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5.モルバーン学園(一年生編)
5-71.アバークロンビー家にて
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実家に帰って来たのは養女の話の他にもう一つ用事があった。
その要件はグレッグと話す必要があるのだが、当人が何故か何処にもいないのだ。
「父よ、爺やはどうした?」
「爺やとは誰の事だ?」
「俺の専属の付き人だ。グレッグだよ、忘れたのか。今日は休みでもとっているのだろうか」
「ふむ、グレッグとやらは知らんが、その老人がどうかしたのか?」
「は?あの爺さんが居ないとはどういう事だ、クビにしたんじゃないだろうな?奴には聞かなくてはならん事があるんだぞ」
「カロリーナちゃんの専属は若いメイドに任せてるぞ。娘の専属に年をとっていても男をつける訳がないだろう?夢でも見ていたのかね?」
「嘘だろ・・・そのメイドの名前はなんというのだ?」
「ダリアだな、優秀な子だ。歳は今年で20だったと思うが、会ったことないとは言わないだろう?」
「いや、本気で知らん。会った事も聞いた覚えもない」
「そう言えば最近見ないな・・・」
それからダリアの捜索が始まった。
俺は俺でグレッグを探すのだが、有り得ない程に痕跡が無い。
そもそもどの部屋で寝泊まりしていたのかも不明となり、その名前を知るのも俺だけだという事だった。
頭が混乱する。
落ち着くために自室に戻り、独り言のように口ずさむ。
「まさか、実在しない空想上の友達とか言うんじゃないだろうな」
恐ろしい想像をしたが、もしそうであれば、そもそもドラゴンの血や心臓を入れた事も怪しい話となる。
だがその事を否定する要素が俺のケツに有るのは、ちょっとした皮肉な話だ。
尻尾が生えかけていること自体がドラゴンの血と心臓を入れた事を裏付けし、さらに言えばファーヴニルとの接点が全てを肯定しているのだ。
存在しているとしても、ただの不審者となればグレッグの目的は何なのだ。
悪戯でやったとは思えない以上、何か目論見があるハズだ。
「まさか、神だとか言わんだろうな。そうでなければ、悪魔あたりだろう」
そこまで呟いた時、唐突に頭に響くような声が俺に届いた。
『おや、気づいてしまいましたか』
「グレッグ!お前は何者・・・・だ・・・」
さっきまで自室に居たはずなのに、俺はよくわからない空間に居た。
白い、どこまでも白くて広い、果てしなく広い空間。
そんな空間には誰もおらず、俺だけがぽつんと地べたに座っていた。
一瞬はグレッグの声が聞こえたハズなのに、周りに誰も居ない。
やはり、実在しない空想上の友達なのかと疑いもするが、どうもそういう感じでも無さそうだ。
「改めて問う、お前は誰だ、何の目的で俺に接してきた!」
『私は、そうだね。神の成りそこない、エセ神とでも呼んで貰って構わない。いや、もちろんこれまで通りグレッグでも爺やでも構わないよ、私はね、君達から見れば高次元の存在。異世界から勇者や大聖女を呼び寄せ、導き、世界をコントロールするのが役割だ。今回は珍しくその使者として異世界人ではなく現地人の君を選んだ。どうかね。楽しんで貰えているだろうか?』
「楽しいかどうかは難しい所だな、だが、面白くはある。ただなぁ、最近尻尾が生えて来てるんだが、コレ、俺はどうなるんだ?それだけでもいいから教えてくれないか?」
『ふむ、私に対する疑問はないのかね?神に近い存在に臆せず接するのは賞賛に値するが、些か拍子抜け、いや、物足りなさを感じるのだ。もう少し驚くのが普通なのではないかね』
「いや、そんな時間の余裕はあるのか?そもそも、時間は止まってるのか?あー、こういうの考えるの面倒なんだよ。アンタが神でもエセ神でもなんでもいい。アンタが勝手にするように俺は俺の好きなようにする。アンタがこうして接してきた以上、敵じゃないんだろ?じゃあ目論見とか何を考えてるとかは二の次だ。尻尾だ。尻尾の事を教えてくれ」
