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第一章
第三十五部分
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結局、この日の智流美は以降何もできなかった。というのも、智流美が玲駆の方に近寄ろうとすると、必ずエロザが割って入ってひたすら邪魔をし続けたからである。
寮に戻り、大の美散が小の智流美を責める展開となった。
「今日は零点の成績だったね。何にもできないにもほどがあるよ。これでも魔法人格って言えるの?子供のはじめてのお使い以下だよ。でもかわいいけど。ぺたぺた。」
美散のぺたぺたを必死の形相でかわしながら会話する器用な智流美。
「仕方ないでしょ。あのエロザっていう留学生が邪魔してきて、彫り物背中に会話することすらできなかったんだから。エロザっていったい何者?」
「そんなのあたしだって知らないよ。巨人軍に入団しているうちに転入してきたんだから。ただ、わかったことは、エロザはあたしを敵視していること。エロザの妨害行為を避けつつ、アクションを起こすよ。まずストーカーから始めるよ。」
「ストーカー?犯罪?」
「ストライカーよ。あたしは玲駆ゴールを狙うエースストーカーなんだから。」
「結局ストーカーなんだわ。」
こうして翌朝、玲駆の後ろをついていった智流美。
「今日はエロザがいないわね。チャンス到来だわ。」
今日は玲駆に大接近した。さすがにすぐ後ろにぴったり付ける智流美に気づいた玲駆。
「お早う。昨日から俺に近づいてるようだけど?」
「たまたま、と、通り魔しただけよ。」
「穏やかじゃないなあ。なんか用か?」
「用って。え、っと、彫り物背中、いったいどこに行くのよ?」
「昨日から始まったその呼び方、いったい何なんだよ。どうでもいいけど。行く先なんて、学校に決まってるだろ。」
「奇遇ね。アタシもよ。あっ、忘れ物したわ。」
智流美はそのまま元来た道を戻って逃げ去った。
「はあはあはあ、焦ったわ。でもこんなふうにエースストーカーやればいいのよね。楽勝だわ。」
今日はエロザが欠席。担任男性教師も休みであった。
「よし。今日は全力でエースストーカーミッションやるわよ!」
その後、智流美は教室に入ると、玲駆の隣にどっかと座った。その瞬間ガッツポーズした智流美。大きな声にクラスメイトの注目を集めたが、智流美はまったく気づかなかった。
玲駆は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに無表情になった。
授業後の休憩時間となり、玲駆はトイレに移動した。
「よし、再びエースストーカーの出番ね。」
男子トイレまで追いかける智流美は、そのまま中へ不法侵入しようとしたが、たまたま満席で事なきを得た。
智流美は、男子更衣室へもエースストーカー継続。
それまで離れて食べていた学食も並んだ。
ミッションを着々と果たしていく智流美が大満足顔で、顔の筋肉がほぐし不要なまでに緩んでいるのは当然として、玲駆の方は終始無表情であった。この場合、一般的にはエースストーカー行為を黙認していると受け取られても不思議ではない。
「これなら告白を成し遂げてみせるわ。あーはははっ。」
女子トイレで高笑いの智流美。周りからは白い目で見られるだけであった。
「こんなヤツらの視線なんて気にならないわ。でもこれって美散がそういう目で見られてるっていうことよね。アタシがクラスに来てから誰も声をかけてこないし。」
ちょっと心に痛みを感じる智流美であった。
寮に戻り、大の美散が小の智流美を責める展開となった。
「今日は零点の成績だったね。何にもできないにもほどがあるよ。これでも魔法人格って言えるの?子供のはじめてのお使い以下だよ。でもかわいいけど。ぺたぺた。」
美散のぺたぺたを必死の形相でかわしながら会話する器用な智流美。
「仕方ないでしょ。あのエロザっていう留学生が邪魔してきて、彫り物背中に会話することすらできなかったんだから。エロザっていったい何者?」
「そんなのあたしだって知らないよ。巨人軍に入団しているうちに転入してきたんだから。ただ、わかったことは、エロザはあたしを敵視していること。エロザの妨害行為を避けつつ、アクションを起こすよ。まずストーカーから始めるよ。」
「ストーカー?犯罪?」
「ストライカーよ。あたしは玲駆ゴールを狙うエースストーカーなんだから。」
「結局ストーカーなんだわ。」
こうして翌朝、玲駆の後ろをついていった智流美。
「今日はエロザがいないわね。チャンス到来だわ。」
今日は玲駆に大接近した。さすがにすぐ後ろにぴったり付ける智流美に気づいた玲駆。
「お早う。昨日から俺に近づいてるようだけど?」
「たまたま、と、通り魔しただけよ。」
「穏やかじゃないなあ。なんか用か?」
「用って。え、っと、彫り物背中、いったいどこに行くのよ?」
「昨日から始まったその呼び方、いったい何なんだよ。どうでもいいけど。行く先なんて、学校に決まってるだろ。」
「奇遇ね。アタシもよ。あっ、忘れ物したわ。」
智流美はそのまま元来た道を戻って逃げ去った。
「はあはあはあ、焦ったわ。でもこんなふうにエースストーカーやればいいのよね。楽勝だわ。」
今日はエロザが欠席。担任男性教師も休みであった。
「よし。今日は全力でエースストーカーミッションやるわよ!」
その後、智流美は教室に入ると、玲駆の隣にどっかと座った。その瞬間ガッツポーズした智流美。大きな声にクラスメイトの注目を集めたが、智流美はまったく気づかなかった。
玲駆は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに無表情になった。
授業後の休憩時間となり、玲駆はトイレに移動した。
「よし、再びエースストーカーの出番ね。」
男子トイレまで追いかける智流美は、そのまま中へ不法侵入しようとしたが、たまたま満席で事なきを得た。
智流美は、男子更衣室へもエースストーカー継続。
それまで離れて食べていた学食も並んだ。
ミッションを着々と果たしていく智流美が大満足顔で、顔の筋肉がほぐし不要なまでに緩んでいるのは当然として、玲駆の方は終始無表情であった。この場合、一般的にはエースストーカー行為を黙認していると受け取られても不思議ではない。
「これなら告白を成し遂げてみせるわ。あーはははっ。」
女子トイレで高笑いの智流美。周りからは白い目で見られるだけであった。
「こんなヤツらの視線なんて気にならないわ。でもこれって美散がそういう目で見られてるっていうことよね。アタシがクラスに来てから誰も声をかけてこないし。」
ちょっと心に痛みを感じる智流美であった。
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