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エアリス・ゴールディ
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「エアリス・ゴールディ、お前との婚約は破棄とする」
と言ったのは我が国のアレクサンダー・グランドル皇太子だった。
私はやっぱりな、と思った。
ここへグランリーズ王宮の大広間、伯爵家以上の令息令嬢を集めた舞踏会。
国立魔法学院の卒業パーティ。
各々の侍女、執事ですら、爵位持ちの娘、息子達という超高級な催し会場で、まさかの一方的な婚約破棄。
アレクサンダー皇太子の側にはルミカ・エリアノ伯爵令嬢が寄り添っていた。
実は以前からルミカ嬢がアレクサンダー皇太子と婚約がどうのという話はあちらこちらから聞こえて来ていた。けれど令嬢の戯れ言、王子様と恋をする夢を見るのは自由だと思って放置していた。
けど、皇太子と私の婚約は夢に夢を見ている話ではなく、国家の案件になる。
私は厳しい王妃教育を受けて、完璧な王妃となる為にずっと勉強してきたのだ。
舞踏会で婚約破棄どうのって、皇太子とはいえ一存で決められるわけもない。
けど。
「アレクサンダー様、理由をお聞かせいただけますか? 一時の感情で破棄できるようなものではありません」
「お前がルミカをいじめるからだ。お前がしたことは全て分かっているのだぞ。学園でのいじめ、無視、お前の取り巻きやらせた数々の悪行、すべて分かっているのだぞ!」
キリッと皇太子は私を指さした。
周囲はあらかじめ取り巻き達で固めていて、皆の私を見る目がニヤニヤしている。
「アレクサンダー様ぁ、あまりエアリス様を追い込まれては……おかわいそうですわ」
とルミカが言った。もちろん、クスッと笑ったのには気がついていた。
普段から皆が私の事をどう言っているかは知っていた。
氷の令嬢、悪魔の美姫。
私は何もしていないのに、噂だけが一人歩きし、ルミカをいじめただのなんだの、と陰で言われている。
それに反論しようにも、言葉は届かず、また、私には親しい友と呼べるような人もいない。
そして私はこの物語の結末を知っている。
私、エアリス・ゴールディは皇太子の思い人であるルミカ・エリアのを酷くいじめて陥れたと罪に落とされて、婚約破棄を言い渡され、公爵令嬢の地位を剥奪され国外追放の目に遭うのだ。
何故それを知ってるか?
それは私が転生者で、何度も同じ時を繰り返しているから。
今回で四度目。一度目、国外追放の目に遭った私は旅の途中で盗賊に殺された、二度目は隣国の街でひっそりと暮らそうとしたが無駄な美貌が災いを呼んだ。三度目は準備をしてわざとみすぼらしい格好でこっそりと旅立ったが世界を騒がす死霊王の災害に巻き込まれて死んだ。
死ぬのは痛いし、怖い。どうにか回避出来ないかと頑張ってみるのだけど、毎回痛い思いをして死ぬのだ。
と言ったのは我が国のアレクサンダー・グランドル皇太子だった。
私はやっぱりな、と思った。
ここへグランリーズ王宮の大広間、伯爵家以上の令息令嬢を集めた舞踏会。
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アレクサンダー皇太子の側にはルミカ・エリアノ伯爵令嬢が寄り添っていた。
実は以前からルミカ嬢がアレクサンダー皇太子と婚約がどうのという話はあちらこちらから聞こえて来ていた。けれど令嬢の戯れ言、王子様と恋をする夢を見るのは自由だと思って放置していた。
けど、皇太子と私の婚約は夢に夢を見ている話ではなく、国家の案件になる。
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けど。
「アレクサンダー様、理由をお聞かせいただけますか? 一時の感情で破棄できるようなものではありません」
「お前がルミカをいじめるからだ。お前がしたことは全て分かっているのだぞ。学園でのいじめ、無視、お前の取り巻きやらせた数々の悪行、すべて分かっているのだぞ!」
キリッと皇太子は私を指さした。
周囲はあらかじめ取り巻き達で固めていて、皆の私を見る目がニヤニヤしている。
「アレクサンダー様ぁ、あまりエアリス様を追い込まれては……おかわいそうですわ」
とルミカが言った。もちろん、クスッと笑ったのには気がついていた。
普段から皆が私の事をどう言っているかは知っていた。
氷の令嬢、悪魔の美姫。
私は何もしていないのに、噂だけが一人歩きし、ルミカをいじめただのなんだの、と陰で言われている。
それに反論しようにも、言葉は届かず、また、私には親しい友と呼べるような人もいない。
そして私はこの物語の結末を知っている。
私、エアリス・ゴールディは皇太子の思い人であるルミカ・エリアのを酷くいじめて陥れたと罪に落とされて、婚約破棄を言い渡され、公爵令嬢の地位を剥奪され国外追放の目に遭うのだ。
何故それを知ってるか?
それは私が転生者で、何度も同じ時を繰り返しているから。
今回で四度目。一度目、国外追放の目に遭った私は旅の途中で盗賊に殺された、二度目は隣国の街でひっそりと暮らそうとしたが無駄な美貌が災いを呼んだ。三度目は準備をしてわざとみすぼらしい格好でこっそりと旅立ったが世界を騒がす死霊王の災害に巻き込まれて死んだ。
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