35 / 76
第一章
第三十四部分
しおりを挟む
玲駆の隣の、廊下側の二列目が空席であった。
「いつもの美散は、『教科書忘れた~。』と言って二列目に移動して、彫り物背中に見せてもらってたみたいね。あまりに露骨ベタだわ。あきれてしまうわ。フンだ。」
目を閉じて鼻で笑いながら、智流美は堂々と二列目に座ろうとした。
「アラ、ココハ、ワタクシノ席デス。」
「えっ?いつの間に湧いて来たのよ?」
「陳腐ナ、サプライズノ仕方ハ、耳二イタリアデ、イカ焼売ガ、デキマス。」
「ツッコミどころ満載なフレーズなんだけど、あんた、見かけない顔だけど、転校生?」
「ハイ、留学生デス。今日デ三週間グライ二、ナリマス。アナタトハ、初対面ミタイデスガ、アナタモ転校生デスカ?」
「そうじゃないわ。ちょっと諸事情で無断欠席してたけど、今日から彫り物背中狩りに来たのよ。」
「狩リデスカ?体育ノ中二、ソンナ種目アリマシタカ?」
「あ、あるかもしれないわよ。そんなことはどうでもいいのよ。アタシは情野智流美、じゃなくて、情野美散よ。」
「ワタクシハ、観世絵ローザ。パーフェクト絵・ローザ、ト、オ呼ビクダサイ。」
「自分でパーフェクトとは恐れ入るわね。短く『エロザ』にするわよ。」
こうして、ローザはエロザと呼ばれることが決定された。うら若き女子としては、あまりありがたくない、場合によっては、イジメカテゴリーに入りそうなニックネームだったが、当のエロザは留学生でニュアンスがわからないせいか、『ワタクシハ、今日カラ、エロザ、今日カラ、エロザ♪』と、はしゃいでいた。
「お前たち、始業の前なのに、うるさいぞ。」
「ごめんなさい、彫り物背中。」
「ワカリマシタ、奴隷苦、ドレイク。」
「なんだ、その呼び方は?」
彫り物背中ドレイクに叱られて静かになったふたりであった。
午前中の授業は滞りなく行われ、昼休みの時間となった。
「よし。彫り物背中にアプローチするチャンス到来だわ。さりげなく、ごく大自然な感じで、学食に誘えばいいのよね。」
智流美は言葉の通り、緑鮮やかな大草原にでもいるかように、大きく両手を広げて、玲駆の前に立った。
「ヘイ、彫り物背中。あんたがどうしてもって言うなら、ラ、ランチ、ランチボルギーニしてもいいわよ。」
「イタリア車のランボルギーニのことか?それがどうかしたのか?」
「ワタクシト、乱チキ騒ギ、シマセンカ?」
「乱チキ騒ギって何よ?学食で暴れる気なの?」
「ワタクシハ、アバズレン坊将軍デハアリマセン。」
「あばずれ?自画自賛してるわね。」
「自家発電ナンカシテマセン。」
「漢字変換が全然違うわよ。」
「変態ト言ウデスカ?ヒドイデス。」
二人が空虚な論争をしているうちに、玲駆は消えていた。
「いつもの美散は、『教科書忘れた~。』と言って二列目に移動して、彫り物背中に見せてもらってたみたいね。あまりに露骨ベタだわ。あきれてしまうわ。フンだ。」
目を閉じて鼻で笑いながら、智流美は堂々と二列目に座ろうとした。
「アラ、ココハ、ワタクシノ席デス。」
「えっ?いつの間に湧いて来たのよ?」
「陳腐ナ、サプライズノ仕方ハ、耳二イタリアデ、イカ焼売ガ、デキマス。」
「ツッコミどころ満載なフレーズなんだけど、あんた、見かけない顔だけど、転校生?」
「ハイ、留学生デス。今日デ三週間グライ二、ナリマス。アナタトハ、初対面ミタイデスガ、アナタモ転校生デスカ?」
「そうじゃないわ。ちょっと諸事情で無断欠席してたけど、今日から彫り物背中狩りに来たのよ。」
「狩リデスカ?体育ノ中二、ソンナ種目アリマシタカ?」
「あ、あるかもしれないわよ。そんなことはどうでもいいのよ。アタシは情野智流美、じゃなくて、情野美散よ。」
「ワタクシハ、観世絵ローザ。パーフェクト絵・ローザ、ト、オ呼ビクダサイ。」
「自分でパーフェクトとは恐れ入るわね。短く『エロザ』にするわよ。」
こうして、ローザはエロザと呼ばれることが決定された。うら若き女子としては、あまりありがたくない、場合によっては、イジメカテゴリーに入りそうなニックネームだったが、当のエロザは留学生でニュアンスがわからないせいか、『ワタクシハ、今日カラ、エロザ、今日カラ、エロザ♪』と、はしゃいでいた。
「お前たち、始業の前なのに、うるさいぞ。」
「ごめんなさい、彫り物背中。」
「ワカリマシタ、奴隷苦、ドレイク。」
「なんだ、その呼び方は?」
彫り物背中ドレイクに叱られて静かになったふたりであった。
午前中の授業は滞りなく行われ、昼休みの時間となった。
「よし。彫り物背中にアプローチするチャンス到来だわ。さりげなく、ごく大自然な感じで、学食に誘えばいいのよね。」
智流美は言葉の通り、緑鮮やかな大草原にでもいるかように、大きく両手を広げて、玲駆の前に立った。
「ヘイ、彫り物背中。あんたがどうしてもって言うなら、ラ、ランチ、ランチボルギーニしてもいいわよ。」
「イタリア車のランボルギーニのことか?それがどうかしたのか?」
「ワタクシト、乱チキ騒ギ、シマセンカ?」
「乱チキ騒ギって何よ?学食で暴れる気なの?」
「ワタクシハ、アバズレン坊将軍デハアリマセン。」
「あばずれ?自画自賛してるわね。」
「自家発電ナンカシテマセン。」
「漢字変換が全然違うわよ。」
「変態ト言ウデスカ?ヒドイデス。」
二人が空虚な論争をしているうちに、玲駆は消えていた。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる