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第一章 カラハダル大森林 異世界転移 編
28.『一焼』に付す-Ⅱ
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「そのまさか。香木くんさ!」
「えっ? こうぼ……?」
「間違えた。ピカレスの枝だよ」
「で、ですよね……。でもなんでそんな貴重な物がここに……というかそのままじゃ使い物に……」
つい呑気に話してしまっていたが、こうしている間にも呪印は茶髪の少年や金髪の少女の体を蝕んでいるし、魔物たちも攻撃をしてきている。
さっさとやってしまおう。
最初に出逢った時は自分の身長よりも高かったはずの香木くんの身の丈も、今では腕よりも短くなっている。
散々彼には助けられたが、ここはもう一頑張りしていただくことにしよう。
(彼らを助けてあげてくれ!)
枝の両端に近い場所を持ち、力を籠める。
「ちょっ!? あなた何をしてっ――」
翡翠の少女が驚愕の声をあげると同時に、渇いた音をあげて枝は折れ、強烈な香りが周囲に広がり、辺りには光の粒子が舞い散る。
前の時と比べると随分と少ないその粒子を無駄にしないように風の魔法で集めて、的確に呪い傷へと持っていく。
体を蝕んでいた呪印はぐいぐいと呪い傷へと引っ込んでいき、二人の表情からも幾分か楽になったことが読み取れる。
完治までには至らないが、これでしばらくは時間稼ぎができただろう。
「グォォォ……」
ポルテジオで突進を受け止めていた大土竜たちが嫌忌の声をあげて怯む。
そういえばこいつらの弱点でもあった。
さすがは香木くんだ。
「え……いや……え? 良かったんですか? それ、すごく貴重な――」
個人的にはこのピカレスの木というものがどれほど貴重なものなのか、まだちゃんと理解はできていない。
しかしこの世界で一番長く時を共にし、旅をしてきたり命を救われたりと、愛着がわかないわけは無かった。
正直どんどん短くなっていくのを見ると、少し悲しいのも事実だ。
だが、それでもだ。
どんな事情や理由があろうと――
「――人の命に換えられる物なんてあるわけないよ」
少女らが息を呑むが、こんなの当たり前の事なのだ。
少なくとも自分にとってはそうなのだ。
だからこそ"護らねば"と思えるのだ。
「――そうでなきゃ僕に生きる意味は無い」
呟くような声は、きっと少女らには届いていないだろう。
多少楽にはなったであろうが、未だに辛そうに体を横たえている金髪の少女が問いかけてくる。
「貴重な枝を使ってくれたのは本当にありがたいんだけど……正直私もサキトもそんなに長くは持たないわ……。その……こんな聞き方すると失礼だけど、あなた最上級の攻撃魔法が使えるの? 見たところ私たちとそんなに変わらないように見えるのだけど……」
この状況を早急に打破するためには最上級魔法でも使えないと話にならないと、そう言いたいのだろう。
そんな問いに翡翠の少女が続く。
「そ、その肩の子は精霊ですよね? それなら上級魔法でも十分だよアイラちゃん! それにシエラを使えるってことは年上かもしれないし……」
少女らの問いに正直に答えるのが心苦しいが、嘘をついたところで仕方がないだろう。
「その……魔法に関しては魔力制御の練習ばかりしてたから"名付き"の魔法は一つも覚えてないんだ……。あ、歳は十九歳だよ」
そんな返答にアイラという名前らしい金髪の少女が驚愕の表情を浮かべて口を開いた。
「な、"名付き"の魔法を一つも覚えてないですって!? それって初級魔法すら覚えてないってこと!?」
「う、うん」
「その歳までどうやって育ってきたのよいったい!? てかそんな状態であの数の魔物をいったいどうしようって――」
「まあ落ち着けよアイラ」
あまりの驚きに呪いの苦しみも吹き飛んだのか声を荒げる金髪の少女の発言を茶髪の少年が遮る。
「この人はちゃんと俺たちを助けてくれるって言ったんだ。俺はこの人を信じるぜ。俺の勘が信じられるって言ってんだ」
「勘ってあんた……」
少年は目を不安と恐怖で少し揺らしながらも、それでもある限りの信頼を――希望を託してきた。
この信頼には全力で応えなければならない。
もう何度も繰り返してきたが、再び誓うように繰り返す。
「ああ、絶対に助けてみせるよ」
その言葉を聞いて金髪の少女も渋々と口を開いた。
「……わかったわ。……生意気な口きいてごめんなさい」
「いや、気にしてないよ。さて、敵さんもお待ちかねみたいだしさっさと終わらさないとね」
折れた香木くんをマジックバッグに仕舞いながら正面でピカレスの香りに怯んで後退りをしている大土竜を見据える。
勝ち筋は既に考えている。
失敗は許されない。
「キュウ。何をしたいかはわかってるよな?」
「キュウッ!」
意気込み十分に「もちろん!」とキュウが返してくる。
「じゃあまずは援護を頼むな」
「キュキュウッ!」
「えっ? こうぼ……?」
「間違えた。ピカレスの枝だよ」
「で、ですよね……。でもなんでそんな貴重な物がここに……というかそのままじゃ使い物に……」
つい呑気に話してしまっていたが、こうしている間にも呪印は茶髪の少年や金髪の少女の体を蝕んでいるし、魔物たちも攻撃をしてきている。
さっさとやってしまおう。
最初に出逢った時は自分の身長よりも高かったはずの香木くんの身の丈も、今では腕よりも短くなっている。
散々彼には助けられたが、ここはもう一頑張りしていただくことにしよう。
(彼らを助けてあげてくれ!)
