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真宵荘のお猫様
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僕は腕の中の温もりで目が覚めた。
さらさらの毛がむき出しの腕に触れて心地よい。
徐々に意識が覚醒してきた僕は腕の中のものが何か理解する。猫だ。
でもどうして猫が僕の布団の中にいるのだろう。
布団から出ようとすると何かが手に引っかかった。引っ張りあげてみるとタマの服だった。
まだ布団の中にありそうだったので手探りで引っ張り出す。マタの服が一式全部出てきたのだ。
下着が出てきた時には声を上げてしまったことは割愛する。
しかしどうしてタマの服が出てくるのだろう?
まだぐっすり眠る猫を起こさないように布団を出る。
なんなんだいったい。
僕は夢かと思って頬を抓る。痛い。夢じゃない。
…シャワーを浴びて思考をリセットしよう。
シャワーを浴びてさっぱりした僕はひとまず朝食の用意をする。
「…見たの?」
タマの声が後ろからした。
僕は飛び上がって振り返る。そこにはさっき布団から出てきた服をまとったタマが立っていた。
「み…見たって?」
僕の頭の中にタマの下着がフラッシュバックする。少し頬に朱がさすのが自分でもわかった。
「私の…ホントの姿……見たの?」
今にも泣き出してしまいそうな目で僕を見つめるタマはあまりにも痛ましい。
「え?…ホントの姿?」
「だ、だから!私の猫の姿見たかって聞いてるの!」
あの猫がタマ!?
確かにそれで合点が行くことがいくつかある。
僕が初めてここに来た日、タマが階段を降りる時に足音がしなかったこと。
タマの家出騒動の時、あの野良猫の家がなくなってしまったことがわかったこと。
全部タマが猫だったとしたら。
「リクトには知られたくなかったのに…」
「え、えっと…ごめん」
「ばかっ!」
そう叫ぶとタマは自分の部屋に走って出ていってしまった。
追いかけようとした僕をユウジさんが止める。
どうやら入口のところにいたらしい。
「今はそっとしておいてやってくれ」
僕は力なく頷くと朝食の用意を続けた。
それでもずっとタマのことを考えていた。
さらさらの毛がむき出しの腕に触れて心地よい。
徐々に意識が覚醒してきた僕は腕の中のものが何か理解する。猫だ。
でもどうして猫が僕の布団の中にいるのだろう。
布団から出ようとすると何かが手に引っかかった。引っ張りあげてみるとタマの服だった。
まだ布団の中にありそうだったので手探りで引っ張り出す。マタの服が一式全部出てきたのだ。
下着が出てきた時には声を上げてしまったことは割愛する。
しかしどうしてタマの服が出てくるのだろう?
まだぐっすり眠る猫を起こさないように布団を出る。
なんなんだいったい。
僕は夢かと思って頬を抓る。痛い。夢じゃない。
…シャワーを浴びて思考をリセットしよう。
シャワーを浴びてさっぱりした僕はひとまず朝食の用意をする。
「…見たの?」
タマの声が後ろからした。
僕は飛び上がって振り返る。そこにはさっき布団から出てきた服をまとったタマが立っていた。
「み…見たって?」
僕の頭の中にタマの下着がフラッシュバックする。少し頬に朱がさすのが自分でもわかった。
「私の…ホントの姿……見たの?」
今にも泣き出してしまいそうな目で僕を見つめるタマはあまりにも痛ましい。
「え?…ホントの姿?」
「だ、だから!私の猫の姿見たかって聞いてるの!」
あの猫がタマ!?
確かにそれで合点が行くことがいくつかある。
僕が初めてここに来た日、タマが階段を降りる時に足音がしなかったこと。
タマの家出騒動の時、あの野良猫の家がなくなってしまったことがわかったこと。
全部タマが猫だったとしたら。
「リクトには知られたくなかったのに…」
「え、えっと…ごめん」
「ばかっ!」
そう叫ぶとタマは自分の部屋に走って出ていってしまった。
追いかけようとした僕をユウジさんが止める。
どうやら入口のところにいたらしい。
「今はそっとしておいてやってくれ」
僕は力なく頷くと朝食の用意を続けた。
それでもずっとタマのことを考えていた。
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