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アンドロイドにも魂②
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「今の方法を犯人も知っているんだったら、一人は確実に殺せたのでは」
「乱戦になるのを恐れたんだと思う。ニイみたいに不安になってくれれば良いが。逃げ場がないと覚悟を決められたら返り討ちに遭う可能性もある」
このトリックがばれるとハチも知っている例の件にも考えついてしまうかもしれないとナナが説明を続けた。
わたしの頭の中には例の件と書かれた記憶がないのでまた忘れてしまったらしい。
隣の部屋にいたサンも葬式に参加することに賛成してくれた。
夢世界に向かうため、二階にあるエレベーターに二人ずつ乗ろうと話し合っている時に。
「ロクがわたしの手を繋いでくれていたのはハチの安全を守るためですね。ありがとうございます」
ようやく気づいたのかと言いたそうな顔のロクに頭を下げた。
外部犯は存在をしないので犯人はこの中にいる、という不安な気持ちを見抜かれたようで。
「心配するな。犯人も狭いエレベーターの中で戦闘になれば自分も殺されること考えるはずだ」
ゴウの牽制に誰も目立った反応をしなかった。
エレベーターはニイとサン、ゴウとナナ、手繋ぎ状態を配慮してロクとわたしの二人ずつで乗る。
幸いにも八階の夢世界に到着するまでは、なにも起きなかった。
「すでに気づいているとは思うが、葬式は館にいるアンドロイド全員を集めるための建前だ」
夢世界の数えきれないほどのナノマシンに明るくしてもらい、わたしたちは円形になるように立つ。
わたしの左にはロク、右にはナナがいる。
「イチの首を斧で切り落とせるような神経のナナが葬式をしようなんて誰も思ってないわよ」
ナナの向かいに立つニイが苦々しそうに言いつつ赤い舌を伸ばした。
「だけどナナがわたしたちのためにイチの首を切り落としたのは理解できているから、安心しなさい」
「気遣ってもらって助かるが今回の件はどうやってもバッドエンドが確定していてね。たった一人しか生き残れないんだ」
「あんな曖昧な情報を真に受けているの」
「メッセージの裏取りができたというべきかな」
ナナの真剣な表情を見てか、ニイの顔が強張る。
「メッセージが本当なのかどうかはおいといてさ。肝心な犯人は分かっているのか、それが一番」
「すでに分かっているよ。だから、こうして騙してまで集まってもらったんだ」
「さっそく誰が犯人なのか教えて」
サンが口を開いたまま動かない。ニイ以外の全員の視線が自分に向いていたことに気づいたらしい。
「なんだよ、ゴウまで。揉めるのは嫌だったんじゃないのか」
自分の左隣にいるゴウにサンが声を震わせながら近づこうと。
「動くな。最初に言っただろう、葬式がナナの推理が終わるまでは絶対に互いに近づかないとな」
身の潔白を証明したいなら、なおさらだとゴウがサンを睨みつける。
「犯人と決めつけるんだから証拠があるんだよな」
両手を上げたサンが、わたしたちの顔を確認していきナナに話しかけていた。
「サンが犯人だという証拠はなかったよ」
ナナの言葉に面食らっているようでニイが彼女とサンの顔を交互に見た。
「証拠はないのにサンが犯人って、酷くない」
ニイの台詞を聞いてかサンが笑みを浮かべる。
「ナナがわたしを犯人扱いしているのを聞いてハチはどう思った。正直な感想を教えてくれないか」
皆の中で一番公平な判断をすると思われたのか、わたしと向かい合わせの位置にいるサンがこちらと目を合わせてきた。
「サン自体が犯人と疑われていれば不憫ですけど、わたしの前のサンなので仕方ないかと」
ハチが例の件を忘れている可能性がある、不安がなくなったからかナナが胸を撫で下ろすように息を吐き出す。
ニイもわたしの言葉を理解してないらしくこちらを心配そうな表情で見ている。
「わたしが説明をしても良いんですか、ナナの推理ショーみたいなものなのでは」
「別に構わないよ。犯人を名指しできる権利はハチにしかないしさ」
名指しの権利をどこで獲得したのかは知らないが扉のトリックとかはナナが話してくれるんだろう。
「前提が間違っていて。ニイの隣のアンドロイドはサンの見た目ですが、本物のサンではありません」
アンドロイドだからこそできるようなトリック、ではあるが思いついたとしても自ら命を捨てるような行為に違いはない。
成功したから良かったものの。頭の螺子がいくつか外れてないとまともな神経では到底できない。
「ハルヨシさん、博士はわたしたちを心臓から製作したと言っていたことがあります」
博士はアンドロイドを作れなかったので、改めて考えてみると犯人に心臓をナイフで狙わせたことと同様にヒントを与えてくれていたのかもしれない。
「わたしたちにも自我があり、それがどの部分から発生をしているのか考えたりしました」
人間は自分の魂と呼ぶものを脳味噌や心臓にあると信じている風潮があったはずですよね。
おそらくは一番人間に憧れるニイに確認をした。
「そもそも魂があるのかどうかは分からないけど、ハチの言う通り人間はそんな風に」
ニイが間違ってダンゴムシを食べたような驚いた顔になっている。
「アンドロイドの魂とでも言っておきましょうか、それはわたしたちの自我みたいなもので」
わたしたちの心臓の役割までしてくれています。
「もしも、心臓にそれぞれの人格が宿っているのであれば他の誰かのものと交換をした場合」
トリックがばれないようにばらばらにされた彼女のことを思い出してしまい涙が溢れてくる。
「どんな気持ちでサンの心臓をばらばらにしたの、どんな気持ちでイチの頭を壊したの、どんな気持ちで博士の心臓をナイフで」
