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僕たちは友達…(望編)
9.行方不明
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ෆ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ෆ
1年ぶりに帰省した実家に
[ 櫻坂 千遥 ]
から届いた年賀状
薄れていた半年前の記憶が蘇り
どうしようもなく会いたくなった
何か情報がないかとSNSを開くと
千遥の垢が更新されていた
ෆ┈┈┈┈┈┈ ෆ ┈┈┈┈┈┈ෆ
急いで開くと白い背景に
[ 賀正 ]
年賀状と同じ文字だけ
コメントは
『희망은 하나님의 선물입니다.
……지금을 소중히 여기세요.』
「……あ? なんだっけこれ……
……ハングル?韓国語?」
翻訳機能で解読する
「めんどくせぇなぁ……」
『希望は神様からの贈り物です。
……今を大切にしてください』
「どういう……???」
DMを開くと
既読されてるが返事はない
「なんだよ……返事しろよ」
「キモ…画面に話しかけて……なん?」
向かいに座る姉貴が呟く
「うっせぇな…出掛けてくる」
「は? ご飯は?」
「帰ったら食う」
「は? いつ帰ってくんねん?」
「分かんねぇ」
コートを羽織りスヌードを被る
履きなれたブーツに足を突っ込んで
玄関扉を開けた
雪こそ降ってはいないが
肌を斬るような冷たい風が
音を立て頬を掠めていく
「さぶっ…」
コートの襟を立てボタンを上まで留め
モコモコのスヌードを巻き直し
完全防寒で歩き出す……
── 行き先は
ෆ┈┈┈┈┈┈ ෆ ┈┈┈┈┈┈ෆ
ティロリロン*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♬
「いらっしゃいませ~」
「すみません館長さんいますか?」
「はい? あの…」
「6年前にバイトしてた者なんですけど
平和と言います」
「ちょっとお待ちください」
千遥の情報が聞けないかと
昔のバイト先に来てみた
声をかけた受付けのアルバイトが
バックヤードに顔を突っ込んで
対応してくれている
元バイト先は田舎町唯一の娯楽施設
狭い映画館とゲームコーナー
カラオケに飲食ブース
「懐かし……」
「あら、受付け誰もおらんの?
お待たせしました、いらっしゃいませ」
声をかけられ振り返ると
館長の奥さんだった
「奥さん お久しぶりです、平和です」
ペコリと頭を下げると
奥さんは見開き
「え~!あんた!平ちゃんかい?」
「ハハッ 懐かしいなその呼び方」
バックヤードに入れてもらう
中に入ると館長もいた
「おう!平坊 元気そうやな!
けったいな頭しとるなぁ!
今 何やっとんだ?」
…… “けったい” かな?
ウルフカットで金メッシュ
入れてるだけなんだけど…
「ハハッ平坊も懐かしっ……
今僕は美容師です」
「あぁ、専門学校行く言うとったな
ちと待っとれよ…
辞めてもう6年も経つか
履歴書残っとるかな…」
「すみません
どんなことでもいいんです
奥さんも、何か覚えてませんか?」
「なんやその子、行方不明なん?」
「はい」
「オウサカ チハル…さん、よねぇ……
平ちゃんと仲良しだった?うーん
平ちゃん誰とでも仲良かったよね?
顔見たら分かると思うんやけど……」
「僕より後に入ってきて
先に辞めてるから
期間は短いんですけど…
身長は奥さんくらいで色白で黒髪の…」
「でもどうして今頃になって?」
「半年前に千遥の髪を切ったんです
その時に連絡先聞くの忘れて
それから連絡が取れなくなって…」
「半年前?」
「あ、履歴書あったぞ
こんな子おったかなぁ?」
奥さんが温かいお茶を入れてくれた
「はい、平ちゃんお茶飲みぃ」
「ありがとうございます」
「どれ見せて?
……あぁ~この子“ハルちゃん”ね!
ちょっと変わった子だったわよね
自分のこと『僕』とか言ってて」
「はい、そうでした」
トゥルルルル.•*¨*•.♪
「お、電話や…平坊ゆっくりしてけ
もしもーし?」
「あ、はい」
話しながら館長は出て行った
奥さんが入れてくれたお茶をすする
「ハルちゃん……千遥ちゃんね
可愛らしい子やったからねぇ
業者の人とちょっとあって
すぐ辞めちゃったんよね……」
「え?ちょっとってなんですか?」
なんだそれ初耳だ……
「うん……もう時効?ええかな?
相手は伏せるけど、千遥ちゃん
その頃出入りしてた業者の人に
ちょっかい出されてたみたいなんよ」
「え……」
なんだよそれ……
「すぐ担当者代えてもろて
解決はしたんやけどな……
やっぱり嫌やったんやろなぁ
すぐ辞めてしもたから……
可哀想なことしたわ」
「そんな事……聞いてないですよ?」
「いくら教育係でも、こない話
男の子の耳に入れたないやろ?
本人が もうええ言うてたし……
気に病むことないかんね!
ほんまに解決したんやし」
「……でも」
「でも平ちゃん、こない所まで
手がかりを探しに来たりして
千遥ちゃんのこと好きなんか?
