魔境放眼は地獄へ行く

木mori

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第三章

第七話・自暴自棄

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「ちょっと待ってくりぇ。お前、風邪をひいてるだろう。薬は持ってるのか。」


「私は外出しないからそんなものないわ。」


「そうきゃ。なら窓を開けて待ってるんだじょ。」


数分後、窓の所に袋が見えた。


「これ、いったいどうしたのよ。」


「オレからのプレゼントだ。ここにいるつるぺた幼女の風魔法でそこまで上げたんだじょ。黙って受け取りぇ。」


「あんたの施しは受けるわ。風邪がツラいから。でも気持ちは受け取らないから感謝なんかしないわよ。」


「それでいい。ただカラみたいだけだじょ。」


「私はイヤだと言ってるでしょ。」


「イヤだと言いながらも完全スルーしてないよにゃ。一方通行でも構わないしゃ。」


「コミュニケーションは双方向が前提なのよ。バカじゃないの。」


「でもあんたはそうやってオレの言うことに反応してるだりょ。すでにコミュニケーションは成立してるしゃ。」


「上げ足取りの詭弁だわ。」


「なんとでも言えばいい。オレが一方的に行動したいだけなんだかりゃ。宝くじは買わなきゃ当たらない。脳細胞も動かしてナンボだじょ。手の届かない太陽を動かすことはできないが、あんたはそこにいるんだから、何でもやってやりゅ。風邪薬以外にほしいものがあれば送ってやるじょ。送料はタダだからにゃ。」


「これ、妾の魔力をムダに消費するでない。けっこう疲れるんじゃが。」


「私は饅頭人に食べられた。だからもうどうなってもいいと思ったわ。自暴自棄ってヤツね。私を食べた饅頭人が防腐剤を持ってたの。自暴自棄になり防腐剤をばらまいてやったわ。人間界は饅頭人で大混乱。ここの空気は汚れてるけど、森林浴したような気分になったわ。味のない空気がおいしいかどうかって、やっぱり脳で知覚するんだと実感したわ。」


「ははは。」


「なにがおかしいのよ。気でも違ったの?」


「お前はちゃんと空気が読めるんだなって思ったんだじょ。」


「またそんな上げ足取りして。スカートの中身でも見るつもり?」


「ははは。ますます面白いことを言うじゃないきゃ。そういう言い方してれば、狭いストライクゾーンだけど、ファンはいるじょ。」


「ファンってなによ。そこにいる女の子を狙うロリコンのようなもの?」


「妾はただの女の子ではない。幼女スキルを極めた幼女じゃ!」


「話し方からすると、幼女というより、年配者みたいね。」


「バカにするでない。幼女はトシをとらんのじゃ。トシはどこかに置いて来たんじゃ!」


「おいおい。初めて聞いたじょ。つるぺたはトシ老いた幼女だったのきゃ?」


「ぜんぜん違うわ!あははは。あんたたち面白いわ。」


 オートロックのドアがスーッと開いた。
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