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6.モルバーン学園(二年生編)
6-8.バッキンガルム侯爵領にて
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バッキンガルム侯爵の後ろについて来たのはカードウェリア子爵の執事。
名前は確か───
「おや、カロリーナ様ではありませんかぁ、メサイアですよ、お久し振りです」
折角黙っていたのが台無しとなってしまった。
そんな私の表情を読み取ってか、メサイアは口角を上げている。
そして、バッキンガルム侯爵が反応した。
「女王陛下・・・・だと?」
「・・・バレちゃあ、仕方ネェな」
外套を脱ぎ捨て剣を構えた。
こうなってはメサイアを見逃す事はできない。
それに聞きたい事が山ほどあるのだ。
「お前の目的は何だ。先日の反乱の一端を担っていただろう」
「反乱だなんて滅相もありません、学園の防衛に協力したではありませんか」
「それは、王子を殺害するのに潜入する為だったのだろ?」
「それは誤解ですよぉ、ちょっと王子の素養を確認しようとしただけです。それに敵ではない証拠をお見せする事も可能ですよ、女王陛下」
「ほう?証拠とやらを今、見せれるのなら出してみろ」
私の一言にメサイアは空に円を描いた。
唐突に生首が現れ、足元に転がる。
「これは・・・何の真似だ」
「見覚えがありませんか?」
「ない」
「えええ?いやいや、いつしか闘技場で貴女を襲った魔族ですよ」
「んー・・・まぁ、こんなのいたっけ?デュラハン種と一緒に居た奴の事なんか知らん」
「しっかり覚えているではありませんか・・・」
「それで、これを何処から出したんだ?空間を捻じ曲げたように見えたが」
「あぁ、これは次元収納ですよ」
「へぇ、それくれよ。くれたら信じてやる」
「残念ですが、これは私の固有スキルなので、お渡しする事はできません」
「知ってる知ってる。勇者のスキルの一つだよな」
「・・・」
「勇者から勇者の能力を奪って何がしたいんだ?なぁ、教えてくれよ。もしかしたら協力できるかもだしさ」
メサイアは黙り込んでしまったかと思ったが、どうやら笑いを堪えていた様だ。
「ふははははは」
「何がおかしい」
「いやぁ、良く知ってるなぁと思ってね。そうだよ、ご指摘の通り、勇者の力を奪ったのは私だよ。でもさ、こんな能力を実力もない奴が持ってる方が間違えだったんだよ。その点だけであの死んだ王は王失格だと思うね。自分の部下にする訳でもなく、手に余るからと言って半ば放逐しようとしたんだよ?決戦兵器にもなり得る力をだよ?それで大きな国益を損ねたってのが分からないのかな」
「だから、反乱を起こして殺すように仕向けたとでも言うのか」
「そうだよ」
「じゃあさ、メサイアが持ってるのは正しいのか?」
「私ならこの力を正しく使える!君を襲って力を封じた魔族だって狩って来た。本来は勇者の力は王の元で振るうべきなんだ、この力は王と共にあるべき、並び立つべきなんだよ!少なくともあんな前線にも出ない腑抜けた王ではダメだ!もう、平和な時代は終わるのだからな!」
平和な時代は終わる───
それは最近になって肌で感じていた。
先日の海戦なんて、これまでの小規模な小競り合いなんて目じゃない程の戦死者が出ている。
両国の国民感情も穏やかではなかった。
一隻あたり100人以上乗っていて、それが三隻沈んでその大半が死んだのだ。
それも仲間内での砲撃でだ。
たまたま、同盟の証とも言える私が王位についているから、黙っている者が多いのは事実。
前王であれば、とんでもなく大きな問題になっていただろう。
そんなたまたま転がり込んできた国にとっての幸運。
私はその幸運という、いつ倒れてもおかしくない、ぬかるみの上に建った巨塔のようなもの。
誰かが少し押すだけで倒れてしまうような危なっかしい状態にある。
それを頑張って支えてくれているのが父とオルドリッジ様だ。