ぁ~ ……だとしたら嫌な話
聞かせてしもたな……ごめんね~」
「いや……好きとかそういうんじゃ」
確かにそういう時期もあったけど
今はどうなんだろう…
あんな去り方されたせいで
めちゃくちゃ気にはなってるけど……
「違うん?ならええけど、ごめんね
何も手がかりらしい物ないわ」
「この住所もなぁ……
この駅前のアパートはもうないぞ」
電話を終えた館長が戻って来た
「そうですか……
ありがとうございました」
娯楽施設を後にした
ෆ┈┈┈┈┈┈ ෆ ┈┈┈┈┈┈ෆ
1年ぶりに帰省した実家に
[ 櫻坂 千遥 ]
から届いた年賀状
薄れていた半年前の記憶が蘇り
どうしようもなく会いたくなった
何か情報がないかとSNSを開くと
千遥の垢が更新されていた
ෆ┈┈┈┈┈┈ ෆ ┈┈┈┈┈┈ෆ
急いで開くと白い背景に
[ 賀正 ]
年賀状と同じ文字だけ
コメントは
『희망은 하나님의 선물입니다.
……지금을 소중히 여기세요.』
「……あ? なんだっけこれ……
……ハングル?韓国語?」
翻訳機能で解読する
「めんどくせぇなぁ……」
『希望は神様からの贈り物です。
……今を大切にしてください』
「どういう……???」
DMを開くと
既読されてるが返事はない
「なんだよ……返事しろよ」
「キモ…画面に話しかけて……なん?」
向かいに座る姉貴が呟く
「うっせぇな…出掛けてくる」
「は? ご飯は?」
「帰ったら食う」
「は? いつ帰ってくんねん?」
「分かんねぇ」
コートを羽織りスヌードを被る
履きなれたブーツに足を突っ込んで
玄関扉を開けた
雪こそ降ってはいないが
肌を斬るような冷たい風が
音を立て頬を掠めていく
「さぶっ…」
コートの襟を立てボタンを上まで留め
モコモコのスヌードを巻き直し
完全防寒で歩き出す……
── 行き先は
ෆ┈┈┈┈┈┈ ෆ ┈┈┈┈┈┈ෆ
ティロリロン*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♬
「いらっしゃいませ~」
「すみません館長さんいますか?」
「はい? あの…」
「6年前にバイトしてた者なんですけど
平和と言います」
「ちょっとお待ちください」
千遥の情報が聞けないかと
昔のバイト先に来てみた
声をかけた受付けのアルバイトが
バックヤードに顔を突っ込んで
対応してくれている
元バイト先は田舎町唯一の娯楽施設
狭い映画館とゲームコーナー
カラオケに飲食ブース
「懐かし……」
「あら、受付け誰もおらんの?
お待たせしました、いらっしゃいませ」
声をかけられ振り返ると
館長の奥さんだった
「奥さん お久しぶりです、平和です」
ペコリと頭を下げると
奥さんは見開き
「え~!あんた!平ちゃんかい?」
「ハハッ 懐かしいなその呼び方」
バックヤードに入れてもらう
中に入ると館長もいた
「おう!平坊 元気そうやな!
けったいな頭しとるなぁ!
今 何やっとんだ?」
…… “けったい” かな?
ウルフカットで金メッシュ
入れてるだけなんだけど…
「ハハッ平坊も懐かしっ……
今僕は美容師です」
「あぁ、専門学校行く言うとったな
ちと待っとれよ…
辞めてもう6年も経つか
履歴書残っとるかな…」
「すみません
どんなことでもいいんです
奥さんも、何か覚えてませんか?」
「なんやその子、行方不明なん?」
「はい」
「オウサカ チハル…さん、よねぇ……
平ちゃんと仲良しだった?うーん
平ちゃん誰とでも仲良かったよね?
顔見たら分かると思うんやけど……」
「僕より後に入ってきて
先に辞めてるから
期間は短いんですけど…
身長は奥さんくらいで色白で黒髪の…」
「でもどうして今頃になって?」
「半年前に千遥の髪を切ったんです
その時に連絡先聞くの忘れて
それから連絡が取れなくなって…」
「半年前?」
「あ、履歴書あったぞ
こんな子おったかなぁ?」
奥さんが温かいお茶を入れてくれた
「はい、平ちゃんお茶飲みぃ」
「ありがとうございます」
「どれ見せて?
……あぁ~この子“ハルちゃん”ね!
ちょっと変わった子だったわよね
自分のこと『僕』とか言ってて」
「はい、そうでした」
トゥルルルル.•*¨*•.♪
「お、電話や…平坊ゆっくりしてけ
もしもーし?」
「あ、はい」
話しながら館長は出て行った
奥さんが入れてくれたお茶をすする
「ハルちゃん……千遥ちゃんね
可愛らしい子やったからねぇ
業者の人とちょっとあって
すぐ辞めちゃったんよね……」
「え?ちょっとってなんですか?」
なんだそれ初耳だ……
「うん……もう時効?ええかな?
相手は伏せるけど、千遥ちゃん
その頃出入りしてた業者の人に
ちょっかい出されてたみたいなんよ」
「え……」
なんだよそれ……
「すぐ担当者代えてもろて
解決はしたんやけどな……
やっぱり嫌やったんやろなぁ
すぐ辞めてしもたから……
可哀想なことしたわ」
「そんな事……聞いてないですよ?」
「いくら教育係でも、こない話
男の子の耳に入れたないやろ?
本人が もうええ言うてたし……
気に病むことないかんね!
ほんまに解決したんやし」
「……でも」
「でも平ちゃん、こない所まで
手がかりを探しに来たりして
千遥ちゃんのこと好きなんか?
ぁ~ ……だとしたら嫌な話
聞かせてしもたな……ごめんね~」
「いや……好きとかそういうんじゃ」
確かにそういう時期もあったけど
今はどうなんだろう…
あんな去り方されたせいで
めちゃくちゃ気にはなってるけど……
「違うん?ならええけど、ごめんね
何も手がかりらしい物ないわ」
「この住所もなぁ……
この駅前のアパートはもうないぞ」
電話を終えた館長が戻って来た
「そうですか……
ありがとうございました」
娯楽施設を後にした
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