アポロの護り人 ―異世界夢追成長記―

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第二章 軍属大学院 入学 編

49.大雑把に繊細に-Ⅱ

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「正直サキトの事、色々大雑把な奴だなーって思ってたんだけど……。あんな繊細だけど豪快な魔力の使い方できるんだね……」

 そんな自分の呟きにアイラが呆気からんと答える。

「いや、あいつは基本大雑把よ。性格も魔力の扱いも両方ね」

「えっ!? 大雑把なの!? あの魔力の扱いで!?」

 予想外の返答に思わず聞き返すと、今度はソフィアが苦笑いをしながら答える。

「まあ、直感的に大雑把に身体強化をしてもあれだけの事が出来るくらいに努力を欠かさないっていうのがサキトくんの良いところですかね」

「普段の生活はもうちょっと繊細で丁寧にしなさいってのよね……。リオナさんがいなかったらあいつがどんな生活してたか考えるのも恐ろしいわ……」

「ん? リオナさんって誰?」

 普段の生活から大雑把なのは何となく予想通りだったので、そちらよりも気になった唐突に名前の出てきた人について聞いてみた。

「ああ、タケルは知らないわよね。たぶんそのうちどこかで会うことになると思うけど、サキトのお義姉ねえさんよ」

「サキトくんのお兄さんのサイカさんの奥さんですね。でも、小さい頃から一緒にいたらしいので、本当に姉弟みたいなんですよ」

「でも最近はなーんかよそよそしいんだけどねー。サキトが何か強がってるっていうか……」

 そんな話をしていると、サキトが先ほど倒した狼型の魔物の爪と牙を手にこちらへと戻ってきたので声をかける。

「おかえりサキト。凄い攻撃だったね! おじいちゃん以外であんなに綺麗な身体強化する人初めて見たよ!」

 まあそもそもの出会った人の数が少ないのだが、そんな野暮な事は気にしない方がいいだろう。
 自分の言葉を聞いたサキトはどこか嬉しそうに照れつつも、反面その顔には不満の感情が見て取れた。

「そう言ってくれるのは嬉しいけどよ、俺の身体強化なんてまだまだだぜ。兄貴にも、ましてや銀将様になんて到底及ばない程度だ。俺にはこれしかねぇってのに正直情けねぇ話だぜ……。――ただ光明は見えたぜ! 今まで俺は速度を乗せたりはしてたけど、いつも腕だけとか足だけに力込めて攻撃してたんだ。でもタケルが精霊化した時の攻撃見てよぉ! 地面にどっしりと構えて、魔力が足から拳まで駆け上がっていくの見た時に"これだ"って思ったんだわ! よく考えりゃ当然だよな! 一部だけより全身使った方が強いに決まってるもんな! さっき試してみたんだけど思った通り、いつもより手応え抜群だったぜ!」

 生き生きとして話すサキトに若干圧倒されつつも、自分の思惑が当たっていたようなので、それについて返答する。

「ああ、やっぱりそうだったんだ。あの構えはおじいちゃんから基本として教えられたんだけど、やっぱり違うもんなんだね……。強いて言うなら、本当に力を籠めるのは相手に当てる瞬間だけって言ってたから、力みすぎるのも良くないみたいだよ。あとは、その全身を使った攻撃を予備動作無しで使えば戦闘で虚をつけるから強いとかなんとか言ってたなぁ……」

「なるほど……ってか予備動作無しってどんなのだよ?」

「僕もわからないけど……腕を突き出すだけとか……?」

「どうやってそれで全身使うんだ……?」

「さあ……?」

 サキトの疑問は自分も思うところなのだが、寧ろサキトにわからないのなら自分なんて余計にわからないだろう。
 お互い腕を突き出しながらああでもないこうでもないとしていると、見かねたのかアイラが話しかけてくる。

「というか、サキトあんたそれを試したくってやたら戦闘したがってたわけね……」

「ん? おう! 試したくってずっと体がうずうずしてたわっ!」

「まあいいけど……。じゃあサキトも満足したことだし、もう進んでいいかしら?」

「おう! まだ満足してねぇけどな! あっ! そうだタケル。この爪とか牙みたいな魔法を分解する部位の事を特殊部位って言ってな、これを軍とか商会に売ると小遣い稼ぎになるんだぜ! ってなわけでこれはタケルにやるよ!」

 そう言ってサキトが爪と牙を押し付けてきた。

「え? でも倒したのはサキトだし……」

「良いから受け取ってくれって! こんな事でもしねぇと俺に恩を返しきる事なんて一生できねぇからよ!」

 そう言われるとどうも弱る。
 仕方がないので、ありがたく受け取っておく事にしよう。

「う、うん。それじゃあ……あっ! そういえばソフィアにもお昼代を払わないと――」

 そこまで言ってから、"しまった"と思った。
 このタイミングで聞けば、どう考えても受け取ってもらえないのは明白である。

「あ、別にタケルくんは良いですよ。私にもちょっとずつで良いですから恩を返させてください」

 ソフィアの様子から見るに、恐らくこのタイミングでなくとも受け取っては貰えそうに無かったが、何だか機をうかがって言ったようで申し訳ない気分になる。

「なんかこうなると私だけまだ何も恩を返してないみたいじゃない……。ちょっとタケル! なんかしてほしい事とか無いの!?」

 アイラが両肩を掴み揺さぶってくる。
 魔力探知の事など色々と教えてもらっているので、全くそんなことは無いのだが、どうやら彼女は納得がいかないようである。
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