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9.粛清
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粛清
「ええ、そうよ。」
「...ええ、そうよですって?」
伯爵夫人の言葉を聞いてエティーナはとうとう拳を握りしめた。先ほど処置したルシエルの背中の傷を思い出して、眉間に皺を寄せる。
消毒が沁みるはずなのに必死に声を我慢するルシエルは、きっとこれまでもずっとそうやって声を殺して我慢してきたのだろう。
「...ルシエルが、親の顔色を窺いながら生きなければいけないような子に育っているのだから、貴方のやり方は間違っています。ルシエルは真面目な子です。言われた事はちゃんとできる子です。なのに厳しくする必要があるですって?子供の頃の傷が、将来どれだけあの子に残り続けるか、分からないのですか?」
「だから、これは必要な事だと「それが間違っている、と言っているのです。聞こえないのですか?」」
エティーナはその美貌に怒りを顕にして伯爵夫人に詰め寄った。夫人はその気迫に、少し後ずさる。
「どうせ、強引に手に入れた伯爵夫人としての地位に不安を感じているのでしょう?その不安をルシエルで解消しているのでしょう?男爵家という劣等感はあるのに、プライドばかりが育ってしまって、お母様は大変ですわね。」
「なっ...。」
「でも、安心してくださいお母様。」
エティーナは伯爵夫人から一度顔を離して、にっこりと笑みを浮かべる。そして、その赤い唇を優雅に開いた。
「ルシエルは、私が立派な後継者に育てますわ。」
「は?」
「ですからお母様は、安心して暫くの間離れの館で気ままにお過ごしください。...ああ、伯爵家のお金はルシエルの教育費に多く当てますので、あまり贅沢はなさらないでくださいね。」
「っ、この件は、伯爵様に伝えさせてもらうわ。」
「ええ、お好きに。この教師はこちらで処分しますわ。」
最後まで笑顔を崩さなかったエティーナは、チッと舌打ちをして去って行く伯爵夫人を一礼して見送った。そして、伯爵夫人の息がかかっていない騎士に、教師を地下牢に閉じ込めておくように指示を出す。
「(...クソババァが。あれはルシエルに反面教師として伝えましょう。)」
伯爵夫人が出ていき、扉が閉まる。その瞬間ぶはっ、とお決まりのように男が吹き出す。
「あら貴方、まだいたの?」
「おいおい、流石に扱いが酷くないか?俺も頑張ったんだがな。」
頬を掻きながら微妙な顔をした男。その顔をエティーナが腕を組んでじっと見つめた。
「(間近で見ても綺麗な顔をしているわ。でも髪が長いし、金髪。それにこの馴れ馴れしい態度。...チャラ男ね。きっとナンパばかりしているからこんなチャラチャラしているのよ。こう言う奴が真っ先に浮気するんだわ。本当、気持ち悪い。浮気男は全員牢屋に詰めて火を放つべきだわ。)」
「おいおいおい!酷い風評被害じゃないか?俺は金髪だが、浮気なんてしないぞ!?それに誰彼構わずナンパしたりもしない!俺は一途な男なんだ!!」
「...は?」
「あっ。」
男が顔を青くして口を塞ぐ。
反対にエティーナは、顔を赤くして男を指差した。
「あ、なたっ、もしかして...。」
「...悪い。これはわざとじゃなくてだな。あークソ。いつもはこんなドジしないのに。...はあ。
____そうだ。俺は、君の考えが読める。」
「っ、きゃああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「ええ、そうよ。」
「...ええ、そうよですって?」
伯爵夫人の言葉を聞いてエティーナはとうとう拳を握りしめた。先ほど処置したルシエルの背中の傷を思い出して、眉間に皺を寄せる。
消毒が沁みるはずなのに必死に声を我慢するルシエルは、きっとこれまでもずっとそうやって声を殺して我慢してきたのだろう。
「...ルシエルが、親の顔色を窺いながら生きなければいけないような子に育っているのだから、貴方のやり方は間違っています。ルシエルは真面目な子です。言われた事はちゃんとできる子です。なのに厳しくする必要があるですって?子供の頃の傷が、将来どれだけあの子に残り続けるか、分からないのですか?」
「だから、これは必要な事だと「それが間違っている、と言っているのです。聞こえないのですか?」」
エティーナはその美貌に怒りを顕にして伯爵夫人に詰め寄った。夫人はその気迫に、少し後ずさる。
「どうせ、強引に手に入れた伯爵夫人としての地位に不安を感じているのでしょう?その不安をルシエルで解消しているのでしょう?男爵家という劣等感はあるのに、プライドばかりが育ってしまって、お母様は大変ですわね。」
「なっ...。」
「でも、安心してくださいお母様。」
エティーナは伯爵夫人から一度顔を離して、にっこりと笑みを浮かべる。そして、その赤い唇を優雅に開いた。
「ルシエルは、私が立派な後継者に育てますわ。」
「は?」
「ですからお母様は、安心して暫くの間離れの館で気ままにお過ごしください。...ああ、伯爵家のお金はルシエルの教育費に多く当てますので、あまり贅沢はなさらないでくださいね。」
「っ、この件は、伯爵様に伝えさせてもらうわ。」
「ええ、お好きに。この教師はこちらで処分しますわ。」
最後まで笑顔を崩さなかったエティーナは、チッと舌打ちをして去って行く伯爵夫人を一礼して見送った。そして、伯爵夫人の息がかかっていない騎士に、教師を地下牢に閉じ込めておくように指示を出す。
「(...クソババァが。あれはルシエルに反面教師として伝えましょう。)」
伯爵夫人が出ていき、扉が閉まる。その瞬間ぶはっ、とお決まりのように男が吹き出す。
「あら貴方、まだいたの?」
「おいおい、流石に扱いが酷くないか?俺も頑張ったんだがな。」
頬を掻きながら微妙な顔をした男。その顔をエティーナが腕を組んでじっと見つめた。
「(間近で見ても綺麗な顔をしているわ。でも髪が長いし、金髪。それにこの馴れ馴れしい態度。...チャラ男ね。きっとナンパばかりしているからこんなチャラチャラしているのよ。こう言う奴が真っ先に浮気するんだわ。本当、気持ち悪い。浮気男は全員牢屋に詰めて火を放つべきだわ。)」
「おいおいおい!酷い風評被害じゃないか?俺は金髪だが、浮気なんてしないぞ!?それに誰彼構わずナンパしたりもしない!俺は一途な男なんだ!!」
「...は?」
「あっ。」
男が顔を青くして口を塞ぐ。
反対にエティーナは、顔を赤くして男を指差した。
「あ、なたっ、もしかして...。」
「...悪い。これはわざとじゃなくてだな。あークソ。いつもはこんなドジしないのに。...はあ。
____そうだ。俺は、君の考えが読める。」
「っ、きゃああああああああああああああ!!!!!!!!!」
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