アポロの護り人 ―異世界夢追成長記―

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第二章 軍属大学院 入学 編

94.帝都観光-Ⅰ

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「じゃあ私はそろそろ仕事に戻るよ。今日だけじゃあ到底回りきれないだろうけど、帝都を存分に見て回るといいよタケル君。みんなもわかっているだろうけど、道中は気を付けるんだよ」

 そう言うとリーガルさんは部屋を出ていった。
 早速貰ったこの『波動時計』とでも名付けられそうな腕時計で確認すると、時刻は既に九時を十五分程回っていた。

(……思ったよりも良いな)

 身にそぐわないだの何だのと思っていたが、着けてみると中々どうしてしっくりくる。
 何だか恥ずかしいが、"ちゃんとした腕時計を着けている"という事実に少しばかり高揚してしまっているのだ。
 そうしてまじまじと腕時計を眺めている自分を余所に、リーガルさんを見送ったアイラが話をきりだした。

「さて、じゃあそろそろ私たちも出かけましょうかね! まずはどこから案内して回ろうかしら……。パパの言ってた通り、全部を見て回るのは流石に無理があるし……」

「俺はずっとここで育ってきたから正直帝都自体はどこが見どころなのかとか正直わかんねぇんだよなぁ……。城の外観とかは昨日見ただろうし……」

 サキトの言わんとする事も何となくわかる。
 見どころとはもっぱら他の場所とは違う所の事を言うのだと思うのだが、その"他の場所"というものを知らなければそもそも見つける事すら困難であろう。
 きっと、東西南北の都市の建築様式を模したという貿易区画の人々の居住区などは、それこそ見どころの一つなのだとは思うのだが、あれはどちらかと言うと他の都市の見どころであって帝都自身の見どころとは言い難いのだろう。
 しかし、自分が今とりあえず見に行きたいのはその内の一つである東側の居住区なのだ。
 それを主張しても良いものかと少し悩んでいると、ちょうどいい問いかけをソフィアがしてくれる。

「うーん……。タケルくんはどこか気になる場所とかありましたか?」

「ああ! それならさっきそこの居住区見て凄く気になったんだ! あそこから見たいな」

「そこの居住区って、ラグルスフェルトの――東の都市の建築様式の所ですか?」

「うん、そこそこ! ひょっとして今いる居住区内とかの方が都合が良かったりする……?」

「いえ! 寧ろ大歓迎ですよタケルくん! 早速行きましょう!」

 わざわざ何やら言い換えて確認してきたので何かマズい事でもあるのかと心配したのだが、当のソフィアは寧ろ嬉しそうに返答してきた。
 よくよく考えれば、地名を言われても自分は理解が出来ないので、それを考慮して言い換えてくれただけであろう。

(ん? でもラグルスフェルトってどっかで聞いた事があるような……?)

 ここ最近何度か耳にしている気がする。
 思い出せそうで思い出せない感覚にもやもやとする。
 どこで聞いたのであっただろうか――

(ああそうだ。ソフィアの家名だ!)

 答えに辿り着いた事によって、憑き物が落ちたかのようにさっぱりとした気分になる。
 しかしそれも束の間、また新たな疑問が頭に浮かぶ。

(あれ? って事は東の都市の名前とソフィアの家名が一緒って事なのか……?)

 東西南北にそれぞれ存在する四つの大都市。
 四大貴族と呼ばれる地位の高いらしい人たち。
 そんな貴族の一員らしいソフィアの家名と同じ名前の都市。
 ひょっとしたら、四大貴族と言うのはそれぞれの都市を治めていたりする人たちの事なのかもしれない。
 それならばティストさんが言っていたように地位が高いというのも頷ける。

(って事はソフィアってやっぱり凄く偉いんだよなぁ……)

 そう考えながら自分が眺めているのに気が付いたのか、ソフィアが小首を傾げる。

「どうかしましたかタケルくん?」

「――いや、何でもないよ。それじゃあ早速案内してもらえるかな?」

「はい! では行きましょう!」

 元気よくソフィアが出口へと向かっていき、皆でその後に続く。

――偉かろうと偉くなかろうと、ソフィアはソフィアだ。

 好奇の視線に晒された時のソフィアの表情はどこか寂し気だった。
 自分の思い違いの可能性もあるが、きっと自分が偉い人に接する様な態度で接すれば彼女は悲しむだろう。
 自分もそんなよそよそしい関係になるのは嫌であるし、ここは友人として接する事を許し、そして求めてくれているソフィアの優しさに甘えさせて貰おう。
 そんな事を考えながら自分もソフィアたちの後に続くのであった。

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