アポロの護り人 ―異世界夢追成長記―

わらび餅.com

文字の大きさ
54 / 163
第二章 軍属大学院 入学 編

45.二日目の門出-Ⅰ

しおりを挟む

「おーいタケル! そろそろ出発するぞー! ――おっと、なるほど……。先に門に行ってるからな」

「あっ、うんわかった。すぐ行くよ」

 出発の準備が整ったようで、サキトが自分を呼びに来た。
 状況を見て察したサキトが先に門に向かったところで、目の前でキュウとテッチを楽しそうに撫でている二人の子供たちに声をかける。

「ごめんね。そろそろ行かなくちゃ」

「えー! もういっちゃうのー?」

「もっとキュウちゃんとテッチちゃんとあそびたかったー……」

 残念がる子供たちを見ると、少し心が痛む。
 せっかく楽しそうにしているので、もう少し撫でさせてあげたいところではあるが、そのためにサキトたちを待たせるわけにはいかないのだ。

「ごめんね。きっといつかまた一緒に来るから、その時はまた遊んであげてね。それに、二人もそろそろお手伝い戻らないと怒られちゃうんじゃない?」

「あっ! そうだった!」

「おかあさんにおこられちゃう! じゃあまたねー! キュウちゃん! テッチちゃん! おにいちゃん!」

 水のたっぷりと入ったバケツを軽々と持ち上げながら二人の子供は走り去っていく。

(身体強化をしてるんだろうけど……前の世界だと目を疑うような光景だよな)

 子供たちを見送ったところで、上機嫌なキュウとテッチを連れて村の入り口へと向かう。
 所用のできたサキトたち三人を待つ間、村を散歩している時に家の手伝い中の彼らと出会い、キュウとテッチに興味をしめしたので戯れていたわけだが、楽しそうな子供たちを見て和む反面、内心では焦りもしていた。
 正直自分は子供の相手をした経験がほとんど無いため、もし駄々をこねられたらどうすればいいかわからなかったからだ。

(まあうまい事別れられてよかったな……)

 自分でもどこか情けないと思うような思考をしながら歩いていると、すぐに門とその前にいるサキトたちが見えてくる。

(本当に小さな村だよなぁ)

 この世界は帝都などのような大きな都市が五つある他は、このような小さな村から、もう少し規模の大きい町などが各地に点在しているらしく、各都市を移動する行商人や、国中を巡回している軍人たちを持て成すことで生計を立てているらしい。
 質素な村の割に宿のセキュリティがそれなりに良いのは、まさに生計の要であるからだろう。
 そのため、基本どの村や町でも村長や町長のような権力者には宿屋の主人がなっているらしい。
 このクルブ村も例に違わず宿屋の主人が村長になっており、十分ほど前に何やらソフィアたちに頼み事があるとかで話しに来たのだ。
 込み入った話のようだったので自分は離れて散歩を始めたわけだが、最初の方に少し聞こえた限りでは依頼がなんだとか言っていた気がする。

(そういえば学校の科目に『依頼』の科目があるとか言ってたよな……。何かやること増えたのかな?)

 そんな事を考えながら三人に声をかけて合流する。

「ごめんごめん。おまたせ」

「いえいえ、お待たせしちゃったのはこちらですから。タケルくんはもう出発しても大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。それより、なんか依頼とか言ってたけど、今日の予定って何か変わった?」

 そんな自分の問いに答えたのはアイラだった。

「予定に変更はないわ。明日のお昼には帝都に着けるように今日は出来るだけ進む。タケルは昨日と一緒で魔力探知で魔物を見つけ次第報告してちょうだい」

 つまり今日も休憩をはさみながらひたすら身体強化をして街道を走るわけだ。
 依頼とやらはどうしたのだろうかと考えていると、サキトが少し不満げに話し始める。

「別に依頼受けても良かったと思うけどなー。せっかく優秀な索敵係もいるんだし……。走ってばっかだと体が鈍っちまうぜ」

「もう、さっきも散々話したでしょ? 高等学院生が個人の判断で依頼を受けるのは非推奨だし、そもそも私たちはさっさと帝都に帰って森での事を報告しなきゃダメなんだからって!」

 どうやら依頼は断ったようだ。
 というより、優秀な索敵係とはひょっとして自分の事だろうか。

(索敵……魔物の討伐とかかな? ってかそもそも依頼って何だろう? ひょっとしてお金貰えたりするのかな?)

 出来ればおじいちゃんに頼りっぱなしになるのではなく、自分で稼いで暮らしていきたいので、この辺りのことはぜひとも聞いておいた方が良さそうな気がする。
 というわけで聞いてみることにした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...