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第二章 軍属大学院 入学 編
138.正体不明の感情-Ⅲ
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(というより、絵になるなぁ)
小さい子が小動物と戯れるというのは、見ていて実に癒される無邪気な光景だ。
(さっきは子ども扱いするなって言ってたけど、こうしてる分には年相応って感じだよなぁ)
多少棘があったりはするが人とはしっかりと敬語で接し、自分に非があると思えばしっかりと謝罪ができる。
いわゆる『大人な対応』という奴だ。
それもきっと、欲望の渦巻くあのパーティーの様な場で隙を見せないために必要な事なのだろう。
貴族だからという理由で、そうやって振る舞うように教育された結果なのだろう。
それはきっとソフィアにも言える事で、メアリーはその上に合宿と称して泊りがけで――つまり家族と離れて過ごしたりもするわけだ。
それだけ期待をかけられて、プレッシャーも相当なものだというのは想像に難くない。
他所の家庭の事情に口出しなんてできる立場ではないし、親からの期待による重圧なんてものを自分は知らない。
(それでも――楽じゃない事くらいはわかる)
楽し気にキュウを撫で続けるメアリーへと問いかける。
「どう? 可愛いでしょ?」
「ま、まあ、及第点といった所ですわね!」
「"キュウ"だけに?」
「……何を言っているんですの?」
「あっ、いや、そいつの名前キュウっていってね……それで……」
「……」
「……」
場を沈黙が支配する。
風流極まる細流も、この場においてはただ冷え切った空気を誇張するだけだ。
気まずいったらありゃしない。
いったい誰だこんな空気にしたのは。
けしからん。
「……今、どんな気持ちだと思いますの?」
メアリーのジト目が精神をダイレクトに攻撃してくる。
これはどうにか場を温めねば――
「――ぼ、僕の渾身のネタに"及第点"を与えたい気持ち……とか?」
「……今、どんな気持ちですの?」
ぐうの音も出ないといった感じの気持ちである。
キュウまでジト目を向けるのはやめていただきたい。
余計にいたたまれなくなってしまうではないか。
「……くだらないネタを聞かせた代償として、もうしばらくこの子を堪能させていただきますわね」
「ど、どうぞ……」
再び場を沈黙が支配する。
しかし何故だろうか。
正直悪い気はしないのだ。
(ああ、そうか……)
自分は誰かとこうした何の気兼ねもないくだらない会話をしてみたいとずっと思っていたのだ。
なんというか、こういった何の意味も無い様なくだらない会話はソフィアたちとは出来なかったのだ。
別に遠慮があるわけではないのだが、どちらかというと気恥ずかしさのせいだろうか。
でもそればらば、何故メアリーならば良いのであろうか。
正直、ソフィアからあの様なジト目を向けられるのは――
(――あれ? 想像するとなんかゾクゾク……いや、気のせいだな……)
それより先を考えるのは危険な気がしたので思考を元に戻し、依然として楽し気にキュウを撫でているメアリーへと目を向ける。
(楽しんで……くれてるのかな?)
キュウを撫でるのをではない。
自分との会話を、だ。
普通なら素気無くあしらわれている時点で解は出ていると思うものだが、どうにもそうは思えない自分がいるのだ。
自分と同じように、皮肉ったり冗談を言い合ったりするのを楽しんでくれているのではないかと感じるのだ。
希望的観測だと笑われるかもしれない。
実際の所、希望的観測だと考える方が自然だろう。
だとしたら、何故自分はそんな希望的観測を抱いたのだろうか。
(いや、そもそも会話がつまらないとは思われたくないものだけど……)
「――ょっと!」
(うーん……わかりそうでわからない……)
「――ちょっと! 聞いてますの!?」
突然大声が鼓膜を震わす。
「ん? なんかデジャブ……?」
「また人の話を聞いてませんでしたのね!? というか喧嘩を売ってるんですの!?」
デジャブを感じて当然である。
つい数日前にも似たような状況があったのだ。
どうやらまた思考にのめり込んでしまい話を聞き逃していたようだ。
「わわわ、ご、ごめんね!? そ、それで、何の話かな?」
「それはこちらの台詞ですわ! あなたがお話しようと言ったんですのよ! 今度はどんなくだらない事を言い出すのかと楽しみ――ではなく待っていたといいますのに何も喋り出しませんから不思議に思って見てみれば、人の顔を見ながらニヤニヤして! まったく気持ち悪いったらありゃしませんですわ!」
なるほど、確かに自分はここに座って話をしようと言ったのであった。
しかしやはり、気持ち悪いと言われたわりにそれ程悪い気はしないし、メアリーもどこか楽し気にしているように感じてしまう。
