パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

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第18話『森の主』

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 さらなる威圧感がタイラーを襲ったが、唐突に消えた。
「フン、サバラス出てこい」
 月長蛇が衝立の中で見物を決め込むサバラスを呼んだ。
「終わったかの?」
 現れたサバラス老人はちゃんと服を着ていた。
 そして、動けないでいるタイラーの右手に触れて、緊張を解かせた。
「サバラスさん……」
「うんうん、立派だったぞ、タイラー君」
「タイラー!」
 オリーブが勝手口から出てきて、タイラーの腕の中に飛び込んだ。
「オリーブ……」
 その温もりが、やっとタイラーを現実に引き戻した。
 ヨーザンも衝立から出てきて、父に説明を求めた。
「父さん、どういうこと? この月長蛇と知り合いなのかい」
 サバラス老人は月長蛇の前へ行って、くるっと背を向け、タイラーたちに言った。
「見ての通り、何もせん。この月長蛇殿はの、炎樹の森の主じゃ。儂が今回の仕事で、炎樹の森全体にコールドスリープエアリーを施すにあたって、お伺いを立てた。いわば立会人というわけだ」
「……」
 タイラーたちが半目でサバラスを睨む。
「……それならそうと早く言ってくださいよ。俺が迂闊に万武の赤を振りかざしていたら、どうなっていたことか……」
 吐息をついてタイラーは言った。
「すまんすまん。だがそこはそれ、レンナ君にしっかり釘を打たれとるだろうと踏んでたんでな」
「ヒドーい、サバラスさん! 一歩間違えば私たち、引き裂かれてたかもしれないんですよ」
 オリーブも抗議すると、サバラス老人はポーンと額を叩いた。
「おお、そうそう。オリーブちゃんもさすがだった。普通の女性だったら失神するか騒ぎ立てるかしとるだろうに。タイラー君とヨーザンをうまく誘導するあたりが
並みじゃなかったわい」
「ぜんっぜん嬉しくないです」
「そ、そうかの」
「もう……父さんがいい歳して二人を試そうとするからだよ。全然懲りてないんだから」
「す、すまん」
「ハッハッハ、歴年の修法者も形無しだな、サバラス」
 のほほんと笑う月長蛇。先ほどの威厳はどこに行ったのか、冗談に付き合う。
「おまえさんが予告もなく訪ねるから、こうなったんだが?」
「我は神酒を所望に参ったまで。受け取るように樹霊が云うんでな」
「ああ、この間ランス君たちが置いていったあれか。おまえさん酒に目がないからのう」
「そうだ、それにさっきからうまそうな匂いもしてるしな。だが、ちと焦げ臭いようだが……」
「ああーっ!」
 オリーブがタイラーから離れて台所に駆け戻る。
 そしてがっくり膝をつく。
「……桃のフランベが焦げちゃった」
 追ってきたタイラーがオリーブの肩を叩いた。
「まぁ、不幸中の幸いじゃないか。そう落ち込むなよ、おいしくいただくからさ」
「くすん」
 タイラーの慰めにオリーブはがっくり項垂れた。
 こうして、サプライズゲストの月長蛇を招いて、夕食会となった。
 文字通りうわばみの月長蛇は、遠慮なく神酒も用意していた酒も飲み干したのだった。












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