悪役令嬢に転生したら、婚約者が浮気男だった。今世は自由に生きますよ。

日照り

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5.朝食

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朝食









「お嬢様!今日はどこで朝食を召し上がられますか?」

新しい水で顔を洗い終わったエティーナにルルネが問いかける。

「そうね。お父様は確かまだお帰りになっていないけれど、久しぶりに食堂まで行こうかしら。最近ルシエルの顔を見ていないから。」

ルシエルは、数年前エティーナの父である伯爵が再婚した時にできた今年5歳になる子供で、エティーナとは異母という事になるが、とても愛らしい良い子なのだ。
しかしそれも最近のエティーナは遠ざけていたから、久しぶりに様子を見に行こうと思ったのである。

再婚した現伯爵夫人は正直好きになれそうな感じではないとエティーナは思っていたが、可愛い弟のためである。
学園に通っている間話せなかった分、停学をくらっている今がチャンスなのだ。

「分かりました!では身支度を始めますね!」

「ええ、頼むわ。」

「...ふふっ。」

鏡台の前の椅子に私を座らせながら、ルルネが小さく笑う。どうかした?とエティーナが尋ねるとルルネは嬉しそうにこう言った。

「いえ、...お嬢様が、まるで以前のお嬢様に戻ったみたいで、嬉しいんです!...最近のお嬢様は、まるで、別人みたいで...。」

「...そう。」

エティーナはルルネのその言葉に曖昧に返事をして、目の前の鏡を見つめた。そこにはやはり驚くほどの美人が写っている。

前世の彼女は、決してここまで美人ではなかった。むしろ、美容にかけるお金もなく、栄養のある物も食べていなかったため、とても見窄らしかっただろう。
でも、今はちゃんとエティーナになれているようだった。
ずっとそばにいたルルネが言うのだから、きっと誰にも悟られることはないだろう。

エティーナ・スカレットは、自殺したと。

「...はい!できましたよ!今日もお美しいですね!」

「ありがとう。ルルネは本当に器用ね。」

「へへ。ありがとうございます。」

エティーナの髪は一瞬で綺麗に整えられ、軽く化粧もされていた。ルルネは少し抜けているところがあっても、やはり伯爵令嬢の専属になるほどの腕は持っていると言うことだ。

「では行きましょうか。」

「はい!」















「おはようございます。お母様、ルシエル。今日からはまた朝食をご一緒させていただきます。」

「...珍しい。もう元気になったの?」

髪の毛を全てきっちりまとめた伯爵夫人が、鋭い視線を投げかけてくる。

「はい。いつまでもお祖母様の事を引き摺っていたら、お祖母様に怒られてしまいますわ。」

「そう。学園での事は反省しているのかしら?この伯爵家に泥を塗る行為だと分かっているの?」

「(男爵家から嫁いできたあなたと違って私は生まれてからずっと伯爵家の娘なのだけど、随分尊大な態度ね?)
ええ。その事に関しては、本当に申し訳なく思っています。停学が明けるまでしっかり反省をし、もう二度とこのような騒動は起こさないと誓います。」

エティーナは思っていることは決して顔に出さずに、完璧な笑顔でスラスラち綺麗事を並べて話す。

「...ならいいけど。」

ツンケンした態度は最後まで崩さなかった伯爵夫人にエティーナはやれやれ、と思いながら今度は弟のルシエルに目を向ける。

ルシエルは伯爵夫人と同じ明るい茶髪をしていて、その毛はくるくるといろいろな方向を向いている。そして髪と同じ色の目はくりくりで困ったようにエティーナと伯爵夫人を交互に見つめていた。

ただ、その可愛い目の下のくまはその歳にしては少し濃かった。

「ありがとうございます。...ルシエルも、久しぶりね。少し背が伸びたんじゃない?毎日成長しているのね。将来が楽しみだわ。」

「ぁ、え、そう、ですか...?」

「ええ。だから、その顔を私によく見せて。こっちへいらっしゃい。」

「え!?えっと...。」

えてゃ伯爵夫人の横に座っていたルシエルを自分の隣に招くと、ルシエルは可哀想なほど焦って母である伯爵夫人の顔色を伺った。
家族だから、そんなこと気にしなくて良いのに、と思いながらエティーナ伯爵夫人に問いかける。

「良いですよね?お母様。」

「勝手にしてちょうだい。」

「(ていうかなんでお前に許可を取らなきゃいけないんだよ。)...ね?ルシエル。いらっしゃい。」

「は、はい!」

そう言って、ルシエルはたたたっ、とエティーナの方へ駆けた。その姿はまるで小動物のような可愛らしさだ。

その様子をエティーナは内心悶えながら見つめる。

どうやらエティーナは、ルルネといいルシエルといい、こういう小動物のような子に弱いらしい。









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