パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜

どん

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第25話『辻褄』

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 お風呂から上がったノリヒトとミレイを待っていたのは、軽い食事だった。
 掘りごたつには毛布が掛けられ、ミレイが湯冷めしないように火鉢の炭にも火が入っている。
 物珍し気にきょろきょろするミレイを膝に乗せて、ノリヒトはおにぎりを勧めた。
「お腹空いただろ、ミレイ。おじさんのとこで作った米で、おばさんが握ったおにぎりだ。うまいぞぉっ!」
「食べていいの?」
「あたぼうよ、遠慮すんな」
「いただきまーす!」
 火照った顔が嬉しさで艶々している。
「おいしいかい? ミレイちゃん」
「うん!」
「そうかい、たんとおあがり。お味噌汁は好きかね……なめこと豆腐にしてみたんだけど」
「ぼく、なめこ汁好きだよ! おじいちゃんも作ってくれるの。おいしー!」
「ふむふむ、小っちゃいのにこの子は舌が肥えてるよ」
 ヨリコが感心する。そして話を切り出す。
「で? この子はどこの子なんだい」
「……この間、稲刈りを手伝いに来た、NWSって団体がいたろ? どうやらそこの拠点から来たらしい」
「あの人たちはメーテスから呼んだんだろ。メーテスから保護者もなしで、どうやってこの子がここまで来れるんだい?」
「それはだな……」
「ぼく、リューカ区のマグノリア町から来たんだよ」
 あたー、とノリヒトが手で額を打つ。これでは辻褄が合わない。
 ジト目になるヨリコに、ノリヒトは詫びながら本当のことを説明した。
 すると意外な返答があった。

「童話の里なら、あたしも一時期いたことがあるよ」
「聞いたことねぇぞ、そんな話」
「そんな話、素面でしゃべったら、完全に頭おかしいと思われるだろ。まだ十代後半の不安定な頃に、迷い込んじまったんだよ。里の人が親切に説明と心得を伝授してくれて、現実世界に戻ってこれたのさ。今までとんと忘れてたよ」
「ふーん」
 詳しくはわからないが、何らかの作為をノリヒトは感じた。
「まぁ、いいや。つうわけで、ミレイは十中八九童話の里絡みだが。じいさんがいるみたいだし、心配もしてるだろうから送り届けねぇと……」
「あたしも往っていいかねぇ?」
「そりゃほぼ関係者だし、構わねぇだろうが……情が移っちまったらつれぇぞ」
「なにも固く考えることないじゃないか。ミレイちゃんのおじいさんに頼んで、遊びに来てもらうことだってできるだろ」
「おお、そうか!」
「んっとにあんたは、変なとこだけ義理堅いんだからね!」
 明るく笑う二人につられて、ニコニコするミレイ。
 その姿はまるでお地蔵様そっくりである。
「ミレイ、あったまったか?」
「うん!」
「よし、んじゃ童話の里に往くか。ヨリコ、戸締り!」
「あいよ!」

















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