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6.モルバーン学園(二年生編)
6-6.バッキンガルム侯爵領にて
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「「旅行だー!!」」
翌日、私達は事件の起きた村を訪れた。
場所は王都から馬車で半日もかからないようなパレゾーヌ村。
竜を使わなかったのは住民を威圧しかねない事と、お忍び旅行だからだ。
私はショートパンツに少しよれたシャツに外套といった冒険者の頃の恰好だ。
娘は顔が割れているから変小細工はしていない。
私達は実質的に大聖女と護衛と言った感じだ。
その為、以前ドワーフに作って貰った武器を見せつけるように腰に装備している。
村に到着して思ったのは想像以上に寂れた村だという事だ。
この村に来た理由は事件の調査などではなく、一般的な村の状況を見て欲しいという娘の強い要望だ。
娘にとってあんな事件はどうでも良いらしく、相手の令嬢の名前すら覚えていないという状況だ。
私は正体を隠すように外套のフードを深く被り、娘について行った。
娘は村長らしき者と話始めるが、村長の恰好を見るに生活が楽ではないという事が伝わって来る。
さらには村人の姿は奴隷かと思えるような姿をしている。
正直、領主が違うだけでこれほどの差が出るのかと思う程だ。
アングレード村とはえらい違いだと思いながら、村人から目線を逸らしてしまった。
「私はパレゾーヌ村の村長をしています、何のもてなしも出来ませんが───」
「気にしないでくれ。私はリーナだ、先日のトラブルについて、よく聞かせてくれないか」
「その事ですか───」
私は村長の話に耳を疑った。
商業ギルドの買い取り額はタダ同然。
生活もままならないからと出稼ぎや子減らしまで行われ、働き手も生産量も減る一方となっている。
さらにはライ麦を育てていた畑は土地がやせ細ってきたのか、育ちが悪くなってきていたのだ。
聖女の祈りをもってしてもどうにもならないというのは、最早、土地が育成に適さなくなったのではないかと思っていた。
今回、大聖女が訪れた事で今年は収穫量が増えるかもと期待している所という。
このあたりの村の殆どがこの状態で、この村が特別虐げられているという訳ではない事がより深刻な問題だと思われた。
「この土地の痩せ方は、この地域特有のものかな?」
「もしかするとそうかも。私、結構遠くまで行ったけど、そこはここまで酷くはなかったよ」
「その遠くってのはここより寒い所か?」
「うん、ちょっと肌寒いかな」
「じゃあ小麦を育てるのはどうだ?この地域なら良く育つそうだぞ」
村長は小麦と言う名称に心当たりがないみたいで、不安そうにしていた。
ただ、作ったところで買って貰えなければ意味がないが、現状を続けてもダメだという事は分かっているようだ。
「商業ギルドの方が買い取ってくれるでしょうか」
「それはわからないな。商業ギルドが買取を拒否したり安値で買いたたきそうだったら、女王陛下に言えばいいよ。大聖女様の姉だから話は通るだろう」
「わかりました。そのように致します」
小麦の種は後で届けると言って村を後にした。
続けて近くの町、カストネールに立ち寄った。
街並みは質素で、人通りが少し寂しい事を除けば町としては普通だ。
この町に隣接するようには大きな屋敷があり、この一帯の領主が居るというのだ。
領主には興味がなく、昼食の為に寄っただけだが入る店を吟味していると声をかけられた。
大聖女のみに許された服装が目立ったのか声をかけてきたのは貴金属をじゃらじゃら付けた者だった。
「貴女が大聖女のフランチェスカ・アバークロンビーだな。我はこの一帯の大領主、バッキンガルム侯爵が息子、ベニーソンである。少し付いて来て頂こうか」
まさかの侯爵家の者からのお誘い。
丁度良いしついて行く事にした。