私はただのお飾りでしかない───
力が足りないのだ・・・
「それで、お前はどうしたいんだ?」
「私は仕えるに足りる王が欲しい。カロリーナ様がその器である限り忠義を誓う!」
「───最後に一つ質問だ、カードウェリア子爵に仕えていた理由を教えろ」
「仕方ないだろう、宰相はガード堅かったんだ、その点、カードウェリア子爵の信頼を得るのは楽だった。前王を倒すのに一番の近道だった。それだけだよ」
その言葉に、固まってしまった。
配下にすれば強力な部下になる事は間違いない。
だが、それを素直に喜ぶことはできない。
それだけの関係があるのだから。
「女王陛下、少しよろしいかな」
此処まで黙っていたバッキンガルム侯爵が改まって話しかけてきた。
私が頷くと彼は一度咳払いをしてから話を続ける。
「彼女が優秀なのは私も認めるところだ。そしてそれを御してこそ王の器と言うものだと思う。私も監視をするからそばに置いてみてはどうだろうか」
裏を返せば、メサイアを御しきれなければ、王の器にあらず、と言った所だろうか。
「分かった。メサイアは戦時になったら傍に居ろ、それでいいんだな?」
「必ず役に立って見せましょう。それまでは諜報活動等に勤しんでおります」
「好きにしろ。それで次は何処との戦いになると思っている?」
「そんな事は、陛下であれば分かっておられるでしょう」
「ふん・・・喰えない奴だな」
次の相手は小国、プルサウン。
及びそのバックに居座る軍事大国、ソルレーンだ。
*
「メサイア、お前にやってほしい事がある」
「女王陛下、何なりとお申し付けください」
「プルサウンの動向だ、最近あの国を通った者が被害を受けた。それ相応の報復をせねばならん」
「それこそ国家転覆ですかね。元々燻ぶっている国ですから、簡単ですよ」
「それはソルレーンの介入を招くだろうな」
「何処で迎え撃つのですか?」
「プルサウン内・・・と言いたいところだが、そこからいったん引いたところだな」
プルサウンはバーランド、ラミレス、ソルレーンと隣接する小国。
今ではソルレーンの属国に近い扱いで言いなりとなっているが、その要所を抑える事ができれば・・・。
名前は確か───
「おや、カロリーナ様ではありませんかぁ、メサイアですよ、お久し振りです」
折角黙っていたのが台無しとなってしまった。
そんな私の表情を読み取ってか、メサイアは口角を上げている。
そして、バッキンガルム侯爵が反応した。
「女王陛下・・・・だと?」
「・・・バレちゃあ、仕方ネェな」
外套を脱ぎ捨て剣を構えた。
こうなってはメサイアを見逃す事はできない。
それに聞きたい事が山ほどあるのだ。
「お前の目的は何だ。先日の反乱の一端を担っていただろう」
「反乱だなんて滅相もありません、学園の防衛に協力したではありませんか」
「それは、王子を殺害するのに潜入する為だったのだろ?」
「それは誤解ですよぉ、ちょっと王子の素養を確認しようとしただけです。それに敵ではない証拠をお見せする事も可能ですよ、女王陛下」
「ほう?証拠とやらを今、見せれるのなら出してみろ」
私の一言にメサイアは空に円を描いた。
唐突に生首が現れ、足元に転がる。
「これは・・・何の真似だ」
「見覚えがありませんか?」
「ない」
「えええ?いやいや、いつしか闘技場で貴女を襲った魔族ですよ」
「んー・・・まぁ、こんなのいたっけ?デュラハン種と一緒に居た奴の事なんか知らん」
「しっかり覚えているではありませんか・・・」
「それで、これを何処から出したんだ?空間を捻じ曲げたように見えたが」
「あぁ、これは次元収納ですよ」
「へぇ、それくれよ。くれたら信じてやる」
「残念ですが、これは私の固有スキルなので、お渡しする事はできません」
「知ってる知ってる。勇者のスキルの一つだよな」
「・・・」
「勇者から勇者の能力を奪って何がしたいんだ?なぁ、教えてくれよ。もしかしたら協力できるかもだしさ」
メサイアは黙り込んでしまったかと思ったが、どうやら笑いを堪えていた様だ。
「ふははははは」
