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6.ルシエル
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ルシエル
「美味しいかしら?ルシエル。」
「ぁ、はい!おいしいです!エティーナさま!」
「あら、私はあなたの姉なのよ?」
「あ、ぇっと...じゃ、じゃあ、...ね、ねえさま...?」
「ええ。ルシエルの姉様よ。」
「っ、はい!」
5歳でありながらもう立派にナイフとフォークを使って食事をするルシエルをエティーナが微笑ましく眺める。そしてちゃっかり「姉様呼び」を達成していた。
「(ああ、照れて赤くなった頬がとても可愛いわ。本当にあの伯爵夫人の血を引いているのかしら。信じられないわ。)
ねぇ、ルシエル。今日は私と散歩に出かけない?久しぶりに外の空気を吸いに行こうと思うの。」
「おさんぽ...?」
「ええ。外でお茶でも「ダメよ。」...なぜでしょうかお母様。」
エティーナは言葉を遮ってきた伯爵夫人を間違って睨まないように気をつけながら見つめた。
すると伯爵夫人はこんな事を言った。
「今日は新しい魔法の先生が来る約束があるわ。魔塔からわざわざ優秀な先生をお招きしたの。だから今日からは教養の授業に加えて魔法の授業も始まるの。女性のあなたと違って、次期当主のルシエルに遊んでいる時間はないわ。」
「...魔法...。」
確かのこの世界には魔法があるのはエティーナの記憶で知っていた。
しかし、それはごく稀に覚醒する、世界的に見てもとても珍しいことのはずだった。
「(そんな選ばれた人が、私の弟...?)」
「...ぁ、ねえさま...。」
お散歩に行けないことが申し訳ないのか、ルシエルがおずおずとその顔を上げる。その頭をエティーナはガバッと抱きしめる。
「凄いわ!ルシエル!あなたには素晴らしい才能があるのね!とても誇らしいわ!!」
「ほ、ほこらしい...?」
「ええ!皆に自慢したいぐらいだわ!...でも、お母様、1日に全てを詰め込むのはやり過ぎだと思います。ルシエルはまだ5歳ですよ。自由な時間も作るべきです。」
「私の息子の教育に口を出さないでくれるかしら?ルシエルは将来伯爵を継ぐ身なの。嫁ぐしかできないあなたに何がわかるって言うの?」
「少なくとも、あなたよりは長く伯爵家に居ますので、多少のことは分かります。」
「なっ...。」
エティーナの言葉に伯爵夫人はカッと顔を赤くした。
「(全く、短気ね。それに、嫁ぐしかできないって、ブーメランが刺さって死ぬつもりかしら?)
とにかく、今日は魔法の先生との面会だけにしましょう。家庭教師には話を通しておきます。」
「勝手な事を!!伯爵家に恥をかかせたあなたがどうしてそんなに偉そうなの!?」
「私の事と、ルシエルの健やかな成長は関係ないからです。...では行きましょうかルシエル。魔法の先生が来るまで私とお話ししましょう。」
「ちょっと!!!」
「(ヒステリック...。なんでお父様はこんな人と結婚したんだろう。やっぱり結婚なんて良いものじゃないわね。)行くわよ、ルシエル。」
「待ちなさい!!ルシエル!!」
「ぁ...ぅ...。」
エティーナと伯爵夫人の間に挟まれたルシエルは真っ青な顔をしていた。
「ルシエル!!私の言う事を聞きなさい!!そんな女の言葉を聞くんじゃないわ!」
「っ......。」
とうとう、ルシエルがぎゅっと目を瞑る。
「(...これは、今すぐに解決することでは無いわね。仕方ない、私が折れよう。)
分かりました。今日は引き下がります。」
膝をついてルシエルの視線に合わせる。
「...怖い思いをさせてしまってごめんなさいね、ルシエル。」
「っ...ねぇ、さま...。」
「そうよ。あなたにはエティーナ姉様がついているからね。授業頑張るのよ。あなたは私の自慢だわ、ルシエル。」
そう言ってエティーナ最後にルシエルを抱きしめてその額にキスをする。そうすればルシエルの涙も引っ込んだようだ。
「ではお母様。ルシエルをよろしくお願いします。」
「どの立場でものを言ってるのよ!ルシエルは私の息子よ?!」
「(きっとこの人はルシエルを後継者としてしか見ていないのね。)ルシエルの姉として言っていますわ、お母様。ルシエルが驚いてしまうので、あまり大きな声は出さないであげてくださいね。」
「っ~!!」
そして、エティーナそのまま食堂を後にした。
