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第17話『本題』
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「サバラスさん、俺たちリーダーの中から二人、選出して早急に対処します。その際は指示をお願いします」
マルクが言うと、サバラスは頷いた。
「わかった、誰が来るんだね?」
「オリーブという金髪で長身の女性と、タイラーという護衛向きの男性です」
「おお、あの北東地区を担当しとった二人か。息が合っていたが、その後くっついたかね?」
「はぁ、めでたくカップルになりまして……」
「うんうん、それがいいだろう。儂もあんまり干渉せんから、旅行も兼ねて来るといいと伝えておくれ」
「はい」
ノリヒトがふざけて言った。
「おい、じいさん。二人がイチャイチャしてても妬くなよ!」
「フン、おまえさんじゃないわい」
サバラス老人が鼻を鳴らした。
「民話の里だっけか。そこに二人で泊まれるように宿を用意したりして」
「好きにさせてやればいいだろうが」
「チッチッチ、違うんだな。ここは年寄りのお節介で強引にくっつけちまうのよ。オリーブちゃんは恥ずかしいだろうが、タイラーっちは百戦錬磨だぜ」
言ってゲラゲラ笑うノリヒト。
「下世話なマネせんでも自然にくっつくわ。おまえさん、悪酔いが過ぎるようだな」
サバラス老人はノリヒトの目の前で人差し指を立てた。
「んー、何が始まるんだい?」
「この指に止まっている紫の蝶が見えるかね?」
「あーん?」
ノリヒトが指を凝視すると、そのままフーッと意識が遠のいて、仰向けになって倒れ、いびきをかいて眠ってしまった。
「おやすみ、いい夢を」
言って三人に向き直るサバラス老人。
「さてと、NWSの中でも実力者の君らに質問だ。儂がなんでこんなに心を開いておるか、不思議じゃないかね?」
「はい、それはもう」
マルクは門前払いを食らうかと思っていたし、アロンはよくてもお説教だろうと覚悟していた。
それが「よう来た! よう来た! 待っとったよ」である。
サバラス老人はよっこらせと立ち上がり、机の引き出しを開けた。
そして手紙の束を持ってくると、三人に見せた。
「これじゃよ、何かわかるかな?」
「これは……レンナさんの手紙ですか!」
ランスが驚いて目を見張る。
ここに来る前、テレパスで話した時には詫び状のことしか聞いていなかったが、他にも手紙を出していたのだ。
「そうだ。レンナ君は儂が返事をしないのにも関わらず、毎月この手紙を寄越した。仕事の交渉の時話しただけだが、まだまだ幼い女の子だった。その女の子が儂の寂しさを思って書いてくる手紙はな、かけがえのない宝物だ。……それで、NWSの連中もひっくるめて大事にすることにしたんだ」
「サバラスさん……」
「レンナ君は修法者だが、それ以上に思いというものを形にするのに長けたお嬢さんだ。彼女が直面しとる試練は途方もないが、儂は生命の樹の目の確かさに敬服したよ。——多くは言わん。あんたらもな、もうちょっとしっかりせんと独立できんぞ」
「——はい、すみませんでした」
「ごもっともです」
「申し訳ありません」
マルク、アロン、ランスはそれぞれに謝罪した。
マルクが言うと、サバラスは頷いた。
「わかった、誰が来るんだね?」
「オリーブという金髪で長身の女性と、タイラーという護衛向きの男性です」
「おお、あの北東地区を担当しとった二人か。息が合っていたが、その後くっついたかね?」
「はぁ、めでたくカップルになりまして……」
「うんうん、それがいいだろう。儂もあんまり干渉せんから、旅行も兼ねて来るといいと伝えておくれ」
「はい」
ノリヒトがふざけて言った。
「おい、じいさん。二人がイチャイチャしてても妬くなよ!」
「フン、おまえさんじゃないわい」
サバラス老人が鼻を鳴らした。
「民話の里だっけか。そこに二人で泊まれるように宿を用意したりして」
「好きにさせてやればいいだろうが」
「チッチッチ、違うんだな。ここは年寄りのお節介で強引にくっつけちまうのよ。オリーブちゃんは恥ずかしいだろうが、タイラーっちは百戦錬磨だぜ」
言ってゲラゲラ笑うノリヒト。
「下世話なマネせんでも自然にくっつくわ。おまえさん、悪酔いが過ぎるようだな」
サバラス老人はノリヒトの目の前で人差し指を立てた。
「んー、何が始まるんだい?」
「この指に止まっている紫の蝶が見えるかね?」
「あーん?」
ノリヒトが指を凝視すると、そのままフーッと意識が遠のいて、仰向けになって倒れ、いびきをかいて眠ってしまった。
「おやすみ、いい夢を」
言って三人に向き直るサバラス老人。
「さてと、NWSの中でも実力者の君らに質問だ。儂がなんでこんなに心を開いておるか、不思議じゃないかね?」
「はい、それはもう」
マルクは門前払いを食らうかと思っていたし、アロンはよくてもお説教だろうと覚悟していた。
それが「よう来た! よう来た! 待っとったよ」である。
サバラス老人はよっこらせと立ち上がり、机の引き出しを開けた。
そして手紙の束を持ってくると、三人に見せた。
「これじゃよ、何かわかるかな?」
「これは……レンナさんの手紙ですか!」
ランスが驚いて目を見張る。
ここに来る前、テレパスで話した時には詫び状のことしか聞いていなかったが、他にも手紙を出していたのだ。
「そうだ。レンナ君は儂が返事をしないのにも関わらず、毎月この手紙を寄越した。仕事の交渉の時話しただけだが、まだまだ幼い女の子だった。その女の子が儂の寂しさを思って書いてくる手紙はな、かけがえのない宝物だ。……それで、NWSの連中もひっくるめて大事にすることにしたんだ」
「サバラスさん……」
「レンナ君は修法者だが、それ以上に思いというものを形にするのに長けたお嬢さんだ。彼女が直面しとる試練は途方もないが、儂は生命の樹の目の確かさに敬服したよ。——多くは言わん。あんたらもな、もうちょっとしっかりせんと独立できんぞ」
「——はい、すみませんでした」
「ごもっともです」
「申し訳ありません」
マルク、アロン、ランスはそれぞれに謝罪した。
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