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第18話『オリーブ、料理を作る』
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時計は11時を指していた。
「さて、そろそろお昼の用意しなくっちゃ!」
オリーブが張り切って手を揉む。
「手伝おうか?」
タイラーが申し出ると、オリーブが手を横に振った。
「いいの、いいの! タイラーは五右衛門風呂用の薪割りをお願い。料理は私に全部任せて」
その自信が怖い、とタイラーは思ったが、今度は悟られなかった。
オリーブが上機嫌で背中を向けた途端に、サバラス老人がタイラーにこそっと言った。
「ここだけの話、オリーブちゃんは料理上手かね?」
「……実は俺も初めてなんです。彼女の手料理を食べるのは」
「おや、ご相伴に預かっていいのかな」
「もちろんです……たぶん、大丈夫ですよ。抜かりなく準備したって言ってましたから」
「フム……では、期待するとしよう」
サバラス老人はハミングするオリーブを微笑ましげに見た。
そのオリーブは、軽快に野菜を切っていた。
セロリ、タマネギ、ジャガイモ、ニンジン……。
トゥーラから教わった、とっておきの野菜スープだった。
味付けは塩、胡椒、そして鶏がらスープの素。
実は用意した野菜はすべて、NWSリーダーの心尽くしだった。
彼らからサバラス老人への、せめてものお詫びの品である。
酒類や肉、魚は買い揃えたが、野菜と果物はポールとトゥーラが選び抜いた自信作ばかりだ。
ポールが言うには――
「ちょいとオリーブ、気合い入れて料理しなさいよ! これで不味かったらよっぽどだかんね。丁寧にやれば誰だって上手に作れるんだから。いつもの大雑把さは封印して一生懸命やるように」
思いっきり念を押されたのだった。
(みんな知らないけどね――私だって立派に自炊してるんだから、基本はバッチリなんです! ただ、レパートリーが少ないってだけで)
パンの小麦はルイスご自慢の作で、トゥーラと一緒に捏ねてバゲットを作った。
米はノリヒトたちからの餞別。蕎麦、うどんなどの麺類は何とポールのお手製だった。
(トゥーラたちには敵わないけど、実は料理上手ってポイント高くない?)
腕慣らしにはちょうどいい野菜スープだった。
だが、トゥーラが言っていた。簡単だからこそ人が出る、と。
「昔、お母さんとケンカした後、作って食べたスープがいつものようにおいしく感じなかったことがあるの。どうしてなのか、その時はわからなかったけれど、今はわかるわ。——嫌な感情という雑味が料理に染みてしまったのよ。だから、料理を作る時に、マイナスの感情を持つのは禁物なの。今にわかるわ。覚えておくと損しないわよ」
その話は何となくわかる気がした。
オリーブは料理上手な母親の背中を見て育ったが、技術が長けていただけではなかった。
心を込める。
この大事さを知っているからこそ料理が活きたのだった。
みんなはからかうが、中性的な身体だって、母親の確かな愛情料理ですくすく育ったのだ。
それは――脈々と受け継がれ、冴えた五感としてオリーブを包んでいる。
「オリーブちゃん、調子はどうかね?」
サバラス老人が聞くので、オリーブはⅤサインを返した。
「バッチリです! お楽しみに」
「さて、そろそろお昼の用意しなくっちゃ!」
オリーブが張り切って手を揉む。
「手伝おうか?」
タイラーが申し出ると、オリーブが手を横に振った。
「いいの、いいの! タイラーは五右衛門風呂用の薪割りをお願い。料理は私に全部任せて」
その自信が怖い、とタイラーは思ったが、今度は悟られなかった。
オリーブが上機嫌で背中を向けた途端に、サバラス老人がタイラーにこそっと言った。
「ここだけの話、オリーブちゃんは料理上手かね?」
「……実は俺も初めてなんです。彼女の手料理を食べるのは」
「おや、ご相伴に預かっていいのかな」
「もちろんです……たぶん、大丈夫ですよ。抜かりなく準備したって言ってましたから」
「フム……では、期待するとしよう」
サバラス老人はハミングするオリーブを微笑ましげに見た。
そのオリーブは、軽快に野菜を切っていた。
セロリ、タマネギ、ジャガイモ、ニンジン……。
トゥーラから教わった、とっておきの野菜スープだった。
味付けは塩、胡椒、そして鶏がらスープの素。
実は用意した野菜はすべて、NWSリーダーの心尽くしだった。
彼らからサバラス老人への、せめてものお詫びの品である。
酒類や肉、魚は買い揃えたが、野菜と果物はポールとトゥーラが選び抜いた自信作ばかりだ。
ポールが言うには――
「ちょいとオリーブ、気合い入れて料理しなさいよ! これで不味かったらよっぽどだかんね。丁寧にやれば誰だって上手に作れるんだから。いつもの大雑把さは封印して一生懸命やるように」
思いっきり念を押されたのだった。
(みんな知らないけどね――私だって立派に自炊してるんだから、基本はバッチリなんです! ただ、レパートリーが少ないってだけで)
パンの小麦はルイスご自慢の作で、トゥーラと一緒に捏ねてバゲットを作った。
米はノリヒトたちからの餞別。蕎麦、うどんなどの麺類は何とポールのお手製だった。
(トゥーラたちには敵わないけど、実は料理上手ってポイント高くない?)
腕慣らしにはちょうどいい野菜スープだった。
だが、トゥーラが言っていた。簡単だからこそ人が出る、と。
「昔、お母さんとケンカした後、作って食べたスープがいつものようにおいしく感じなかったことがあるの。どうしてなのか、その時はわからなかったけれど、今はわかるわ。——嫌な感情という雑味が料理に染みてしまったのよ。だから、料理を作る時に、マイナスの感情を持つのは禁物なの。今にわかるわ。覚えておくと損しないわよ」
その話は何となくわかる気がした。
オリーブは料理上手な母親の背中を見て育ったが、技術が長けていただけではなかった。
心を込める。
この大事さを知っているからこそ料理が活きたのだった。
みんなはからかうが、中性的な身体だって、母親の確かな愛情料理ですくすく育ったのだ。
それは――脈々と受け継がれ、冴えた五感としてオリーブを包んでいる。
「オリーブちゃん、調子はどうかね?」
サバラス老人が聞くので、オリーブはⅤサインを返した。
「バッチリです! お楽しみに」
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