『言うに事欠いて尻尾尻尾と拍子抜けだな。まぁ良い答えてやろう、その尻尾は伸びきれば取れる、取れた物は大事にするといい。そしてもう一度ファーヴニルに会うが良い。そして引き継ぐのだ、竜の力、その根幹を。さすれば愛しき者を守る事が出来るだろう。例えば、あの娘とかな。私は未来視ができる。実のところ君をその体に入れず、カロリーナを死んだままにしていると、この国は滅んでいたのだよ。時間的にはそろそろそういう時期で、その最悪の時間軸ではラミレスと全面戦争してる頃合いだ。ところが、ラミレスとの仲は良好、その上、ラミレスの力の一部を君が所有する事になった。完璧な正解に進んだと言っていい。それが嬉しいのだよ。今回の対談はその褒美だと思ってくれていい。そして、竜の力を引き継ぐのは急いだ方がいい、でないと海外との戦争がとんでもない事になる。私が言える事はこれくらいだ、あまり干渉しすぎると怒られるのでな、次に会うのは何年後になるか、気が向いたら会いに来るよ。ではな、健闘を祈る』
気が付けば部屋の中に戻っていた。
ベッドの上に座り込み、惚けている様な状態だ。
話しが長くて割り込む余地が無かった。
よくはわからんが、アイツに会いに行けってか?
いや、会いに行く必要はないか。
呼ぶことができるのだからな。
だがそうなるとどこに着地するのだろうか。
このあたりで開けていて踏み荒らしていい様な場所はない。
うーむ、やはり行くか。
このあたりに来られたら、領民が怯えるからな。
*
「ちょっとファーヴニルに会って来るわ」
「いきなりだな、何かあったのか?」
「カロリーナ様、私も行ってもよろしいでしょうか」
「もちろん、俺も行くぞ」
「いいけど、寒いぞ、大丈夫か?フランチェスカは俺のコートを貸・・・あげるとして、オルドリッジ様は俺のコートじゃ・・・」
「では私のを進呈しましょう」
「義父上様、有難く頂きます」
「なに、この程度の事ならいくらでも協力させてくれ」
その要件はグレッグと話す必要があるのだが、当人が何故か何処にもいないのだ。
「父よ、爺やはどうした?」
「爺やとは誰の事だ?」
「俺の専属の付き人だ。グレッグだよ、忘れたのか。今日は休みでもとっているのだろうか」
「ふむ、グレッグとやらは知らんが、その老人がどうかしたのか?」
「は?あの爺さんが居ないとはどういう事だ、クビにしたんじゃないだろうな?奴には聞かなくてはならん事があるんだぞ」
「カロリーナちゃんの専属は若いメイドに任せてるぞ。娘の専属に年をとっていても男をつける訳がないだろう?夢でも見ていたのかね?」
「嘘だろ・・・そのメイドの名前はなんというのだ?」
「ダリアだな、優秀な子だ。歳は今年で20だったと思うが、会ったことないとは言わないだろう?」
「いや、本気で知らん。会った事も聞いた覚えもない」
「そう言えば最近見ないな・・・」
それからダリアの捜索が始まった。
俺は俺でグレッグを探すのだが、有り得ない程に痕跡が無い。
そもそもどの部屋で寝泊まりしていたのかも不明となり、その名前を知るのも俺だけだという事だった。
頭が混乱する。
落ち着くために自室に戻り、独り言のように口ずさむ。
「まさか、実在しない空想上の友達とか言うんじゃないだろうな」
恐ろしい想像をしたが、もしそうであれば、そもそもドラゴンの血や心臓を入れた事も怪しい話となる。
だがその事を否定する要素が俺のケツに有るのは、ちょっとした皮肉な話だ。
尻尾が生えかけていること自体がドラゴンの血と心臓を入れた事を裏付けし、さらに言えばファーヴニルとの接点が全てを肯定しているのだ。
存在しているとしても、ただの不審者となればグレッグの目的は何なのだ。
