アポロの護り人 ―異世界夢追成長記―

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第二章 軍属大学院 入学 編

97.長年の片思い-Ⅰ

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「さて、そろそろここも十分見れたでしょうし、違うところに行きましょう! 他に行きたい所とかは無いの?」

 もっぱら『ラグルスフェルト居住区画』と呼ばれるらしい、この東の貿易区画の人々の居住区画をしばらく見て回ったところで、アイラがそんな提案をしてきた。
 本当は家の中の様子なども見てみたいところではあるのだが、流石に人の家であるためそんな事をするわけにはいかない。
 それにここに来たかったのは別に目新しい物を探したかったからではなく、どちらかというと懐かしさに駆られて来たわけであるから、そんなに長居しても仕方ないであろう。
 来ようと思えばいつでも来れるのだ。
 何故こんなにも前の世界と似通った物がたくさんあるのかも気にはなるが、それも今考えたところで到底わかることではない。
 アイラの言う通りそろそろ移動するのが得策であろう。

「うーん……そうだなぁ……」

 他に気になる所と言えば、昨日少し見た南の都市の建築様式でできた居住区画だろうか。
 艶のある黒い建物が高い壁の向こうに建っているのが見えていたが、見えていない部分がどうなっているのかなど気になることは多々ある。

(うん、あそこが良いかもな)

 その事を伝えようとしたその時、自分が口を開くよりも先にサキトが喋りだした。

「そういやタケルは軍属大学院の場所知らねぇよな? あそこに向かうついでに街練り歩けば良いんじゃねぇか?」

 サキトの提案に思わず「確かに」と納得する。
 これからそこに通うことになるというのに、所在地を知らないとあってはたまったものでは無い。

「軍属大学院ってどの辺にあるの?」

「ん? 北東境界通りの貴族区と一般区の――って言ってもわかんねぇよな……」

「えーっと……とりあえずここから北の方にあるって事だよね?」

「ああ、そうだな。それがどうかしたのか?」

「いや、別に何でもないよ」

 南の方にあるのならば、ついでに例の真っ黒居住区も見たいと提案しようかと思ったが、あそこになら一人でも行けるので今日のところは軍属大学院を優先しよう。
 腕時計で時刻を確認すると、すでに十時をまわっている。
 そんなに長居をしたつもりはなかったのだが、恐らく土壁のところで想像以上に時間を使っていたのだろう。
 使った側が言うのも何ではあるが、時間は有限であるので大事に使った方がいいであろう。

「よし、じゃあ軍属大学院まで案内してもらえるかな?」

「ほい来た! じゃあ早速向かおうぜ!」

 何だがサキトのテンションが高くなった様な気がするが、そんなに軍属大学院に行きたかったのだろうか。
 明らかにソワソワしている。

「サキトあんたねぇ……。別にハルカさんに会えるとは限らないわよ。ってかたぶん会えないわよ」

 アイラもサキトのそんな様子から何か察したのかそんな事を口にした。

「べ、別に良いだろ! 会えるかもしれねぇじゃねぇか……ってか別にそんな目的じゃねぇよ!? お、俺はただ純粋にタケルを案内してやろうとだな――」

 何だか言い訳じみた事を言うサキトを余所に気になった部分を質問してみる。

「ハルカさんって誰? サキトの知り合いか何かかい?」

「え? ああ、そ、そう! 俺の知り合い――」

「サキトがベタ惚れしてる人よ。今は軍属大学院に通ってるから、行けばもしかしたら会えるかもしれないって魂胆なのよ」

「なるほど」

「だああああ!? 何言ってんだアイラ!? タケルも納得してんじゃねぇよ! 違うからな!?」

「何よ、別に隠す様な事じゃないでしょ?」

「そうだよサキトくん! 好きな人がいるって素敵な事だよ!」

「ソウダソウダー」

「ッ――」

 アイラやソフィアの言葉にサキトは赤面して口を噤み、一人で先に歩きだしてしまう。
 何となく話に便乗してみたが、確かに好きな人がいるという事は素敵な事なのだろう。
 正直よくわからないが。
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