船上でも大聖女である事を隠したいと言っていた事から、何らかの確執があるのかもしれない。
もしくは、今回の救出で仲が良くなったのか?
急に?
大した時間もなかったはずだぞ?
「ず、随分仲が良くなったようだな、まるで親友や姉妹と言った感じだぞ」
「その事だが、もしかすると本当に妹又は娘になるかもしれん」
「へぇ・・・へ???妹ならわかるが娘?」
「ああ、そうだ。フランチェスカを養女として迎え入れたいと考えている。または父の養女になって俺の妹になるかだ」
「お・・・おう」
カートレット公爵!!義父上様!!絶対養女にしてやってください!!
俺の祈りは届くだろうか。いやいやいや、流石に、公爵も自分の養女にするよな?
自分の娘が結婚前に子持ちになるとかありえないよな?
書面でしか言葉を交わした事がないが、一度会うのもありだ。
よし、早々に会いに行くぞ!
と、思っていたのだが───
早々にカロリーナが会いに行ってしまった。
俺はそれに付いて行く形になったのだが、到着早々、養女の話を始め、俺の紹介をすっ飛ばしやがった。
未来の夫に対する扱い、酷いよ。
*
「お久し振りでございます、カートレット公爵殿」
「これはこれは、サンチェス陛下。お会いできて光栄でございます、わざわざ来ていただいて、さぁ、中へどうぞ」
「オルドリッジとお呼びください、義父上様。改めて会っておきたいと思っておりました。カロリーナは良い父を持ったな(ちゃんと養女対応してくれたし)」
「いえいえ、あれには本当に手を焼いております故、ある程度は此方も妥協するしかないのですよ」
「気苦労が絶えないようだな、心中を察するぞ」
「ですが、娘が娘であるのも、数える程の月日しかございませぬから、甘やかしたいのですよ」
「それは・・・だが、結婚をしたとしても、娘は娘だ。また会えばいいではないか」
「勿体なきお言葉、感謝の念が堪えませぬ」
形式ばった挨拶というのは面倒な割に実りがないものだな。
「───唸れブライニクル!」
危険を察知した俺達は各々で後方に飛んだ。
三方向から取り囲んでいたせいで、エリーのだけが逃げ場所が足りなかった。
咄嗟に長椅子を持ち上げ所有権を認識した。
その直後、執事とエリーの間に長椅子が盾の様に割り込んだ。
そして、その長椅子が凍り付き一瞬で崩壊する。
「それは氷結系の魔剣か」
執事が袖から出したのか手にはごく小さな短剣を握っていた、それからは悍ましい程の力を感じる。
周りに氷結空間を形成し、凍らしたものを瞬時に破壊する。
面倒な物を持ち出したものだと思うと同時にそれは起きた。
身動きがとれないハズの執事はまるで脱皮するかのように、上着をシャツごと脱ぎ捨て窓ガラスを突き破って逃走したのだ。
「逃げられたのだわ」
「思った通りだったのね」
「思った通りとはなんだ?」
「気づかないなんて鈍感すぎるのだわ」
「あの執事、年寄りに見えて若い女だったのね」
「へー・・・・はぁ!?」
「それを服を引き裂いて・・・なんて変態なのだわ」
「いやね・・・女の天敵なのね。カロリーナ様にもお知らせしないといけないのね」
「それは待ってくれ、知らなかったのだから仕方がないだろう?言わば不可抗力なんだ、それにそんな事を言っている場合ではない」
カロリーナならば大丈夫と分かってはいるが、何か胸騒ぎがした。
本命はここの主である以上、カロリーナの方に向かうのが正で、逃げた執事の事は諦めて走り出した。
カロリーナが向かった方向に走っていると暗い部屋の中で抱き合う二人を見つける。
肉片すら残らず、まるで溶けて血だまりだけとなった現場には入るのを躊躇してしまう。
部屋には意識を辛うじて保っている大聖女を毅然とした立ち振る舞いで抱きしめ連れ出そうとするカロリーナ。
どこか複雑な心境を見せる彼女に俺達は固唾を飲んだ。
「二人共大丈夫か、子爵は死んだという事か?」
「俺達は大丈夫だ、子爵は俺が殺した。やむを得ず、だ」
「そうか、早く戻って血を洗い落とす方が良いだろう」
俺の知る限り、カロリーナは人体を溶かすような技能は持ち合わせていない。
これを大聖女がしたというのも考えにくい。
この部屋で何が起こったのか、一番可能性のあるのは魔族の扱う毒の系統だ。
そう考えると魔族が関わっていたと考えるべきなのだが、この屋敷にその痕跡があるかどうか。
リリーとエリーにその捜索と反逆の証拠を調査を命じ、俺達は急ぎこの場を後にした。
馬車で移動の途中、押し黙る二人に声をかけた。
「二人が無事手でよかった」
「すまないな、子爵を殺してしまって」
「気にする事は無い、どうせ死ぬ運命だったのだ。それが少し早まっただけだよ」
押し黙る大聖女はカロリーナの腕にしがみつき、まるで仲の良い姉妹のように見える。
実際の所、この二人は2歳の差のはずなのに、同じ年に見える。
片や貴族も公爵家の令嬢、片や平民の聖女。
身分差も乗り越えた仲の良さというのは微笑ましいと思う以上に、何か特別な絆を感じる。
考えても見れば、この国の王子と懇意になっている二人だ。
接点がないはずがない。
だが、そう考えると、元婚約者とこれから婚約をしそうな人物というのは仲良くできるものなのだろうか?
船上でも大聖女である事を隠したいと言っていた事から、何らかの確執があるのかもしれない。
もしくは、今回の救出で仲が良くなったのか?
急に?
大した時間もなかったはずだぞ?
「ず、随分仲が良くなったようだな、まるで親友や姉妹と言った感じだぞ」
「その事だが、もしかすると本当に妹又は娘になるかもしれん」
「へぇ・・・へ???妹ならわかるが娘?」
「ああ、そうだ。フランチェスカを養女として迎え入れたいと考えている。または父の養女になって俺の妹になるかだ」
「お・・・おう」
カートレット公爵!!義父上様!!絶対養女にしてやってください!!
俺の祈りは届くだろうか。いやいやいや、流石に、公爵も自分の養女にするよな?
自分の娘が結婚前に子持ちになるとかありえないよな?
書面でしか言葉を交わした事がないが、一度会うのもありだ。
よし、早々に会いに行くぞ!
と、思っていたのだが───
早々にカロリーナが会いに行ってしまった。
俺はそれに付いて行く形になったのだが、到着早々、養女の話を始め、俺の紹介をすっ飛ばしやがった。
未来の夫に対する扱い、酷いよ。
*
「お久し振りでございます、カートレット公爵殿」
「これはこれは、サンチェス陛下。お会いできて光栄でございます、わざわざ来ていただいて、さぁ、中へどうぞ」
「オルドリッジとお呼びください、義父上様。改めて会っておきたいと思っておりました。カロリーナは良い父を持ったな(ちゃんと養女対応してくれたし)」
「いえいえ、あれには本当に手を焼いております故、ある程度は此方も妥協するしかないのですよ」
「気苦労が絶えないようだな、心中を察するぞ」
「ですが、娘が娘であるのも、数える程の月日しかございませぬから、甘やかしたいのですよ」
「それは・・・だが、結婚をしたとしても、娘は娘だ。また会えばいいではないか」
「勿体なきお言葉、感謝の念が堪えませぬ」
形式ばった挨拶というのは面倒な割に実りがないものだな。
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