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6.モルバーン学園(二年生編)
6-9.商業ギルドにて
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娘と視察した翌日、商業ギルドから呼び出しがあった。
商業ギルドに行くと、ギルド長が多忙の為と言う理由で長い時間待たされた。
そんな暇な時間をギルド内の観察するしかなかったが、気になる点がいくつか出てきた。
対応待ちの行列ができているのにも関わらず、職員は自由気ままにサボっている。
業務中に化粧する受付け嬢、立ち話をする職員、物陰に隠れて抱き合ってキスしてる奴らまでいた。
そして、客への対応はというと、上から目線で高圧的だった。
普段は待ち時間なしに会議室に通されるから気にも留めなかったが、よくみると酷いとしか言いようがない。
繰り返し小耳にするのは『単価が高い』『言ってた量が卸されていない』『粗悪品』と言う言葉。
中には金を払ったのに納品がないと怒る者までいたのだ。
この国の商業の中心がこのような状態というのは事は嘆かわしい事だ。
越権行為になるやもしれんが、その状況に我慢できず、声をかけようと立ち上がった時、声をかけられた。
「陛下、お待たせいたしました」
職員の女性の声に、苛立ち交じりの声で答えてしまう。
「待ったぞ。あまり私の時間を無駄にしない事だな」
「申訳ありません、ギルド長には私からも言っておきます」
この女性の名前はブルーナといい、こんなギルドの中では真面目に見える人物だった。
そんな人物対しての私の言葉は八つ当たりでしかなく、反省すべき点であった。
ギルドの悪い部分が目に付いたからといって、全体が腐っている訳ではないのだからな。
「すまない、きつく言い過ぎたようだ」
「いいえ、このギルドの内情を見ていれば苛立つ事も当然でしょう」
「ブルーナはこの状況を変えたくはないのか?」
ブルーナは立ち止まり、行き葉の無い怒りを感じているようだった。
「私みたいな人間がどうこうできる訳がないでしょ・・・」
それもそうだ。
ギルド長のワンマンで動いている組織において、不満を述べれば首になる可能性だってある。
個人にそんな危険な橋渡しをさせる訳にはいかない。
ならば───
「もう少しだけ我慢してくれないか、必ず私がどうにかするからな」
そう言い終わると同時に、会議室のドアを開けた。
中にはギルト長だけでなく、聖女のノーラも居た。
だが、登場人物はそれだけではないのだ。
「申し訳ありません、遅れてました!」
乱れる程でないにしろ、少し呼吸が荒れている娘が、後から入って来た。
「あら、フランチェスカさん、会議に遅れるなんてなってませんわね」
「私、呼び出しの話を聞いてすぐに向かったんですよ。こんなギリギリに呼び出すなんてどうかしています。用事だってあったのに・・・」
「嘘をおっしゃい、呼び出しの通知は前日には届くようにしておりましたわ!」
「フランチェスカの言う事は本当だよ。それは僕が保証する」
さらに遅れてウィリアムが現れた。
娘と違い、随分息が上がっているようだ。
そもそも、私は待たされたというのにノーラはどうして先にこの部屋に居るのかすらも説明がない。
一体何を企てているのやらだな。
「それで、今度は何の用だ」
私の質問にノーラが答える。
「この度の暴力事件についてですわ」
「フランチェスカがノーラ嬢に暴力を振るったというのか?」
ウィリアムが驚きながら言葉を返すが、それに対して私が反論する。
「そんな訳ねーだろ」
「そ、そうだよね。よかったぁ~」
「それがあったのですわ、フランチェスカさんは私が無抵抗なのを良い事に、馬乗りで顔を本気で殴ったのです!」
そこにギルド長が口を挟んだ。
「ウィリアム様、もうお分かりでしょう。陛下は自分の権力拡大の為に大聖女を庇い、ノーラ嬢を陥れようとしているのです。こんな教育の行き届いていない子を無理矢理学園に入学させるのは如何なものでしょうかね」
「そうですわ、女王陛下は騙されているのですよ。猫を被ったフランチェスカさんに!目を覚ましてください!」
そんな迫真の演技に、私は傍観を決め込んだ。
ここで庇わないようであれば、娘を嫁にやる訳にはいかんからだ。
「ノーラ嬢?フランチェスカが本気で殴ったというのは本当かい?嘘偽りはないかい?」
「ええ、それはもう、痛かったのです!」
「そうかい、じゃあギルド長はその言を信じてわざわざこの場を用意したと。つまりノーラ嬢が嘘をついていれば一緒に責任を取る覚悟があるという事でいいのかい?」
「もちろんですよ。尤も嘘をついてるのは大聖女の方ですがね」
「そう、じゃあギルド長、フランチェスカの本気のパンチを顔面で受けてみなよ」
その言葉にギルド長はとても嫌な顔をした。
「どうして私が・・・せめて物にしてください・・・おい、ブルーナ、納品前の木偶人形があっただろ、持ってこい!」
「はい!」
そうして実際の検証が始まるのだった。
*
(カロリーナが来る前の会議室での会話)
「ノーラがウィリアム様と一緒になりたいのは分かるのだが、子爵家では些か釣り合いが取れないな」
「それはウィリアム様が王子だった頃の話でしょ?今は王子でもなく、ただの王族なのですから今がチャンスなのですわ」
「成程ねぇ、その上でウィリアム様に王位を返還すれば子爵家でも王妃になれる訳か」