これはもうある種の病気なのかもしれない。
小さい子が小動物と戯れるというのは、見ていて実に癒される無邪気な光景だ。
(さっきは子ども扱いするなって言ってたけど、こうしてる分には年相応って感じだよなぁ)
多少棘があったりはするが人とはしっかりと敬語で接し、自分に非があると思えばしっかりと謝罪ができる。
いわゆる『大人な対応』という奴だ。
それもきっと、欲望の渦巻くあのパーティーの様な場で隙を見せないために必要な事なのだろう。
貴族だからという理由で、そうやって振る舞うように教育された結果なのだろう。
それはきっとソフィアにも言える事で、メアリーはその上に合宿と称して泊りがけで――つまり家族と離れて過ごしたりもするわけだ。
それだけ期待をかけられて、プレッシャーも相当なものだというのは想像に難くない。
他所の家庭の事情に口出しなんてできる立場ではないし、親からの期待による重圧なんてものを自分は知らない。
(それでも――楽じゃない事くらいはわかる)
楽し気にキュウを撫で続けるメアリーへと問いかける。
「どう? 可愛いでしょ?」
「ま、まあ、及第点といった所ですわね!」
「"キュウ"だけに?」
「……何を言っているんですの?」
「あっ、いや、そいつの名前キュウっていってね……それで……」
「……」
「……」
場を沈黙が支配する。
風流極まる細流も、この場においてはただ冷え切った空気を誇張するだけだ。
気まずいったらありゃしない。
いったい誰だこんな空気にしたのは。
けしからん。
「……今、どんな気持ちだと思いますの?」
メアリーのジト目が精神をダイレクトに攻撃してくる。
これはどうにか場を温めねば――
「――ぼ、僕の渾身のネタに"及第点"を与えたい気持ち……とか?」
「……今、どんな気持ちですの?」
ぐうの音も出ないといった感じの気持ちである。
キュウまでジト目を向けるのはやめていただきたい。
余計にいたたまれなくなってしまうではないか。
「……くだらないネタを聞かせた代償として、もうしばらくこの子を堪能させていただきますわね」
「ど、どうぞ……」
再び場を沈黙が支配する。
しかし何故だろうか。
正直悪い気はしないのだ。
(ああ、そうか……)
自分は誰かとこうした何の気兼ねもないくだらない会話をしてみたいとずっと思っていたのだ。
なんというか、こういった何の意味も無い様なくだらない会話はソフィアたちとは出来なかったのだ。
別に遠慮があるわけではないのだが、どちらかというと気恥ずかしさのせいだろうか。
でもそればらば、何故メアリーならば良いのであろうか。
正直、ソフィアからあの様なジト目を向けられるのは――
(――あれ? 想像するとなんかゾクゾク……いや、気のせいだな……)
それより先を考えるのは危険な気がしたので思考を元に戻し、依然として楽し気にキュウを撫でているメアリーへと目を向ける。
(楽しんで……くれてるのかな?)
キュウを撫でるのをではない。
自分との会話を、だ。
普通なら素気無くあしらわれている時点で解は出ていると思うものだが、どうにもそうは思えない自分がいるのだ。
自分と同じように、皮肉ったり冗談を言い合ったりするのを楽しんでくれているのではないかと感じるのだ。
希望的観測だと笑われるかもしれない。
実際の所、希望的観測だと考える方が自然だろう。
だとしたら、何故自分はそんな希望的観測を抱いたのだろうか。
(いや、そもそも会話がつまらないとは思われたくないものだけど……)
「――ょっと!」
(うーん……わかりそうでわからない……)
「――ちょっと! 聞いてますの!?」
突然大声が鼓膜を震わす。
「ん? なんかデジャブ……?」
「また人の話を聞いてませんでしたのね!? というか喧嘩を売ってるんですの!?」
デジャブを感じて当然である。
つい数日前にも似たような状況があったのだ。
どうやらまた思考にのめり込んでしまい話を聞き逃していたようだ。
「わわわ、ご、ごめんね!? そ、それで、何の話かな?」
「それはこちらの台詞ですわ! あなたがお話しようと言ったんですのよ! 今度はどんなくだらない事を言い出すのかと楽しみ――ではなく待っていたといいますのに何も喋り出しませんから不思議に思って見てみれば、人の顔を見ながらニヤニヤして! まったく気持ち悪いったらありゃしませんですわ!」
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しかしやはり、気持ち悪いと言われたわりにそれ程悪い気はしないし、メアリーもどこか楽し気にしているように感じてしまう。
これはもうある種の病気なのかもしれない。
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