屋敷は質素な街並みとは明らかに異なり、金ぴかで明らかに成金趣味と言った感じだ。
広大な庭に大勢の使用人が待ち構えていた。
ざっと公爵家の三倍はいるのではないかと思う程だ。
それが雇用に繋がっているのだから、文句をつけるような話ではない。
屋敷の中に入ると豪勢な内装に装飾、高そうな壺も飾ってある。
内装に感心しつつも、部屋に入れば動物のはく製が出迎えてくれた。
それも何体も、何体も並んでいる。
まるで、仕留めた獲物を自慢するかのようだった。
使用人が娘に席に座るように案内すると、娘が私に席を譲ろうとした。
今は護衛で付いて来たのだと耳打ちして娘に座らせた。
娘の席の斜め後ろに立っていると娘が気まずそうだったが、ベニーソンが気にせず話し始める。
それは自分がいかに偉大かという話。
自慢話が大半の上、現女王陛下とも親密な仲で一目置かれているそうだ。
へー。知らなかったよ。
「そうですか、姉と親密な仲であれば小麦の育成を斡旋されて大変でしょう?」
「お、おお、言われたとも。ただな、我の領地も直ぐには切り替える事が出来ていないのだ。頑固な村民が多くてな、頑としてライ麦しか作らないと言うので、説得して回っている所である」
「それは大変でございますね、ですが、今一度小麦への切り替えを強く推進すれば姉もきっとお喜びになられますよ」
「おお、そうか、ならば斡旋を急ごう!執事!聞いていたな?今すぐ手配を!」
一言残してそそくさと部屋を出る執事を見送る。
するとベニーソンは本題を切り出してきた。
「それで、大聖女には頼みたい事があるのだ」
*
(バッキンガルム侯爵に行く道中の会話)
「嫌な予感しかしないね、ついでに言うと気色悪い」
「同意だ。あの風体、引き締まりの無い顔と腹。鍛えて絞ってやりたい」
「まさか、竜騎士団でやってたあのシゴキをするの?」
「そんな事をすれば死んでしまうだろ?」
「いいんじゃない?どうせ、この人も・・・」
「相変わらず、貴族に厳しいな。すべての貴族が悪人って訳ではないぞ」
「あの人が善人に見えるの?」
「・・・・そうとは言っていない」
翌日、私達は事件の起きた村を訪れた。
場所は王都から馬車で半日もかからないようなパレゾーヌ村。
竜を使わなかったのは住民を威圧しかねない事と、お忍び旅行だからだ。
私はショートパンツに少しよれたシャツに外套といった冒険者の頃の恰好だ。
娘は顔が割れているから変小細工はしていない。
私達は実質的に大聖女と護衛と言った感じだ。
その為、以前ドワーフに作って貰った武器を見せつけるように腰に装備している。
村に到着して思ったのは想像以上に寂れた村だという事だ。
この村に来た理由は事件の調査などではなく、一般的な村の状況を見て欲しいという娘の強い要望だ。
娘にとってあんな事件はどうでも良いらしく、相手の令嬢の名前すら覚えていないという状況だ。
私は正体を隠すように外套のフードを深く被り、娘について行った。
娘は村長らしき者と話始めるが、村長の恰好を見るに生活が楽ではないという事が伝わって来る。
さらには村人の姿は奴隷かと思えるような姿をしている。
正直、領主が違うだけでこれほどの差が出るのかと思う程だ。
アングレード村とはえらい違いだと思いながら、村人から目線を逸らしてしまった。
「私はパレゾーヌ村の村長をしています、何のもてなしも出来ませんが───」
「気にしないでくれ。私はリーナだ、先日のトラブルについて、よく聞かせてくれないか」
「その事ですか───」
私は村長の話に耳を疑った。
商業ギルドの買い取り額はタダ同然。
生活もままならないからと出稼ぎや子減らしまで行われ、働き手も生産量も減る一方となっている。
さらにはライ麦を育てていた畑は土地がやせ細ってきたのか、育ちが悪くなってきていたのだ。
聖女の祈りをもってしてもどうにもならないというのは、最早、土地が育成に適さなくなったのではないかと思っていた。
今回、大聖女が訪れた事で今年は収穫量が増えるかもと期待している所という。
