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プロローグ

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 あ~ほんとうるせぇ。なんだこいつら。

「ねぇねぇ、あの子ほんとカッコよくなったよね」
「ホントホント!   まさかだよねーっ!   彼女いるのかな?」
「きっといるよね?   じゃなかったらあそこまで変われないでしょ!」

 アイツは昔から変わってねぇっつの!
 ちょっと変わったくらいでなんでそんなに態度が変わるんだ!?
 眼鏡外して髪型変えただけだろ?
 目が見えない程の前髪ってなんだよ!  前見えなくてコケるだろーが!


「まさかあの地味陰キャ君があんなイケメンだったなんて……」
「カッコいいってよりはカワイイ系かも~」
「存在感無さすぎウケる!  あーしなんてあいつがクラスにいたの最近知ったくらいなんだけど!」

 ずっといたわっ!   

「たま~に視界の隅っこに入ってたけど、一人でゲームしてる姿しか見たことないよ」

 おいコラ、一人じゃねぇぞ。俺達も一緒にいたぞ。まぁ、ゲームはしてたけど。

「え~ひど~い!   で、今は今は?」
「もう視界ど真ん中!」
「「「だよね~!!」」」
「ちょっと!   さっき噂聞いてきたんだけど、彼女いないってよ!  私狙っちゃおっかな!?」
「え、アタシもアタシも!」

 狙うな! アイツがお前らみたいな節穴の目を持つ奴と付き合うわけねぇだろ。

 つーかホントなんなんだ?  こいつらは前髪と眼鏡で人を判別してんのか!?   

 いいか?    カッコいい奴ってのはどんな格好しててもカッコいいんだよっ!!
 それが眼鏡外して前髪上げただけでイケメンとか馬鹿じゃねーのか!?
 お前らの目はどうなってんだよぉぉぉ!!!

「あ、あの……」

 あぁ?   誰だよ。って……えっ!?  

 ◇◇◇

 その時、俺の目の前に現れた女の子は綺麗な黒髪をお下げにして、どこか淋しさを感じる瞳をしていた。
 そして、その上から少し厚めの眼鏡をかけ、そこに前髪がかかっている。
 それでもハッキリとわかる。この子はとんでもない美少女だと。
 しかし周りから笑い声と一緒に【陰キャ地味子】とか聞こえて来る度にビクッとなるその姿。
 そうか、この子もアイツと同じ様に……。


 俺はその日、陰キャと呼ばれてクラスの片隅に一人きりでいるその子に恋をした。

 その事をハッキリと自覚するのはもう少し後の事……。

手を繋げなくて指握ってきたり、頬にキスしようとして届かなくて恥ずかしがったり……。

あーもう!   可愛すぎるだろっ!!


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