悪戯でやったとは思えない以上、何か目論見があるハズだ。
「まさか、神だとか言わんだろうな。そうでなければ、悪魔あたりだろう」
そこまで呟いた時、唐突に頭に響くような声が俺に届いた。
『おや、気づいてしまいましたか』
「グレッグ!お前は何者・・・・だ・・・」
さっきまで自室に居たはずなのに、俺はよくわからない空間に居た。
白い、どこまでも白くて広い、果てしなく広い空間。
そんな空間には誰もおらず、俺だけがぽつんと地べたに座っていた。
一瞬はグレッグの声が聞こえたハズなのに、周りに誰も居ない。
やはり、実在しない空想上の友達なのかと疑いもするが、どうもそういう感じでも無さそうだ。
「改めて問う、お前は誰だ、何の目的で俺に接してきた!」
『私は、そうだね。神の成りそこない、エセ神とでも呼んで貰って構わない。いや、もちろんこれまで通りグレッグでも爺やでも構わないよ、私はね、君達から見れば高次元の存在。異世界から勇者や大聖女を呼び寄せ、導き、世界をコントロールするのが役割だ。今回は珍しくその使者として異世界人ではなく現地人の君を選んだ。どうかね。楽しんで貰えているだろうか?』
「楽しいかどうかは難しい所だな、だが、面白くはある。ただなぁ、最近尻尾が生えて来てるんだが、コレ、俺はどうなるんだ?それだけでもいいから教えてくれないか?」
『ふむ、私に対する疑問はないのかね?神に近い存在に臆せず接するのは賞賛に値するが、些か拍子抜け、いや、物足りなさを感じるのだ。もう少し驚くのが普通なのではないかね』
「いや、そんな時間の余裕はあるのか?そもそも、時間は止まってるのか?あー、こういうの考えるの面倒なんだよ。アンタが神でもエセ神でもなんでもいい。アンタが勝手にするように俺は俺の好きなようにする。アンタがこうして接してきた以上、敵じゃないんだろ?じゃあ目論見とか何を考えてるとかは二の次だ。尻尾だ。尻尾の事を教えてくれ」
『言うに事欠いて尻尾尻尾と拍子抜けだな。まぁ良い答えてやろう、その尻尾は伸びきれば取れる、取れた物は大事にするといい。そしてもう一度ファーヴニルに会うが良い。そして引き継ぐのだ、竜の力、その根幹を。さすれば愛しき者を守る事が出来るだろう。例えば、あの娘とかな。私は未来視ができる。実のところ君をその体に入れず、カロリーナを死んだままにしていると、この国は滅んでいたのだよ。時間的にはそろそろそういう時期で、その最悪の時間軸ではラミレスと全面戦争してる頃合いだ。ところが、ラミレスとの仲は良好、その上、ラミレスの力の一部を君が所有する事になった。完璧な正解に進んだと言っていい。それが嬉しいのだよ。今回の対談はその褒美だと思ってくれていい。そして、竜の力を引き継ぐのは急いだ方がいい、でないと海外との戦争がとんでもない事になる。私が言える事はこれくらいだ、あまり干渉しすぎると怒られるのでな、次に会うのは何年後になるか、気が向いたら会いに来るよ。ではな、健闘を祈る』
気が付けば部屋の中に戻っていた。
ベッドの上に座り込み、惚けている様な状態だ。
話しが長くて割り込む余地が無かった。
よくはわからんが、アイツに会いに行けってか?
いや、会いに行く必要はないか。
呼ぶことができるのだからな。
だがそうなるとどこに着地するのだろうか。
このあたりで開けていて踏み荒らしていい様な場所はない。
うーむ、やはり行くか。
このあたりに来られたら、領民が怯えるからな。
*
「ちょっとファーヴニルに会って来るわ」
「いきなりだな、何かあったのか?」
「カロリーナ様、私も行ってもよろしいでしょうか」
「もちろん、俺も行くぞ」
「いいけど、寒いぞ、大丈夫か?フランチェスカは俺のコートを貸・・・あげるとして、オルドリッジ様は俺のコートじゃ・・・」
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