ヤクドクシ

猫又

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鬼喰いバクテリアを殺す鬼5

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その時、障子が開いてハヤテが顔を見せた。
 サクラの心臓が小さくトクン、と鳴った。 
「ハヤテ」
 ハヤテは運んできた食事の乗った盆を布団の横に置いた。
「食べられるか」
「うん」
 ハナは差し出された茶碗を覗き込んだ。
 白い粥の中に火の通った肉片が浮いている。
 それから漂う香りはハナの食欲を刺激した。
「美味しい」
 粥を一匙分口に入れたハナは生まれて初めて食事を美味いと思った。 
「そうか、よかった」
 とハヤテが笑ったので、
「これ何の肉? よく焼けててコリコリしてて美味しい」
 とハナが言った。 
「そうだろうな、ムドウの頬肉だ」
 とハヤテがすました顔でそう答えた。
「え……マジ?」
「首から上はまだ感染してなかったからな」
「えー、ムドウを食べちゃったとかぁ」
「美味いだろう?」
「美味いけど」
 シャクシャクシャクと粥を一気に食べて、ハナは椀を盆の上に置いた。
「ごちそう様……え」
 ハヤテがハナの身体を布団の上に押し倒した。
「ハヤテ?」
「お前が無事に生き返って良かった」
 ハヤテの姿が人間から本来の鬼の姿に戻った。
 髪も角も金色に光る、逞しい体躯の美しい鬼だった。
 鬼の唇がハナの顔中を這い回る。
 愛おしそうにゆっくりとハナの身体を愛撫し、唇は心臓の箇所で止まった。
 心臓を入れ替えた傷跡はすでに回復しており、ハナの左胸の白い肌はきめ細やかで美しいかった。ハヤテはその心臓の箇所に何度も口づけをした。
 ハナの心臓がトクントクンと連続して鼓動した。
 心臓は歓喜に溢れているようで、ハナも喜びに満ちあふれた気持ちになってくる。
 ドキドキが止まらず、ハナの顔も身体も真っ赤になった。
「ハヤテ……待っ」
 ハヤテの手がハナの身体をまさぐるのをハナは止めようとしたが、ハナの中の別の人格がそれを制止する。
 その代わりのハナへの敵意が薄れていく。
 敵意よりもハヤテへの恋心が痛いほど伝わってくる。
 ハナはそれを感じて抗うのを止めた。
 目を閉じてハヤテに身を任せた。
「ハナ……」            
 ハナの中にハヤテの男根が荒々しく挿入される。
 ハナの甘えるような喘ぎ声が絶頂に達した瞬間、ハナの姿が変化し始めた。
 赤い髪、長く尖った鋭い爪。肌は白く、透き通るような美しさだ。
 唇の内側に生えた尖った牙。
 そして何より挑むような真っ赤な瞳。
「ハナ……完成だ、お前は完全な鬼になった。これから何千年でも一緒に生きていけるぞ」
 と言ってハヤテが嬉しそうに笑い、ハナの心臓がトクンと弾んだように響いた。
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