アポロの護り人 ―異世界夢追成長記―

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第二章 軍属大学院 入学 編

98.長年の片思い-Ⅱ

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 この際なので詳しいところまで聞いてみようと、サキトに着いて行きながらアイラたちに問いかけてみる。

「で? サキトはそのハルカさんとやらとどの程度の仲なの?」

 サキトが一瞬ビクリと肩を震わせたが特に止める様子も無いので、もうなる様になれと言った感じなのだろう。
 サキトが本当に知られるのが嫌ならば聞かないようにしようと思っていたのだが、どうやら単純に恥ずかしいだけな様だ。
 アイラも同じ様に感じ取ったのか、そのまま自分の質問に対して答える。

「どの程度も何も、全く、全然、これっぽっちも仲良くなんて無いわよ。完全にサキトが片思いで遠くから見つめてるだけって感じ。もう五年近く片思いしてるってのに、ちょっと喋った事があるって程度かしらね? 喋る時も緊張しすぎていつもどもってるし」

「お、おう……」

 嫌がってはいないとはいえ恥ずかしがっているのは事実であるので、少しばかりサキトに配慮した言い方をするかとも思っていたが、そこはアイラであった。
 サキトに対しては何かと容赦がないが、きっとそれも長年の付き合い故というものなのだろう。
 アイラの物言いを聞いたサキトは、案の定といった感じに肩を落として落ち込んでいる。
 図星なのだろう。
 ソフィアが背中をさすってあげているが、それが余計に哀愁を誘っている。
 というより今更思い出したが、森の家で「同じ学校になる」とか何とか言っていたのはきっとその人の事なのだろう。
 五年も片思いとは、それだけでもサキトの純真さが窺える。

「ねえ、そういえばサキトたちは合格貰えたの?」

「え? いや、正式な発表はまだだけど、先生は多分合格だって昨日報告した時は言ってたな」

 それならば――

「じゃあサキトにとっては本当にチャンスなわけだ。これから毎日会えるかもしれないわけだし」

「お、おう! そうだな……」

 「毎日会える」と聞いて想像したのか、期待と不安の両方を同時に感じている様な反応を見せる。
 サキトが抱いている気持ちを自分は知らない。
 だがきっと、今の反応が全てを物語っているのだと思う。
 "期待"と"不安"、字面だけ見れば良いものと悪いものの様にも見えるが、きっと一概にこの"不安"を悪としては駄目なのだろう。
それも恋の醍醐味なのだと、どこかで聞いた事があるような気もする。
しかしやはりそれを知らない身からすれば、払拭は出来ずとも、出来るだけ期待の割合が大きくなっていてほしいわけで――

「僕は、きっとサキトの想いは届くと思うよ」

「――なんで、そう思うんだ?」

 相手がどんな人なのかも知らない様な自分が、こんな事を言っても何の説得力も無いのは当然だ。
 それでも、もし自分にとって"明確"な理由があるとすれば――

「僕の勘がそう言ってるんだ。『サキトなら大丈夫だ』ってね」

 結局根拠の欠片も無い理由ではあるが、あの森で初めて会った時にサキトが自分を信じてくれた時も、程度は違えどきっとこんな気持ちだったのだろうとは思う。

「――そっか。……なんか上手くいきそうな気がしてきたわ! ありがとなタケル!」

 そんな自分の想いが伝わったのか、サキトは妙に嬉し気にそう返してきた。
 少しでも不安が拭えたのならば良かった。

「あんたたちその"勘"っていうの好きね。まあ私からしたら、サキト次第って感じかしらね。いつまでもうじうじしてちゃ始まるものも始まらないわよ」

 アイラがそんな事を口にすると、ソフィアが自分に耳打ちしてくる。

「アイラちゃんあんな言い方してますけど、よく私と『どうやってハルカさんとサキトくんをくっつけるか』って話をするんですよ? 私もアイラちゃんもサキトくんの想いは届いて欲しいんです。アイラちゃんは五年って言ってますけど、たぶんサキトくんもっと長い間片思いしてますし……」

「うん、大丈夫。ちゃんとわかってるよ」

 付き合いの短い自分がアイラの事を勘違いしないようにと、気遣ってそう教えてくれたのだろう。
 物言いは相変わらずであるが、アイラはサキトの恋路を始まるものとして扱っているので、要するに「サキトが頑張れば上手くいく」と思っているわけだ。
 素直にそう言ってあげればいい気もするが、それはそれでアイラも照れ臭いのだろうし、自分にもわかるのだからサキトならなおさらの事、本意を理解しているだろう。
 今度は特に落ち込む様子も無い。
 しかしソフィアの言が正しいのであれば、サキトはいったいどれ程の間一人の相手を想い続けているのだろうか。
 たぶん知らない人がこのサキトの片思いの話を聞いても応援したくなるだろう。

(ここまでくるとサキトがそこまで好きになるのがどんな人なのかめちゃくちゃ気になってきたな……)

 サキトとは方向性も動機も違うが、自分も軍属大学院に行ったついでにハルカさんとやらに遭遇出来ないかと、若干の期待を抱きながらサキトたちの後に続いた。

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