「あんな子供、言い負かすのなんて余裕だわ。元平民のクセにな生意気なのよね」
「それに付け込んでギルドは弱みを握れれば十分だ」
「叔父様も悪い事を考えるわね」
商業ギルドに行くと、ギルド長が多忙の為と言う理由で長い時間待たされた。
そんな暇な時間をギルド内の観察するしかなかったが、気になる点がいくつか出てきた。
対応待ちの行列ができているのにも関わらず、職員は自由気ままにサボっている。
業務中に化粧する受付け嬢、立ち話をする職員、物陰に隠れて抱き合ってキスしてる奴らまでいた。
そして、客への対応はというと、上から目線で高圧的だった。
普段は待ち時間なしに会議室に通されるから気にも留めなかったが、よくみると酷いとしか言いようがない。
繰り返し小耳にするのは『単価が高い』『言ってた量が卸されていない』『粗悪品』と言う言葉。
中には金を払ったのに納品がないと怒る者までいたのだ。
この国の商業の中心がこのような状態というのは事は嘆かわしい事だ。
越権行為になるやもしれんが、その状況に我慢できず、声をかけようと立ち上がった時、声をかけられた。
「陛下、お待たせいたしました」
職員の女性の声に、苛立ち交じりの声で答えてしまう。
「待ったぞ。あまり私の時間を無駄にしない事だな」
「申訳ありません、ギルド長には私からも言っておきます」
この女性の名前はブルーナといい、こんなギルドの中では真面目に見える人物だった。
そんな人物対しての私の言葉は八つ当たりでしかなく、反省すべき点であった。
ギルドの悪い部分が目に付いたからといって、全体が腐っている訳ではないのだからな。
「すまない、きつく言い過ぎたようだ」
「いいえ、このギルドの内情を見ていれば苛立つ事も当然でしょう」
「ブルーナはこの状況を変えたくはないのか?」
ブルーナは立ち止まり、行き葉の無い怒りを感じているようだった。
「私みたいな人間がどうこうできる訳がないでしょ・・・」
それもそうだ。
ギルド長のワンマンで動いている組織において、不満を述べれば首になる可能性だってある。
個人にそんな危険な橋渡しをさせる訳にはいかない。
ならば───
「もう少しだけ我慢してくれないか、必ず私がどうにかするからな」
そう言い終わると同時に、会議室のドアを開けた。
中にはギルト長だけでなく、聖女のノーラも居た。
だが、登場人物はそれだけではないのだ。
「申し訳ありません、遅れてました!」
乱れる程でないにしろ、少し呼吸が荒れている娘が、後から入って来た。
「あら、フランチェスカさん、会議に遅れるなんてなってませんわね」
「私、呼び出しの話を聞いてすぐに向かったんですよ。こんなギリギリに呼び出すなんてどうかしています。用事だってあったのに・・・」
「嘘をおっしゃい、呼び出しの通知は前日には届くようにしておりましたわ!」
「フランチェスカの言う事は本当だよ。それは僕が保証する」
さらに遅れてウィリアムが現れた。
娘と違い、随分息が上がっているようだ。
そもそも、私は待たされたというのにノーラはどうして先にこの部屋に居るのかすらも説明がない。
一体何を企てているのやらだな。
「それで、今度は何の用だ」
私の質問にノーラが答える。
「この度の暴力事件についてですわ」
「フランチェスカがノーラ嬢に暴力を振るったというのか?」
ウィリアムが驚きながら言葉を返すが、それに対して私が反論する。
「そんな訳ねーだろ」
「そ、そうだよね。よかったぁ~」
「それがあったのですわ、フランチェスカさんは私が無抵抗なのを良い事に、馬乗りで顔を本気で殴ったのです!」
そこにギルド長が口を挟んだ。
「ウィリアム様、もうお分かりでしょう。陛下は自分の権力拡大の為に大聖女を庇い、ノーラ嬢を陥れようとしているのです。こんな教育の行き届いていない子を無理矢理学園に入学させるのは如何なものでしょうかね」
「そうですわ、女王陛下は騙されているのですよ。猫を被ったフランチェスカさんに!目を覚ましてください!」
そんな迫真の演技に、私は傍観を決め込んだ。
ここで庇わないようであれば、娘を嫁にやる訳にはいかんからだ。
「ノーラ嬢?フランチェスカが本気で殴ったというのは本当かい?嘘偽りはないかい?」
「ええ、それはもう、痛かったのです!」
「そうかい、じゃあギルド長はその言を信じてわざわざこの場を用意したと。つまりノーラ嬢が嘘をついていれば一緒に責任を取る覚悟があるという事でいいのかい?」
「もちろんですよ。尤も嘘をついてるのは大聖女の方ですがね」
「そう、じゃあギルド長、フランチェスカの本気のパンチを顔面で受けてみなよ」
その言葉にギルド長はとても嫌な顔をした。
「どうして私が・・・せめて物にしてください・・・おい、ブルーナ、納品前の木偶人形があっただろ、持ってこい!」
「はい!」
そうして実際の検証が始まるのだった。
*
(カロリーナが来る前の会議室での会話)
「ノーラがウィリアム様と一緒になりたいのは分かるのだが、子爵家では些か釣り合いが取れないな」
「それはウィリアム様が王子だった頃の話でしょ?今は王子でもなく、ただの王族なのですから今がチャンスなのですわ」
「成程ねぇ、その上でウィリアム様に王位を返還すれば子爵家でも王妃になれる訳か」
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