このあたりの村の殆どがこの状態で、この村が特別虐げられているという訳ではない事がより深刻な問題だと思われた。
「この土地の痩せ方は、この地域特有のものかな?」
「もしかするとそうかも。私、結構遠くまで行ったけど、そこはここまで酷くはなかったよ」
「その遠くってのはここより寒い所か?」
「うん、ちょっと肌寒いかな」
「じゃあ小麦を育てるのはどうだ?この地域なら良く育つそうだぞ」
村長は小麦と言う名称に心当たりがないみたいで、不安そうにしていた。
ただ、作ったところで買って貰えなければ意味がないが、現状を続けてもダメだという事は分かっているようだ。
「商業ギルドの方が買い取ってくれるでしょうか」
「それはわからないな。商業ギルドが買取を拒否したり安値で買いたたきそうだったら、女王陛下に言えばいいよ。大聖女様の姉だから話は通るだろう」
「わかりました。そのように致します」
小麦の種は後で届けると言って村を後にした。
続けて近くの町、カストネールに立ち寄った。
街並みは質素で、人通りが少し寂しい事を除けば町としては普通だ。
この町に隣接するようには大きな屋敷があり、この一帯の領主が居るというのだ。
領主には興味がなく、昼食の為に寄っただけだが入る店を吟味していると声をかけられた。
大聖女のみに許された服装が目立ったのか声をかけてきたのは貴金属をじゃらじゃら付けた者だった。
「貴女が大聖女のフランチェスカ・アバークロンビーだな。我はこの一帯の大領主、バッキンガルム侯爵が息子、ベニーソンである。少し付いて来て頂こうか」
まさかの侯爵家の者からのお誘い。
丁度良いしついて行く事にした。
屋敷は質素な街並みとは明らかに異なり、金ぴかで明らかに成金趣味と言った感じだ。
広大な庭に大勢の使用人が待ち構えていた。
ざっと公爵家の三倍はいるのではないかと思う程だ。
それが雇用に繋がっているのだから、文句をつけるような話ではない。
屋敷の中に入ると豪勢な内装に装飾、高そうな壺も飾ってある。
内装に感心しつつも、部屋に入れば動物のはく製が出迎えてくれた。
それも何体も、何体も並んでいる。
まるで、仕留めた獲物を自慢するかのようだった。
使用人が娘に席に座るように案内すると、娘が私に席を譲ろうとした。
今は護衛で付いて来たのだと耳打ちして娘に座らせた。
娘の席の斜め後ろに立っていると娘が気まずそうだったが、ベニーソンが気にせず話し始める。
それは自分がいかに偉大かという話。
自慢話が大半の上、現女王陛下とも親密な仲で一目置かれているそうだ。
へー。知らなかったよ。
「そうですか、姉と親密な仲であれば小麦の育成を斡旋されて大変でしょう?」
「お、おお、言われたとも。ただな、我の領地も直ぐには切り替える事が出来ていないのだ。頑固な村民が多くてな、頑としてライ麦しか作らないと言うので、説得して回っている所である」
「それは大変でございますね、ですが、今一度小麦への切り替えを強く推進すれば姉もきっとお喜びになられますよ」
「おお、そうか、ならば斡旋を急ごう!執事!聞いていたな?今すぐ手配を!」
一言残してそそくさと部屋を出る執事を見送る。
するとベニーソンは本題を切り出してきた。
「それで、大聖女には頼みたい事があるのだ」
*
(バッキンガルム侯爵に行く道中の会話)
「嫌な予感しかしないね、ついでに言うと気色悪い」
「同意だ。あの風体、引き締まりの無い顔と腹。鍛えて絞ってやりたい」
「まさか、竜騎士団でやってたあのシゴキをするの?」
「そんな事をすれば死んでしまうだろ?」
「いいんじゃない?どうせ、この人も・・・」
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「・・・・そうとは言っていない」
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