「(...そうだ。授業の見学くらいならしても良いわよね。)」
「美味しいかしら?ルシエル。」
「ぁ、はい!おいしいです!エティーナさま!」
「あら、私はあなたの姉なのよ?」
「あ、ぇっと...じゃ、じゃあ、...ね、ねえさま...?」
「ええ。ルシエルの姉様よ。」
「っ、はい!」
5歳でありながらもう立派にナイフとフォークを使って食事をするルシエルをエティーナが微笑ましく眺める。そしてちゃっかり「姉様呼び」を達成していた。
「(ああ、照れて赤くなった頬がとても可愛いわ。本当にあの伯爵夫人の血を引いているのかしら。信じられないわ。)
ねぇ、ルシエル。今日は私と散歩に出かけない?久しぶりに外の空気を吸いに行こうと思うの。」
「おさんぽ...?」
「ええ。外でお茶でも「ダメよ。」...なぜでしょうかお母様。」
エティーナは言葉を遮ってきた伯爵夫人を間違って睨まないように気をつけながら見つめた。
すると伯爵夫人はこんな事を言った。
「今日は新しい魔法の先生が来る約束があるわ。魔塔からわざわざ優秀な先生をお招きしたの。だから今日からは教養の授業に加えて魔法の授業も始まるの。女性のあなたと違って、次期当主のルシエルに遊んでいる時間はないわ。」
「...魔法...。」
確かのこの世界には魔法があるのはエティーナの記憶で知っていた。
しかし、それはごく稀に覚醒する、世界的に見てもとても珍しいことのはずだった。
「(そんな選ばれた人が、私の弟...?)」
「...ぁ、ねえさま...。」
お散歩に行けないことが申し訳ないのか、ルシエルがおずおずとその顔を上げる。その頭をエティーナはガバッと抱きしめる。
「凄いわ!ルシエル!あなたには素晴らしい才能があるのね!とても誇らしいわ!!」
「ほ、ほこらしい...?」
「ええ!皆に自慢したいぐらいだわ!...でも、お母様、1日に全てを詰め込むのはやり過ぎだと思います。ルシエルはまだ5歳ですよ。自由な時間も作るべきです。」
「私の息子の教育に口を出さないでくれるかしら?ルシエルは将来伯爵を継ぐ身なの。嫁ぐしかできないあなたに何がわかるって言うの?」
「少なくとも、あなたよりは長く伯爵家に居ますので、多少のことは分かります。」
「なっ...。」
エティーナの言葉に伯爵夫人はカッと顔を赤くした。
「(全く、短気ね。それに、嫁ぐしかできないって、ブーメランが刺さって死ぬつもりかしら?)
とにかく、今日は魔法の先生との面会だけにしましょう。家庭教師には話を通しておきます。」
「勝手な事を!!伯爵家に恥をかかせたあなたがどうしてそんなに偉そうなの!?」
「私の事と、ルシエルの健やかな成長は関係ないからです。...では行きましょうかルシエル。魔法の先生が来るまで私とお話ししましょう。」
「ちょっと!!!」
「(ヒステリック...。なんでお父様はこんな人と結婚したんだろう。やっぱり結婚なんて良いものじゃないわね。)行くわよ、ルシエル。」
「待ちなさい!!ルシエル!!」
「ぁ...ぅ...。」
エティーナと伯爵夫人の間に挟まれたルシエルは真っ青な顔をしていた。
「ルシエル!!私の言う事を聞きなさい!!そんな女の言葉を聞くんじゃないわ!」
「っ......。」
とうとう、ルシエルがぎゅっと目を瞑る。
「(...これは、今すぐに解決することでは無いわね。仕方ない、私が折れよう。)
分かりました。今日は引き下がります。」
膝をついてルシエルの視線に合わせる。
「...怖い思いをさせてしまってごめんなさいね、ルシエル。」
「っ...ねぇ、さま...。」
「そうよ。あなたにはエティーナ姉様がついているからね。授業頑張るのよ。あなたは私の自慢だわ、ルシエル。」
そう言ってエティーナ最後にルシエルを抱きしめてその額にキスをする。そうすればルシエルの涙も引っ込んだようだ。
「ではお母様。ルシエルをよろしくお願いします。」
「どの立場でものを言ってるのよ!ルシエルは私の息子よ?!」
「(きっとこの人はルシエルを後継者としてしか見ていないのね。)ルシエルの姉として言っていますわ、お母様。ルシエルが驚いてしまうので、あまり大きな声は出さないであげてくださいね。」
「っ~!!」
そして、エティーナそのまま食堂を後にした。
「(...そうだ。授業の見学くらいならしても良いわよね。)」
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