枝の両端に近い場所を持ち、力を籠める。
「ちょっ!? あなた何をしてっ――」
翡翠の少女が驚愕の声をあげると同時に、渇いた音をあげて枝は折れ、強烈な香りが周囲に広がり、辺りには光の粒子が舞い散る。
前の時と比べると随分と少ないその粒子を無駄にしないように風の魔法で集めて、的確に呪い傷へと持っていく。
体を蝕んでいた呪印はぐいぐいと呪い傷へと引っ込んでいき、二人の表情からも幾分か楽になったことが読み取れる。
完治までには至らないが、これでしばらくは時間稼ぎができただろう。
「グォォォ……」
ポルテジオで突進を受け止めていた大土竜たちが嫌忌の声をあげて怯む。
そういえばこいつらの弱点でもあった。
さすがは香木くんだ。
「え……いや……え? 良かったんですか? それ、すごく貴重な――」
個人的にはこのピカレスの木というものがどれほど貴重なものなのか、まだちゃんと理解はできていない。
しかしこの世界で一番長く時を共にし、旅をしてきたり命を救われたりと、愛着がわかないわけは無かった。
正直どんどん短くなっていくのを見ると、少し悲しいのも事実だ。
だが、それでもだ。
どんな事情や理由があろうと――
「――人の命に換えられる物なんてあるわけないよ」
少女らが息を呑むが、こんなの当たり前の事なのだ。
少なくとも自分にとってはそうなのだ。
だからこそ"護らねば"と思えるのだ。
「――そうでなきゃ僕に生きる意味は無い」
呟くような声は、きっと少女らには届いていないだろう。
多少楽にはなったであろうが、未だに辛そうに体を横たえている金髪の少女が問いかけてくる。
「貴重な枝を使ってくれたのは本当にありがたいんだけど……正直私もサキトもそんなに長くは持たないわ……。その……こんな聞き方すると失礼だけど、あなた最上級の攻撃魔法が使えるの? 見たところ私たちとそんなに変わらないように見えるのだけど……」
この状況を早急に打破するためには最上級魔法でも使えないと話にならないと、そう言いたいのだろう。
そんな問いに翡翠の少女が続く。
「そ、その肩の子は精霊ですよね? それなら上級魔法でも十分だよアイラちゃん! それにシエラを使えるってことは年上かもしれないし……」
少女らの問いに正直に答えるのが心苦しいが、嘘をついたところで仕方がないだろう。
「その……魔法に関しては魔力制御の練習ばかりしてたから"名付き"の魔法は一つも覚えてないんだ……。あ、歳は十九歳だよ」
そんな返答にアイラという名前らしい金髪の少女が驚愕の表情を浮かべて口を開いた。
「な、"名付き"の魔法を一つも覚えてないですって!? それって初級魔法すら覚えてないってこと!?」
「う、うん」
「その歳までどうやって育ってきたのよいったい!? てかそんな状態であの数の魔物をいったいどうしようって――」
「まあ落ち着けよアイラ」
あまりの驚きに呪いの苦しみも吹き飛んだのか声を荒げる金髪の少女の発言を茶髪の少年が遮る。
「この人はちゃんと俺たちを助けてくれるって言ったんだ。俺はこの人を信じるぜ。俺の勘が信じられるって言ってんだ」
「勘ってあんた……」
少年は目を不安と恐怖で少し揺らしながらも、それでもある限りの信頼を――希望を託してきた。
この信頼には全力で応えなければならない。
もう何度も繰り返してきたが、再び誓うように繰り返す。
「ああ、絶対に助けてみせるよ」
その言葉を聞いて金髪の少女も渋々と口を開いた。
「……わかったわ。……生意気な口きいてごめんなさい」
「いや、気にしてないよ。さて、敵さんもお待ちかねみたいだしさっさと終わらさないとね」
折れた香木くんをマジックバッグに仕舞いながら正面でピカレスの香りに怯んで後退りをしている大土竜を見据える。
勝ち筋は既に考えている。
失敗は許されない。
「キュウ。何をしたいかはわかってるよな?」
「キュウッ!」
意気込み十分に「もちろん!」とキュウが返してくる。
「じゃあまずは援護を頼むな」
「キュキュウッ!」
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