「何がおかしい」
「いやぁ、良く知ってるなぁと思ってね。そうだよ、ご指摘の通り、勇者の力を奪ったのは私だよ。でもさ、こんな能力を実力もない奴が持ってる方が間違えだったんだよ。その点だけであの死んだ王は王失格だと思うね。自分の部下にする訳でもなく、手に余るからと言って半ば放逐しようとしたんだよ?決戦兵器にもなり得る力をだよ?それで大きな国益を損ねたってのが分からないのかな」
「だから、反乱を起こして殺すように仕向けたとでも言うのか」
「そうだよ」
「じゃあさ、メサイアが持ってるのは正しいのか?」
「私ならこの力を正しく使える!君を襲って力を封じた魔族だって狩って来た。本来は勇者の力は王の元で振るうべきなんだ、この力は王と共にあるべき、並び立つべきなんだよ!少なくともあんな前線にも出ない腑抜けた王ではダメだ!もう、平和な時代は終わるのだからな!」
平和な時代は終わる───
それは最近になって肌で感じていた。
先日の海戦なんて、これまでの小規模な小競り合いなんて目じゃない程の戦死者が出ている。
両国の国民感情も穏やかではなかった。
一隻あたり100人以上乗っていて、それが三隻沈んでその大半が死んだのだ。
それも仲間内での砲撃でだ。
たまたま、同盟の証とも言える私が王位についているから、黙っている者が多いのは事実。
前王であれば、とんでもなく大きな問題になっていただろう。
そんなたまたま転がり込んできた国にとっての幸運。
私はその幸運という、いつ倒れてもおかしくない、ぬかるみの上に建った巨塔のようなもの。
誰かが少し押すだけで倒れてしまうような危なっかしい状態にある。
それを頑張って支えてくれているのが父とオルドリッジ様だ。
私はただのお飾りでしかない───
力が足りないのだ・・・
「それで、お前はどうしたいんだ?」
「私は仕えるに足りる王が欲しい。カロリーナ様がその器である限り忠義を誓う!」
「───最後に一つ質問だ、カードウェリア子爵に仕えていた理由を教えろ」
「仕方ないだろう、宰相はガード堅かったんだ、その点、カードウェリア子爵の信頼を得るのは楽だった。前王を倒すのに一番の近道だった。それだけだよ」
その言葉に、固まってしまった。
配下にすれば強力な部下になる事は間違いない。
だが、それを素直に喜ぶことはできない。
それだけの関係があるのだから。
「女王陛下、少しよろしいかな」
此処まで黙っていたバッキンガルム侯爵が改まって話しかけてきた。
私が頷くと彼は一度咳払いをしてから話を続ける。
「彼女が優秀なのは私も認めるところだ。そしてそれを御してこそ王の器と言うものだと思う。私も監視をするからそばに置いてみてはどうだろうか」
裏を返せば、メサイアを御しきれなければ、王の器にあらず、と言った所だろうか。
「分かった。メサイアは戦時になったら傍に居ろ、それでいいんだな?」
「必ず役に立って見せましょう。それまでは諜報活動等に勤しんでおります」
「好きにしろ。それで次は何処との戦いになると思っている?」
「そんな事は、陛下であれば分かっておられるでしょう」
「ふん・・・喰えない奴だな」
次の相手は小国、プルサウン。
及びそのバックに居座る軍事大国、ソルレーンだ。
*
「メサイア、お前にやってほしい事がある」
「女王陛下、何なりとお申し付けください」
「プルサウンの動向だ、最近あの国を通った者が被害を受けた。それ相応の報復をせねばならん」
「それこそ国家転覆ですかね。元々燻ぶっている国ですから、簡単ですよ」
「それはソルレーンの介入を招くだろうな」
「何処で迎え撃つのですか?」
「プルサウン内・・・と言いたいところだが、そこからいったん引いたところだな」
プルサウンはバーランド、ラミレス、ソルレーンと隣接する小国。
今ではソルレーンの属国に近い扱いで言いなりとなっているが、その要所を抑える事ができれば・・・。
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