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第23話『試作のパン』
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一方、ハルニレの部屋では、温め直されたパンが食卓の上っていた。
「どうぞ、ポテトとゴーダチーズのパンです」
「どれどれ……いただきます!」
ルイスがパンの入ったかごに手を伸ばし、パンを取ると、カササッと擦れて音を立てた。焼きたてならではだ。
「うん、チーズの焦げ塩梅もちょうどいいね。これを当日、再現できたらいいだろうな」
「電気が引けるのなら、温め用のトースターが欲しいです。チーズもパンも香ばしいとおいしいですし」
「そうだね、ランスさんに応相談ということで」
言いながらルイスはパンを割く。
「ポテトもほくほくしてそうだ……味付けは塩と胡椒だけ?」
「はい。粗挽き胡椒をたっぷりと。味のアクセントが弱ければ、ハーブを刻んで入れてみようと思ってました」
「タイムが合うかもね、ローズマリーは……好みが分かれちゃうかな?」
ポンと口の中に放り込む。
「……固さはどうですか? 乾燥してきているので、発酵時間は短めなんですけど」
「うん、申し分ないと思うよ。お年寄りが食べることを考えると、どうしてもこういう柔らかさが好まれるからね」
「よかった……!」
「ただちょっと……ポテトに水分を持ってかれる気がする。ジャガイモは何を使ったの?」
「えっと……ゴロゴロしてる方がいいと思って、シンシアを」
「うん、悪くないけど。もう少し生地にしっとり馴染むように、マッシュポテト向きの品種を使ってみたらどうだろう?」
「はい、そうすると、男爵かメークインですね」
メモを書き書き、ハルニレが何度も頷く。
「うん、あとマッシュポテトに使う牛乳は、普通のを使った方がいいと思うよ。コクが出るからね」
「あっ」
言われて初めて気づいた。
うっかりいつも自分が飲みなれている低脂肪牛乳で、マッシュポテトを作ってしまった。
「……勉強になります」
ハルニレはメモで顔を半分隠しながら、上目遣いで言った。
プッとルイスが吹き出す。
生産修法で穀物を得意としている彼のこと。パン作りにも並々ならず力を入れている。
もしかしたら、ルイスさんが作ったパンを自分が食べた方が話が早いのでは、と思わないこともなかった。
しかし、この先ルイスと長く付き合うのであれば、これは避けて通れない試練だった。
しゅんとするハルニレを、すかさず引き立てるルイス。
「初めて挑戦して、この完成度はすごいよ。次はもっともっと上手にできるよ」
「は、はいっ」
健気なハルニレを心の深いところに受け入れながらルイスは言った。
「実はね……ハルニレさんに触発されて、俺も手作りパンを持参したんだ。よかったら試食してみてくれないかな?」
「どうぞ、ポテトとゴーダチーズのパンです」
「どれどれ……いただきます!」
ルイスがパンの入ったかごに手を伸ばし、パンを取ると、カササッと擦れて音を立てた。焼きたてならではだ。
「うん、チーズの焦げ塩梅もちょうどいいね。これを当日、再現できたらいいだろうな」
「電気が引けるのなら、温め用のトースターが欲しいです。チーズもパンも香ばしいとおいしいですし」
「そうだね、ランスさんに応相談ということで」
言いながらルイスはパンを割く。
「ポテトもほくほくしてそうだ……味付けは塩と胡椒だけ?」
「はい。粗挽き胡椒をたっぷりと。味のアクセントが弱ければ、ハーブを刻んで入れてみようと思ってました」
「タイムが合うかもね、ローズマリーは……好みが分かれちゃうかな?」
ポンと口の中に放り込む。
「……固さはどうですか? 乾燥してきているので、発酵時間は短めなんですけど」
「うん、申し分ないと思うよ。お年寄りが食べることを考えると、どうしてもこういう柔らかさが好まれるからね」
「よかった……!」
「ただちょっと……ポテトに水分を持ってかれる気がする。ジャガイモは何を使ったの?」
「えっと……ゴロゴロしてる方がいいと思って、シンシアを」
「うん、悪くないけど。もう少し生地にしっとり馴染むように、マッシュポテト向きの品種を使ってみたらどうだろう?」
「はい、そうすると、男爵かメークインですね」
メモを書き書き、ハルニレが何度も頷く。
「うん、あとマッシュポテトに使う牛乳は、普通のを使った方がいいと思うよ。コクが出るからね」
「あっ」
言われて初めて気づいた。
うっかりいつも自分が飲みなれている低脂肪牛乳で、マッシュポテトを作ってしまった。
「……勉強になります」
ハルニレはメモで顔を半分隠しながら、上目遣いで言った。
プッとルイスが吹き出す。
生産修法で穀物を得意としている彼のこと。パン作りにも並々ならず力を入れている。
もしかしたら、ルイスさんが作ったパンを自分が食べた方が話が早いのでは、と思わないこともなかった。
しかし、この先ルイスと長く付き合うのであれば、これは避けて通れない試練だった。
しゅんとするハルニレを、すかさず引き立てるルイス。
「初めて挑戦して、この完成度はすごいよ。次はもっともっと上手にできるよ」
「は、はいっ」
健気なハルニレを心の深いところに受け入れながらルイスは言った。
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