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第23話『空元気』
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その頃、人通りの賑やかなアネモネ通りを、とぼとぼ歩いているのはケインと
ホリー。
会話もなく、人を避けながら、二人はハルニレのことを考えている。
幼かった日のあれこれ。おっとりしすぎて活発な妹のチェリーにイジメられて泣いている。
面影はほとんど変わらないのに、慈しんで育てた時間は濃密なのに、突然終わりが来たようだった。
特にケインは、ハルニレを溺愛していたから、ハレの日に役に立とうとする気持ちが強かった。それがこうして失敗に終わり、ハルニレの恥じ入る顔を見て情けない思いをしていた。思ったよりルイスが好青年だったから余計だった。
ホリーは先を行くケインの背中が語る物悲しさをしっかり受け止めた。
とっとっと歩を速めてケインに追いつくと、その固い左腕に手を絡めた。
「ねぇ、あなた。まだ午前中で日も高いし、海でも見に行きましょうよ!」
「ええっ?」
思いがけないことを言われて驚くケイン。
「大通りのカフェで、口いっぱいに開かないと食べられないサンドイッチを買って! ね、そうしましょう。こんないい日和だもの。このまま帰るなんてもったいないわ」
「……君は若いなぁ」
「何言ってるんですか、老け込んでなんかいられませんよ。生涯現役! ハルニレの赤ちゃん、私たちの曾孫を抱っこさせてもらうんですからね。エイエイオー!」
「……それもそうだな。エイエイオー!」
小さく手を上げたケインに発破をかける。
「はい、もっと元気に――! エイエイオー!」
「エイエイオー!」
「その調子、その調子。張り切っていきましょう!」
元気な妻に引き立ててもらえるうちは、老け込むのはよそうと、ケインは絡んだ手の温もりからそう思った。
通りすがりの人々は、何やら空元気を出すのに熱心な老夫婦を見て、笑いながらこっそりエールを送るのだった。
ホリー。
会話もなく、人を避けながら、二人はハルニレのことを考えている。
幼かった日のあれこれ。おっとりしすぎて活発な妹のチェリーにイジメられて泣いている。
面影はほとんど変わらないのに、慈しんで育てた時間は濃密なのに、突然終わりが来たようだった。
特にケインは、ハルニレを溺愛していたから、ハレの日に役に立とうとする気持ちが強かった。それがこうして失敗に終わり、ハルニレの恥じ入る顔を見て情けない思いをしていた。思ったよりルイスが好青年だったから余計だった。
ホリーは先を行くケインの背中が語る物悲しさをしっかり受け止めた。
とっとっと歩を速めてケインに追いつくと、その固い左腕に手を絡めた。
「ねぇ、あなた。まだ午前中で日も高いし、海でも見に行きましょうよ!」
「ええっ?」
思いがけないことを言われて驚くケイン。
「大通りのカフェで、口いっぱいに開かないと食べられないサンドイッチを買って! ね、そうしましょう。こんないい日和だもの。このまま帰るなんてもったいないわ」
「……君は若いなぁ」
「何言ってるんですか、老け込んでなんかいられませんよ。生涯現役! ハルニレの赤ちゃん、私たちの曾孫を抱っこさせてもらうんですからね。エイエイオー!」
「……それもそうだな。エイエイオー!」
小さく手を上げたケインに発破をかける。
「はい、もっと元気に――! エイエイオー!」
「エイエイオー!」
「その調子、その調子。張り切っていきましょう!」
元気な妻に引き立ててもらえるうちは、老け込むのはよそうと、ケインは絡んだ手の温もりからそう思った。
通りすがりの人々は、何やら空元気を出すのに熱心な老夫婦を見て、笑いながらこっそりエールを送るのだった。
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