「悪いね、ハチ。もう思い出せそうにないや」
サンの人格が宿っていたであろう心臓を抜き取り自分のものをくっつけたシイが、特に後悔した様子もなく普段と同じような口調で言っていた。
「乱戦になるのを恐れたんだと思う。ニイみたいに不安になってくれれば良いが。逃げ場がないと覚悟を決められたら返り討ちに遭う可能性もある」
このトリックがばれるとハチも知っている例の件にも考えついてしまうかもしれないとナナが説明を続けた。
わたしの頭の中には例の件と書かれた記憶がないのでまた忘れてしまったらしい。
隣の部屋にいたサンも葬式に参加することに賛成してくれた。
夢世界に向かうため、二階にあるエレベーターに二人ずつ乗ろうと話し合っている時に。
「ロクがわたしの手を繋いでくれていたのはハチの安全を守るためですね。ありがとうございます」
ようやく気づいたのかと言いたそうな顔のロクに頭を下げた。
外部犯は存在をしないので犯人はこの中にいる、という不安な気持ちを見抜かれたようで。
「心配するな。犯人も狭いエレベーターの中で戦闘になれば自分も殺されること考えるはずだ」
ゴウの牽制に誰も目立った反応をしなかった。
エレベーターはニイとサン、ゴウとナナ、手繋ぎ状態を配慮してロクとわたしの二人ずつで乗る。
幸いにも八階の夢世界に到着するまでは、なにも起きなかった。
「すでに気づいているとは思うが、葬式は館にいるアンドロイド全員を集めるための建前だ」
夢世界の数えきれないほどのナノマシンに明るくしてもらい、わたしたちは円形になるように立つ。
わたしの左にはロク、右にはナナがいる。
「イチの首を斧で切り落とせるような神経のナナが葬式をしようなんて誰も思ってないわよ」
ナナの向かいに立つニイが苦々しそうに言いつつ赤い舌を伸ばした。
「だけどナナがわたしたちのためにイチの首を切り落としたのは理解できているから、安心しなさい」
「気遣ってもらって助かるが今回の件はどうやってもバッドエンドが確定していてね。たった一人しか生き残れないんだ」
「あんな曖昧な情報を真に受けているの」
「メッセージの裏取りができたというべきかな」
ナナの真剣な表情を見てか、ニイの顔が強張る。
「メッセージが本当なのかどうかはおいといてさ。肝心な犯人は分かっているのか、それが一番」
「すでに分かっているよ。だから、こうして騙してまで集まってもらったんだ」
「さっそく誰が犯人なのか教えて」
サンが口を開いたまま動かない。ニイ以外の全員の視線が自分に向いていたことに気づいたらしい。
「なんだよ、ゴウまで。揉めるのは嫌だったんじゃないのか」
自分の左隣にいるゴウにサンが声を震わせながら近づこうと。
「動くな。最初に言っただろう、葬式がナナの推理が終わるまでは絶対に互いに近づかないとな」
身の潔白を証明したいなら、なおさらだとゴウがサンを睨みつける。
「犯人と決めつけるんだから証拠があるんだよな」
両手を上げたサンが、わたしたちの顔を確認していきナナに話しかけていた。
「サンが犯人だという証拠はなかったよ」
ナナの言葉に面食らっているようでニイが彼女とサンの顔を交互に見た。
「証拠はないのにサンが犯人って、酷くない」
ニイの台詞を聞いてかサンが笑みを浮かべる。
「ナナがわたしを犯人扱いしているのを聞いてハチはどう思った。正直な感想を教えてくれないか」
皆の中で一番公平な判断をすると思われたのか、わたしと向かい合わせの位置にいるサンがこちらと目を合わせてきた。
「サン自体が犯人と疑われていれば不憫ですけど、わたしの前のサンなので仕方ないかと」
ハチが例の件を忘れている可能性がある、不安がなくなったからかナナが胸を撫で下ろすように息を吐き出す。
ニイもわたしの言葉を理解してないらしくこちらを心配そうな表情で見ている。
「わたしが説明をしても良いんですか、ナナの推理ショーみたいなものなのでは」
「別に構わないよ。犯人を名指しできる権利はハチにしかないしさ」
名指しの権利をどこで獲得したのかは知らないが扉のトリックとかはナナが話してくれるんだろう。
「前提が間違っていて。ニイの隣のアンドロイドはサンの見た目ですが、本物のサンではありません」
アンドロイドだからこそできるようなトリック、ではあるが思いついたとしても自ら命を捨てるような行為に違いはない。
成功したから良かったものの。頭の螺子がいくつか外れてないとまともな神経では到底できない。
「ハルヨシさん、博士はわたしたちを心臓から製作したと言っていたことがあります」
博士はアンドロイドを作れなかったので、改めて考えてみると犯人に心臓をナイフで狙わせたことと同様にヒントを与えてくれていたのかもしれない。
「わたしたちにも自我があり、それがどの部分から発生をしているのか考えたりしました」
人間は自分の魂と呼ぶものを脳味噌や心臓にあると信じている風潮があったはずですよね。
おそらくは一番人間に憧れるニイに確認をした。
「そもそも魂があるのかどうかは分からないけど、ハチの言う通り人間はそんな風に」
ニイが間違ってダンゴムシを食べたような驚いた顔になっている。
「アンドロイドの魂とでも言っておきましょうか、それはわたしたちの自我みたいなもので」
わたしたちの心臓の役割までしてくれています。
「もしも、心臓にそれぞれの人格が宿っているのであれば他の誰かのものと交換をした場合」
トリックがばれないようにばらばらにされた彼女のことを思い出してしまい涙が溢れてくる。
「どんな気持ちでサンの心臓をばらばらにしたの、どんな気持ちでイチの頭を壊したの、どんな気持ちで博士の心臓をナイフで」
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